米国は連邦調達規則(FAR:Federal Acquisition Regulation)を改正へ
~公表調達における製品別の判断基準に様々な環境ラベルを活用か~

(文責:青木 翔太)      

 2023年8月1日、米国政府は、連邦調達規則(FAR:Federal Acquisition Regulation)の改正案について、パブリックコメントを行う旨を発表した。※1FARの改正案は、連邦調達庁(GSA:General Services Adminis tration)、国防総省(DoD:United States Department of Defense)、航空宇宙局(NASA:National Aeronautics and Space Administration)の3省庁より、2023年8月3日に共同発表されている。

 改正案では、持続可能な製品やサービスを「実現可能な最大限の範囲で」調達するための要件を、新たに導入することが示されている。※2この要件には、米国環境保護庁(EPA:United States Environmental Protection Agency)が公表している「連邦政府購買のための仕様、基準、環境ラベルに関する推奨事項(Recommendations of Specifications, Standards, and Ecolabels for Federal Purchasing)」※3に従って公共調達を行うことが含まれている。EPAは、公共調達に際して、環境ラベルを取得している製品を優先的に購入することが望ましいとしており、推奨される環境ラベルの種類に関して、製品カテゴリー別に情報を公開している。(表1参照)

表1 製品毎に推奨される環境ラベルの種類(2023年8月18日時点)

※3を基にBCJにて作成  

 EPAのHP上では、製品毎に推奨される環境ラベルが分かりやすく把握できることから、該当する製品を製造している企業の方々にとっては、参考となる情報であるように思う。詳細については、https://www.epa.gov/greenerproducts/recommendations-specifications-standards-and-ecolabels-federal-purchasing を参照願いたい。

 ここで、公共調達における日本国内での環境ラベルの取扱いについて触れたい。日本では、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(通称:グリーン購入法)」が平成13年4月1日から施行されており、グリーン購入法に基づいて、「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」が毎年政府によって策定されている。2023年2月24日に閣議決定された基本方針※4では、国等の機関が特に重点的に調達を推進する特定調達品及びその判断の基準について、記載がなされており、判断の基準としてエコマークが活用されている。判断の基準にエコマークが含まれている製品カテゴリーには、文具類、オフィス家具類、カートリッジ類、電球形LEDランプ、消火器、制服・作業服類、ベットフレーム、清掃用品が挙げられる。
 エコマークとは、「原料」から「廃棄」までのライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つことが認定された商品につけられる環境ラベルであり、公益財団法人日本環境協会が主体となって運営を行っている。なお、エコマークは、ISO規格(ISO14024:環境ラベルおよび宣言・タイプⅠ※5環境ラベル表示・原則および手続き)に則った国内唯一の第三者認証による環境ラベルとなっている。

 米国では、今後、FARの改定により、公共調達時の判断基準として活用される様々な環境ラベルが、製品カテゴリー別に示されることが予想される。日本に比べて、多くの種類の環境ラベルが取り上げられていることは、注目すべき点であろう。日本においても、エコマークに限らず、様々な環境ラベルを公共調達時の判断基準とすることで、企業が環境の取り組みを実践しその結果として環境ラベルを表示することが重要である。

参考資料
※1
https://www.whitehouse.gov/ceq/news-updates/2023/08/01/biden-harris-administration-announces-plan-to-maximize-purchases-of-sustainable-products-and-services-as-part-of-the-presidents-investing-in-america-agenda/

※2
https://www.federalregister.gov/documents/2023/08/03/2023-16012/federal-acquisition-regulation-sustainable-procurement

※3
https://www.epa.gov/greenerproducts/recommendations-specifications-standards-and-ecolabels-federal-purchasing

※4
https://www.env.go.jp/content/000049629.pdf

※5 
環境ラベルは、国際規格を制定する非政府機関「国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)」により、3つのタイプに分類されている。
タイプIラベル:第三者認証による環境ラベル
タイプⅡラベル:企業の自己宣言による環境ラベル
ライプⅢラベル:環境情報を表示する環境ラベル