エレン・マッカーサー財団(Ellen MacArthur Foundation)がサーキュラーエコノミーに取り組むスタートアップ企業のデータベースを公表

(文責:青木 翔太)

 2023年5月4日、エレン・マッカーサー財団(Ellen MacArthur Foundation)は、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に貢献する事業を展開するスタートアップ企業のデータベース「Circular Startup Index」を公表した。※1 エレン・マッカーサー財団は、単独で世界一周航海を成し遂げたプロのセーリング選手であるエレン・マッカーサー氏によって2010年に設立された財団であり、国際的にサーキュラーエコノミーを推進している組織である。設立以来、同財団は英国を拠点としてサーキュラーエコノミーに関する情報発信やグローバルネットワークの構築などを行っている。また、同財団はサーキュラーエコノミーへの移行を目指す原則として、以下の3つの原則を掲げている。(表1)

表1 エレン・マッカーサー財団が示すサーキュラーエコノミーの3原則

※2を基にBCJにて整理

 今回公表されたデータベースには、財団のコニュニティーに参加している世界各国の企業を対象として、前述に示した3原則の内、1つ以上を事業方針に掲げているスタートアップ企業559社が掲載されている。(2023年5月23日時点) また、データベースには、企業概要や事業展開地域などの情報についても、併せて掲載されている。詳細については、Circular Startup Index (ellenmacarthurfoundation.org)を参照願いたい。

 今回の公表に際し、エレン・マッカーサー財団のスタートアップ部門プロジェクトマネージャーであるElla Hedley氏は、「循環型の未来をデザインするには、経済の仕組みを考え直す根本的なイノベーションが必要である。サーキュラーエコノミーに寄与するスタートアップ企業が既に具体的な取り組みを展開しているが、彼らには支援や資金が足りていない。サーキュラーエコノミーに寄与する幅広いスタートアップ企業を可視化し、あらゆる企業が自社に合った循環型ソリューションを発見できるようにデータベースを作成した。」とコメントしており、企業とスタートアップを繋ぐことで、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みを加速させることを示している。

 この他にも、エレン・マッカーサー財団は、サーキュラーエコノミーに関する各国企業の取り組みをHP上で数多く紹介している。一部ではあるが、同財団が紹介している各企業の取り組み事例を表2に示す。

表2

出典:Ellen MacArthur Foundation HPよりBCJにて整理

 エレン・マッカーサー財団のHPでは、表2のような企業の取り組み事例などについて、カテゴリー別に閲覧することが可能となっており、サーキュラーエコノミーに資する様々な情報が分かりやすく整理されている。

 ここで、サーキュラーエコノミーに関する日本の政策について触れたい。2023年3月31日に経済産業省はサーキュラーエコノミーに関する戦略「成長志向型の資源自律経済戦略」を公表している。※3 同戦略では、成長志向型の資源循環自立経済の確立に向けた今後の方向性として、市場環境整備を強化していくことが示されている。中でも、サーキュラーエコノミーに取り組むスタートアップやベンチャー企業に対しては、オープンイノベーションによる成長と競争力強化に向けた挑戦を後押しするため、リスクマネー供給を含む資金面での支援が行われる予定となっている。また、同戦略では、サーキュラーエコノミーの取り組みに優れた企業を、「中長期の企価値向上を重視する投資家にとって魅力ある企業」として情報発信することで、企業への投資を促進し、企業のサーキュラーエコノミーへの取り組みを加速化させることも示されている。経済産業省は、今後、サーキュラーエコノミーに関する検討会等を踏まえた上で、総合的な政策パッケージを策定していくとしている。なお、同戦略の策定に伴い、同省は「サーキュラーエコノミースタートアップ事例集」※4を公表しており、計16社の国内スタートアップ企業を紹介している。

 「成長志向型の資源自律経済戦略」で示されるように、日本においても、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、スタートアップやベンチャー企業が重要視されている。スタートアップ企業に関する情報発信については、企業間のイノベーションを推進する意味でも、日本政府が今回公表されたデータベースを参考にしつつ、国内外の様々な企業を対象にしていくことが重要になってくるように思う。一方で、サーキュラーエコノミーの実現には、企業単体での取り組みだけでは不十分であり、関係主体が連携したライフサイクル全体での取り組みが必要となる。あらゆる企業がサーキュラーエコノミーに関する情報を共有・取得できるような情報プラットフォームを、日本政府が早期に構築していくことを期待したい。

参考資料
※1
https://ellenmacarthurfoundation.org/news/discover-hundreds-of-circular-economy-startups-with-our-new-database

※2
https://ellenmacarthurfoundation.org/topics/circular-economy-introduction/overview

※3
https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230331010/20230331010.html

※4
https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230331010/20230331010-4.pdf