ドイツにおける企業のサステナビリティ経営の実態

(文責:青木 翔太)

 2015年の「国連持続可能な開発サミット」にて「持続可能な開発のための2030年アジェンダ」、いわゆるSDGs(Sustainable Development Goals)が採択され、サステナビリティ(持続可能性)の重要性に対する世の中の認識が高まっていることは、読者の方々もご承知であろう。本稿では、ドイツにおける企業のサステナビリティ経営の実態について紹介したい。

 サステナビリティに関連する政策について、ドイツ政府への助言を行うサステナビリティ開発委員会(RNE:Rat für Nachhaltige Entwicklung)は、2021年5月にドイツ企業16,000社を対象としたサステナビリティ経営に関するレポートを公表している。※1アンケート調査の結果(図1)の一部を以下に紹介する。

図1. ドイツ企業のサステナビリティ経営に関するアンケート調査の結果

出典:※2を基にBCJ作成

 図1より、ドイツでは、サステナビリティ経営の重要性が認識されているものの、サステナビリティ経営に対する取り組みが企業に定着しているわけではないことが把握できる。

 また、RNEは、独自の指標をクリアした「持続可能な企業」と特徴付けられるドイツ企業はまだまだ少ないとしている。「持続可能な企業」の指標を表1に示した。弊社の母体団体である「B.A.U.M. e.V.」も指標に含まれている。

表1. RNEが認めている「持続可能な企業」の指標

出典:※1を基にBCJ作成

 なお、表1で示す条件の少なくとも1つ以上を満たすドイツ企業は5,837社(2020年12月31日時点)であり、全ドイツ企業の僅か0.15%となっている。

 さて、ドイツ政府は、2021年5月に「国家サステナビリティ戦略」の最新版を公表しており※3、サステナビリティについて、「すべての関係者が関与すべき共通の取り組みである」と示している。そして、企業は自社の経済活動におけるサステナビリティに関する取り組みを利害関係者に周知させる役割があると述べており、RNEはサステナビリティ経営に関する具体的な手法や知見の提供を通じて、企業への支援を今後強化する具体的なアクションも実施しながら、政策として周知させていく方針である。

 RNEが示す「持続可能な企業」の指標については、ドイツ企業のみならず、ドイツに拠点をもつ、又は今後ドイツへの展開を考えている日系企業にとっても、サステナビリティへの取り組みを進めていく上で参考にすべき内容であるように思う。

 なお、ドイツに限らず世界中の全ての組織・企業に対して非財務情報の枠組みを提供することを目的に策定されている「ドイツサステナビリティレコード」の詳細については、弊社HPのNEWSドイツはEUタクソノミー規則に先駆けより仔細なドイツサステナビリティコードを規定している。 - BAUM Consult Japanを参照頂きたい。

引用

※1 https://www.nachhaltigkeitsrat.de/wp-content/uploads/2021/05/2105012_Studie_Stand_nachhaltiges_Wirtschaften_Deutschland.pdf

※2 https://www.econstor.eu/bitstream/10419/204774/1/1677892412.pdf

※3 https://www.bundesregierung.de/resource/blob/974430/1919202/e2f497e9f1b4ea3ee1494b3cb24cee9b/2021-05-28-kurzfassung-nachhaltigkeit-data.pdf?download=1