ドイツの水素調達(入札)プログラムであるH2GlobalがEU各国に拡大へ
(文責: 青野 雅和)
ドイツでは昨年の12月から「H2Global 」と名付けられた水素由来製品の国外からの調達が進められてきた。H2Globalでは、既にアンモニア、e-メタノール(グリーン水素と回収された二酸化炭素から作られるe-メタノール)と持続可能な航空燃料 (e-SAF:グリーン水素利用による合成燃料)の入札が展開されているが、調達先をEUに拡大するとともに、この仕組みをEUで設立されたEUの国内水素購入プログラムであるHydrogen Bank[i]に組むこむことを模索している。この提案はEUエネルギー委員のカドリ・シムソン氏とドイツの経済・気候変動大臣ロバート・ハベック氏によって明らかにされた。ドイツは国外から50億ユーロ以上を拠出する計画であるという。
H2Globalでは、水素製造業者10年間の購入契約を結び、その後競争オークションを開催して需要側で最高額の入札者による販売契約を締結する。供給価格(生産および輸送)と需要価格の差は、はドイツ連邦経済・気候変動省(BMWK)の助成金通知により、9億ユーロの資金を差配する実施主体者であるHintco[ii]が補助金で補填する。
既にオランダがこのオークションプラットフォームを利用するとしており、来年4月までに3億ユーロの入札を実施すると発表。その他ベルギー、オーストリアも参加を議論している。
Hydrogen Bankは上限4ユーロ/kgの固定プレミアムで、一方ドイツのH2Globalは価格差補填という手法であることから、どのように融合していくのか注目したい。
グリーン水素の入札が可能なEUが米国、中国等に対してどのような打ち手を順次展開していくのか、価格決定のマッチレースとならないよう、日本はグレー水素及びブルー水素の調達入札を検討してもよいのではなかろうか。
日本ではまんべんなく全ての地域でグリーン水素を製造するのは難しい。従い、グリーン水素を調達したい自治体が少量でもいいので、グリーン入札を展開することは出来ないのであろうか。そのような自治体、首長がいらっしゃるのであれば弊社は是非ご支援したいと考える。
引用
[i]弊社NEWS[European Hydrogen Bankによるグリーン水素の入札が12月に開催へ]5月24日を参照されたい
[ii] Hintcoは、ドイツ政府が展開するH2Globalの実施主体であり、ドイツ政府が展開するH2Global財団の100%子会社。