EUは2020年の再生可能エネルギー比率の目標を達成。今後も比率向上の傾向に
(文責:青木 翔太)
欧州連合統計局(Eurostat )は、2022年1月19日に2020年の再生可能エネルギー比率(対EU最終エネルギー消費 単位:J、%)が22%になったことを発表した。これは、再生可能エネルギーの利用を促進するEU指令(2009/28/EC)の2020年目標を2%上回るものである。フランス(19.1%)を除く全てのEU加盟国が、自国の再生可能エネルギー比率の目標を達成した。中でも、スウェーデン(60.1%)、クロアチア(31.0%)、ブルガリア(23.3%)は、自国の目標を大幅に上回った。※1非化石電源の比率が既に高い水準であり、エネルギー電源構成の約7割を原子力が占めるフランスは、原子炉の廃炉により原発依存度を引き下げる一方、再生可能エネルギー比率を引き上げるとしている。これが実現すれば、目標の達成は今後期待できるであろう。
2020年のEU全体の再生可能エネルギーによる電源構成(図1)では、風力と水力が大半を占めている。同局は、近年のEU再生可能エネルギー発電量の増加は、風力、太陽光、固体バイオ燃料による電源の拡大が大きく影響しており、中でも、太陽光による発電量は7.4TWh(2008年)から144.2TWh(2020年)と12年で約20倍と飛躍的に増加したと伝えている。※2
図1. EU全体の再生可能エネルギー電源の構成(2020年)
(出所) 欧州連合統計局のデータを基にBCJ作成
さらに同局は、2022年1月26日にEU各国の再生可能エネルギー比率(対EU総電力消費 単位w、% ※注:前述は最終エネルギー消費の数値)を以下のように発表した。※3
2020年のEU全体での再生可能エネルギー比率は37.5%となり、2019年に比べて約3%増加した。EU加盟国の内、同年の国内電力消費量の50%以上を再生可能エネルギーで発電している国は、次の通りである。(図2)
・オーストリア(78%)
・スウェーデン(75%)
・デンマーク(65%)
・ポルトガル(58%)
・クロアチア(53%)
・ラトビア(53%)
図2. EU各国の再生可能エネルギー比率(2020年)
(出所) 欧州連合統計局のデータを基にBCJ作成
EU内においても、再生可能エネルギー比率が高い国と低い国がある。風力や水力の電源構成比率が高い国が、上位3か国を占める結果となった。国際エネルギー機関(IEA)によると、2025年に向けてEUでは風力と太陽光の発電量が増加するとされており※4、EUの再生可能エネルギー比率は更に向上すると推察される。
参考資料
※1 Eurostat Products Eurostat News
https://ec.europa.eu/eurostat/en/web/products-eurostat-news/-/ddn-20220119-1
※2 Eurostat Renewable energy statistics
https://ec.europa.eu/eurostat/statistics-explained/index.php?title=Renewable_energy_statistics#Wind_and_water_provide_most_renewable_electricity.3B_solar_is_the_fastest-growing_energy_source
※3 Eurostat Products Eurostat News
https://ec.europa.eu/eurostat/web/products-eurostat-news/-/ddn-20220126-1
※4 国際エネルギー機関(IEA)
https://www.iea.org/articles/renewables-2020-data-explorer?mode=market®ion=European+Union&product=PV
https://www.iea.org/articles/renewables-2020-data-explorer?mode=market®ion=European+Union&product=Wind