スペインのRedexis 社はマヨルカ島でグリーン水素をガス供給網にブレンド
(文責:坂野 佑馬)
2024年9月19日、スペインのバレアレス諸島にてグリーン水素エコシステムの構築を目指すプロジェクト「GREEN HYSLAND(表1を参照)」[i]の一環として、ガス供給会社であるRedexis社(理由は不明であるが、弊社検索ではHPへのアクセスが不可)はマヨルカ島の天然ガス供給網へのグリーン水素の混合を開始した。これは同国初の試みとなる。EUによれば、同プロジェクトにおけるマヨルカ島の成功モデルは他の島嶼地域(スペインのテネリフェ島、ポルトガルのマデイラ島、アイルランドのアラン島、オランダのアメーラント島、ギリシャの島々)の再現モデルとして活用されることになる。
表1. GREEN HYSLAND PROJECTの概要
資金調達 プログラム | Horizon Europe 2020、燃料電池・水素共同事業 (現クリーン水素パートナーシップ) | |
期間 | 2020 – 2025 | |
調整者 | Enagás Renovable | |
パートナー | ACCIONA Redexis EMT Palma CALVERA Lloseta Ports de Balears COTENAVAL BALEARIA Instituto Balears de Energía Universitat Balears Aragon Hydrogen Foundation Spanish National Hydrogen Centre Spanish Hydrogen Association CEA Enercy HyEnergy Transstore | New Energy Coalition HyCologne FEDARENE University of Galway EMEC Gasnam Universidad de La Laguna Tenerife Energy Co-Operatives Ireland AREAM Ameland Municipality DAFNI H2 Chile AMHYD Power To Green Hydrogen Mallorca |
出所:FEDARENE aisbl [ii]のHPを参考にBCJで作成
今回のマヨルカ島のプロジェクトで新設されたインフラには「水素ステーション」、「3.2 km の水素パイプライン」、「グリーン水素のブレンダー」がある。ロセタ工場で生産されたグリーン水素を新設された3.2 kmの水素パイプラインを介して、主要なガス供給ハブであるマヨルカ島パルマのカス・トレゾーラー・ステーションまで輸送し、既存のガス供給網(1,400 km)に最大2%の濃度でブレンドするとしている。このガス供給網によって、マヨルカ島全域の115,000世帯と2,000の工業およびサービス業の事業者に天然ガスと水素の混合ガスが供給され、年間で約4,000 トンのCO₂ 排出を回避することができると推計されている。
水素は、ロセタにあるAcciona Energía 社と Enagás社が管理する2.5MWの水電解施設で生産される。Redexis社は、水電解施設システムの将来の成熟に伴い、水素の年間供給量を現在の190 トンから大幅に増やし、575 トンに引き上げる予定である。また最終的な目標として、グリーン水素のブレンド比率を20%に拡大することも視野に入れるとしている。
引用
[i] https://greenhysland.eu/green-hysland-project-first-injection-of-green-hydrogen-into-spanish-gas-grid-marks-milestone-in-mallorcas-energy-transition/