海外の先進事業・技術の開発情報や各国の政策の概要をそのままご紹介いたします。
2025年
11月
ドイツ:CO₂の地下貯留・パイプライン整備を可能とする法改正案を可決 New‼
ドイツ連邦議会は、産業由来のCO₂を地下貯留し、輸送インフラを整備するための法改正案を可決した。法案は、従来認められていなかった地下 CO₂ 貯留・輸送を商業規模で許可する内容である。産業クラスターの脱炭素化を支援し、国際的な気候目標達成を後押しすることが狙いである。
改正案では特に、排他的経済水域や連邦海域下での貯留を中心に、陸上貯留は原則排除される方向が示されており、環境保護(海洋・飲料水)関連の条項も挿入された。また、改正案では CCS (Carbon Capture and Storage)/ CCU (Carbon Capture and Utilization)技術を「産業プロセスにおける回避困難な排出量」の補完的手段と位置付け、産業競争力維持と気候対策の両立を図るとされている。一方で、環境・市民団体からは「再生可能エネルギーへの移行を遅らせる可能性」や「貯留容量の限界」「地元自治体の合意プロセスの不透明性」を懸念する声も強く出ている。
引用元: https://www.bundestag.de/dokumente/textarchiv/2025/kw45-de-kohlendioxid-speicherung-1116742
韓国:2035年までにGHG排出量を2018年比53~61%へ New‼
韓国のカーボンニュートラル・グリーン成長委員会は、2035年までの国のGHG排出量削減目標を2018年比で53~61%とする内容を盛り込んだ国別削減目標(NDC:Nationally Determined Contribution)を公表した。官民連携/地方自治体/産業界が参画することを前提とした措置が含まれている。
具体的には、下限案の53%、上限案の61%という設定において、産業界は「50%台の削減は稼働停止なしでは難しい」との懸念を抱えている。住宅・建物部門や輸送部門においてもそれぞれの削減目標が引き上げられており、建設セクターは40.1%から53.6%へ、輸送セクターは50.5%から60.2%への引き上げが示された。
引用元: https://www.2050cnc.go.kr/base/board/read?boardManagementNo=3&boardNo=7125&menuLevel=3&menuNo=9
ドイツ:ドイツ鉄道は1,000トン規模のグリーンスチールをレールに敷設へ New‼
ドイツ鉄道(DB:Deutsche Bahn AG)は、鉄道インフラの整備時にGHG排出の少ない鋼材「グリーンスチール」を採用する実証プロジェクトを開始した。具体的には、子会社DB InfraGO GmbHが、鉄鋼メーカーSaarstahl Rail GmbHから約1,000トンの環境配慮型レールを調達、ドイツ北西部・南西部の鉄道路線に敷設する。通常の鋼材に比べ最大70%程度のGHG排出量削減が見込まれるグリーンスチールが活用される。
このグリーンスチールは、従来の鉄鉱石+高炉方式ではなく、電気アーク炉技術(古レール・鉄スクラップを原料)で製造されており、その結果、1,000トンの導入で約1,800 t-CO₂のGHG排出量削減を実現する見込みである。また、DBは2040年までのサプライチェーン全体のネットゼロ達成を掲げており、建設・メンテナンス活動におけるスコープ3排出の約半分が建設工事に起因していることから、資材の環境配慮型調達を戦略の柱として据えている。
引用元: https://nachhaltigkeit.deutschebahn.com/de/news/pilotprojekt-deutsche-bahn-setzt-gruenen-stahl-ein
GreenH AS:ノルウェー沿岸でグリーン水素プロジェクトを加速 New‼
ノルウェーのGreenH ASは、、環境配慮型のエネルギー生産と消費を推進することを目的にノルウェー気候環境省の下に設立された政府系企業であるEnovaからの支援適格基準を満たしたことを受け、ボードー(Bodo)に続いてクリスチャンスン(Kristiansund)およびスラゲンタンゲン(Slagentangen)でもグリーン水素プラント開発が進行段階に入ったことを発表した。支援額は2024年11月時点で3億9,100万ノルウェークローネ(うちボードー分1億2,900万クローネ)に上る。これにより沿岸部の海運・産業用途に向けた水素供給インフラ構築が加速する。
クリスチャンスンでは国内有数の港湾基地「Vestbase」を利用し、年間1万6,000回以上の港入港実績を持つ海運拠点へ水素のバンカーリング設備を設ける計画である。スラゲンタンゲンではオスロフィヨルド外側にて、グリーン水素の生産を地元企業 Grieg New Energy と協業して行う。GreenHの株主構成も変化しており、ノルウェー系企業が引き続き71%を保有しつつ、海外資本(Luxcara等)による少数出資および1 億 クローネ規模の調達が実施済みである。
オーストラリア:国立研究機関CSIROが CDR産業構築のためのロードマップを発表 New‼
オーストラリアの国立研究機関である CSIRO (the Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation)が、2050 年までに年間133〜200 メガトンの CO₂ 除去が必要との試算を踏まえ、新たなCDR産業構築のためのロードマップを公表した。ロードマップでは、DAC(Direct Air Capture)・生物由来除去・海洋アルカリ強化・強化岩化(Enhanced Rock Weathering)など、従来の自然系除去とは異なる技術型CDRが焦点とされている。実現には技術開発、インフラ整備、労働力育成、地域・先住民との協働が不可欠であると明記されている。
ロードマップのモデルでは、オーストラリアには最大で年間330 メガトンの CO₂ 除去能力があるという前提で示されており、世界市場・国際カーボンマーケットでのプレゼンス拡大も視野に入れている。ただし、現時点ではCDR技術のコストが高く、事業化・大規模展開にはリスクと投資が伴うとされており、各関係者に早期の準備を求めている。
引用元: https://www.csiro.au/en/news/All/News/2025/November/CDR-Roadmap
EU:環境・気候行動のための LIFE プログラムにおいて、132件の新規プロジェクトに対し3億5,800万ユーロ超を助成 New‼
欧州委員会は、環境・気候分野の支援枠組みである LIFE programme によって、132件の新規プロジェクトに対して総額3億5,800万ユーロを超える助成金を決定した。これらのプロジェクトは欧州全域を対象に、環境保全・気候行動を促進することを目的としている。助成実行によって、欧州内でのグリーン転換・脱炭素化の取り組みが加速される見込みである。
下記に予算配分を示す。
8,200万ユーロ(うちEUが7,700万ユーロを拠出)を、クリーンエネルギー移行の加速を目指す48のプロジェクトに投入する。
2億2,500万ユーロ(うちEUが1億4,700万ユーロを拠出)を自然環境と生物多様性に充て、34のプロジェクトを通じて自然生息地、沿岸生態系、淡水環境の回復を図り、鳥類、昆虫、両生類、哺乳類の保護状況を改善する。
1億3300万ユーロ(うちEUが7,600万ユーロを拠出)を投じ、循環型経済と生活の質の向上に貢献。31のプロジェクトが、クリーンで循環型、エネルギー効率が高く、気候変動に強い経済への移行を支援する。
9,600万ユーロ(うちEUが5,800万ユーロを拠出)を、気候変動へのレジリエンスと緩和策の強化に向けた19のプロジェクトに配分する。
引用元: https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_25_2623
英国:港湾や沿岸地域へのクリーンエネルギー関連設備への投資で新たな雇用を創出 New‼
英国首相はCOP30にて、クリーンエネルギー分野での雇用創出と産業再構築を目指す取り組みを発表した。特に、港湾や沿岸地域での新規設備投資により、数百人規模の雇用を創出することが期待されている。英国国内でのクリーンエネルギー投資は、2025年から2030年にかけて80万人以上の新たな雇用を生み出すことを目指している。
これに伴い、複数の大規模プロジェクトが発表された。例えば、スコットランドの海洋エネルギー施設や、マンチェスター近郊でのバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS:Battery Energy Storage System)プロジェクトが含まれており、それぞれ200人以上の雇用を創出する見込みだ。さらに、政府は再生可能エネルギーの利用拡大に向けた大規模な投資と、2035年までにGHG排出量の81%削減を達成する目標を掲げている。
ドイツ:揮ホールディングスがCDR技術を持つノルウェーのSLB CapturiとMOUを締結
デュッセルドルフに本社を置く上場企業であるラインメタルAGは同社が推進している軍向けの合成燃料製造プロジェクトである「Giga PtX(ユニットサイズが最大50MW)」において、大手電解企業であるサンファイア社と提携し、同社のグリーン水素の供給を受けることとなった。
同社は高効率SOEC技術のリーダー的存在であり、蒸気(または廃熱)を利用することで、大幅に高い変換効率を実現する。同じ電力入力で、より高い水素出力と低い生産コストを実現する。SOECが、グリーン水素の安定供給を実現する生産プラントの不可欠な構成要素となる予定。
韓国: 現代自動車、韓国で水素燃料電池生産施設を着工
10月30日、現代自動車は韓国の蔚山で新しい水素燃料電池生産施設の起工式を開催した。9,300億ウォンを投資したこの施設は、2027年に完成予定で、燃料電池ユニット3万台とPEM電解装置を年間量産する予定。また、燃料電池の専門知識を国内製造に活用しながら、グリーン水素生産の礎となるPEM電解装置を開発するとのこと。
新しい施設は、かつての内燃機関トランスミッション工場の跡地に43,000平方メートルの敷地を占めることになる。これは、現代自動車の未来のモビリティへの方向転換を強調する象徴的な転換となる。
2027年の完成予定であるこの工場は、化学処理と組立工程を統合し、年間3万台の燃料電池ユニットを生産する予定。この施設は、現代自動車グループの水素ブランドと「人類のための水素」を象徴するビジネスプラットフォーム「HTWO」ブランドの下で運営される。
引用元: https://www.hyundai.com/worldwide/en/newsroom/detail/0000001038
欧州:EUは官僚主義のシリコンバレーでなく。技術革新のシリコンバレーに
11月3日、ドイツのカテリーナ・ライヘ連邦経済エネルギー大臣は、ステファーヌ・セジュルネEU副大統領とEU加盟国の経済大臣をベルリンに招待し、第8回産業友好会議を開催するにあたり、「EUは官僚主義のシリコンバレーであってはなりません。技術革新のシリコンバレーにならなければなりません。」と述べた。
また、以下のように話を続けている。
「ヨーロッパが魅力的で影響力のある産業拠点であり続けるためには、真の勇気を持って改革に取り組まなければなりません。立法による抑制という新たな考え方と、過剰な官僚主義の束縛から脱却するという揺るぎない決意をもって。リスクを避けるのではなく、機会を創出する政策が必要です。企業が自ら最も革新的で効率的なソリューションを開発するための自由と柔軟性を与える政策です。これこそ、「産業の友」として、私たちヨーロッパが団結して目指すものです。ヨーロッパがグローバルな舞台で競争できるだけでなく、リーダーであり続けるために。 」
ドイツ:今年の3四半期の再生可能エネルギー発電量は約217TWh弱で、前年同期(約220TWh)と比べて約1%減少
ドイツでは。2030年までに、電力の80%を再生可能エネルギーで賄う必要がある。そのため、再生可能エネルギーの拡大を続けている。 今年の最初の9ヶ月間で、再生可能エネルギーの発電容量は約14.7GW増加した。 今年の最初の3四半期の再生可能エネルギー発電量は約217TWh弱で、前年同期(約220TWh)と比べて約1%減少。
太陽光発電による発電量は約80TWhに増加し、前年同期(約67TWh)と比べて約19%増加した。しかしながら、陸上風力発電の設置がゆっくりと着実に増加しているにもかかわらず、太陽光発電による追加発電量は、天候による風力発電と水力発電の減少を完全に補うことはできなかった。 そして、今年前半の非常に低い風況により、風力タービンによる発電量が大幅に減少している。陸上風力発電所では約71TWh(前年同期比約11%減)、洋上風力発電所では約17TWh(前年同期比約8%減)の発電量となった。水力発電所の発電量も、春の干ばつにより17TWh強から13TWh弱に大幅に減少した。 バイオマス発電は約31TWhで、前年同期をわずかに下回った。
引用元: https://www.bundeswirtschaftsministerium.de/Navigation/DE/Home/home.html
アイルランド:Grant Vortex condensing boilers社がHVO対応ボイラーを発表
Grant Vortex condensing boilers社は10月30日、アイルランド全土で68万世帯以上が依然として石油ボイラーに依存しているのが現状であり、これらの住宅すべてをヒートポンプ対応に改修することは、短期的な解決策ではないとし、同社のボイラーでHVOが利用可能であることを公表している。
HVOバイオ燃料(水素化処理植物油)がより家庭暖房において迅速な効果を発揮する可能性があるとして、同社の新規ボイラーは HVO バイオ燃料に対応しており、すべての旧モデルは、通常は定期的な年次点検時に実行される簡単なバーナー調整だけで 100% HVO で動作するように変換できるとのこと。
同社は「断熱性の高い住宅にはヒートポンプが最適だが、アイルランド全土の多くの古い住宅には、HVOバイオ燃料がより現実的な解決策となる」と指摘し、バイオ燃料対応のボイラーを設置することで、変化する暖房ニーズに対応できる住宅の将来性を確保できるとのこと。
引用元:https://constructionnews.ie/grant-vortex-condensing-boilers/
IAEA:2025年の核融合エネルギーにおける注目すべき6つの世界的トレンドを紹介
10月28日、IAEAが「世界核融合展望2025」を公表し、世界における核融合エネルギーの主要な進展を概説している。IAEAによれば、核融合エネルギーを取り巻く状況は急速に進化しており、かつては実験研究に限られていたが、今や核融合は研究開発における国家戦略上の優先事項として浮上しているとのこと。
概要は以下の6点を承継
- 高温超伝導磁石により核融合装置の小型化が可能に
- 核融合エネルギーの進歩は加速している
- 民間投資が100億ドルを超える
- 核融合は将来の電力供給において大きな役割を果たす
- 国際協力が前進
- 核融合技術は多様化している
引用元: https://www.iaea.org/newscenter/news/fusion-energy-in-2025-six-global-trends-to-watch
米国:AIの水フットプリント:イノベーションの環境的代償
環境科学における最近の最先端の研究論文を、専門家以外の人にも理解しやすいように読みやすく説得力のある要約を作成している「Envirobite」がAIが水利用に与える影響の全体像の推定したことを紹介している。2027年までに世界のAI業界が年間42億~66億立方メートルの淡水を取水する可能性があると推定されており、これは、2020年時点の英国の年間取水量の約半分に相当するとのこと。AIによって生み出されるウォーターフットプリントは今後も増加し続け、地球にとって深刻な結果をもたらすのではと危惧している。
AIの水使用の真のコストを明らかにするため、カリフォルニア大学リバーサイド校とテキサス大学アーリントン校の研究者たちは、AIは実際にどれだけの水を使用しているのか、そしてさらに重要なのは、それをどのように削減できるのかという重要な疑問を提起し、研究者らは、AIの影響を包括的に測定するために、直接的/オンサイト水使用量、間接的/オフサイト水使用量、そしてサーバー製造におけるサプライチェーン水という3つの水使用量スコープを含む手法を開発したとのこと。
引用元: https://envirobites.org/2025/10/02/ais-water-footprint-the-environmental-price-of-innovation/
中国:第15次5カ年計画を採択し、グリーン成長加速へ
中国共産党中央委員会は、2026〜2030年をデジタル技術とグリーンインフラを活用したスマートで持続可能な低炭素開発(SSLCD:Smart Sustainable Low-Carbon Development)を加速させる鍵となる5 年間と位置づけ、高質成長と安全保障の両立を図る方針を示した。
中国においては都市人口が増加し、社会課題が複雑化する中、AI技術を活用し、エネルギー・交通・水・廃棄物管理・公共サービス・医療・教育・農業・漁業・鉱業など、多様なインフラ・サービス・資源分野におけるSSLCDを促進する。
GHG Protocol:「Scope2及び電力部門の帰結的会計」についてパブリックコンサルテーションを開始
GHG Protocolが法人部門のGHG排出量算定・報告のための基準強化を目指し、「Scope2 ガイダンス(2015年版)」の改訂案および「電力部門の帰結的会計(Consequential Accounting)」に関する新案の2つのパブリックコンサルテーションを、2025年10月20日から12月19日までの60日間実施すると発表した。審議の結果は、2027年の新Scope 2基準発行を想定した技術作業グループ(TWG:Technical Working Group)や独立基準委員会(ISB:Independent Standards Board)などを通じて反映される予定である。
今回の改定案の検討に至った背景には、Scope 2(企業が購入した電力由来の排出)の既存ガイダンスが2015年版以降、大きな見直しが行われていないことがある。また、電力部門における「回避排出量(例えば再エネ普及・設備撤去等の影響)をどう会計処理するか」という新たな課題に対応するため、両件が同時にパブリックコンサルテーションに発出されるに至った。
改定案では、Scope 2のGHG排出量報告方法に関して「ロケーション基準」と「マーケット基準」の2つの方式を維持しつつ、より高精度で実態に即した報告を目指す内容が含まれている。例えば、地域・時間別の排出原単位を利用する精緻化が進められており、企業が使用する電力と物理的に紐づいたGHG排出量に近づけることが目指されている。さらに、電力セクターにおける回避排出量については、Scope 2の排出量データとは別に報告されるべきとされている。
Microsoft社:鉱業廃棄物を活用するArca社との10年契約で約30万t-CO₂のCDRを購入
Microsoft社はArca社と、今後10年間で約30万t-CO₂のCDR(炭素除去)の権利を購入するオフテイク契約を締結した。Arca社の技術は、鉱山や製鉄所のアルカリ性廃棄物を用いて、大気中のCO₂を炭酸塩鉱物として永久固定化するものである。
同契約は、Arca社が2025年に稼働中の鉱山で実証を完了した成果を背景にしており、Microsoft社はその科学的裏付けを評価して同契約に踏み切った。Arca社の手法は、追加の土地・水・エネルギー投入を抑えつつ、廃棄物の再活用という副次的な効果も狙う。また、CDRクレジットのMRV(測定・報告・検証)はIsometric社が担当することが決まっている。
コートジボワール:2035年に向け33%のGHG排出量削減を目指す新NDC(Nationally Determined Contribution:国が決定する貢献)を発表
コートジボワールは、2035年時点でのGHG排出量をBAU(Business As Usual)シナリオ(従来通りの業務を行い特段の処置をとらなかった場合)と比較して約33%削減する目標を掲げた。さらに、国際的な資金や技術支援を受けた場合には削減幅を最大74%まで拡大する条件付き目標も設定している。
同目標は、従来2030年までの目標(約30.41%削減)から後ろ倒し・長期化して新たに2035年をターゲットとし、より大きな削減幅を設定したものである。 本件が示すポイントとして、① 中長期(2035年)目標を明確に設定したことで、投資誘導・制度整備を促す枠組みを強化、② 無条件目標と条件付き目標の二段構えにより外部支援の可能性を見据えた実行戦略を描いている、という点が挙げられる。
ベトナム:農業セクターにおけるGHG排出量を2035年までに15%削減へ
ベトナム の農業・環境省が、農業セクター向けの「2025-2035発展計画」を公表し、農業セクターにおいて2020年比で少なくとも15%のGHG排出量削減を目標とした。同計画では、低排出の栽培モデルを各省・市で1〜2件実施し、15件以上のパイロット・プロジェクトで国際的なカーボンマーケット参加を視野に入れたカーボンクレジットの開発を行う予定である。
また、2050年に向けた長期ビジョンも示され、主要作物に持続可能な栽培法を導入し、GHG排出量データを全国で統一されたMRVシステム(測定・報告・検証)で管理し、「低排出ラベル」を主要作物に導入するという内容が含まれている。
英国:「Carbon Budget and Growth Delivery Plan」家庭や企業が実感できる恩恵の両立を図る
英国政府は、家庭や企業がクリーンエネルギーと気候行動によって「電気代の低下」「雇用増加」「暖かい住まい」「クリーンな空気」といった利益を享受できるようにする計画「Carbon Budget and Growth Delivery Plan」を発表した。
同計画は、2030年までに40万人超の追加雇用の創出と、5,000億円超の民間投資の誘致を目指すとともに、低炭素技術・再生可能エネルギー・原子力などへの政策支援を通じてエネルギー安全保障を強化している。計画は、家庭の暖房技術の改善や断熱・屋根上ソーラー導入を通じて「暖かく清潔な空気のもとで暮らせる」環境を実現し、さらに電気代の高騰リスクを低減する方針を示している。
引用元: https://www.gov.uk/government/news/climate-plan-captures-clean-energy-benefits-and-boosts-investment
EU:「国際的なクリーンかつレジリエントな移行戦略」を発表
欧州委員会は、クリーン技術産業の競争力強化と持続可能な経済成長を目的として「Global Clean and Resilient Transition Strategy」を発表した。同戦略は、クリーンエネルギー・技術・資源へのアクセスを確保し、戦略的依存を低減させることを狙いとしている。
EUは貿易・投資協定やグローバル・ゲートウェイ(EUの開発途上国へのインフラ投資を支援する戦略)を通じてクリーン技術分野の国際協力を拡大し、低炭素製品の市場形成を支援する。また、アフリカやインド太平洋地域などのパートナー国と連携し、原材料供給と産業連携を強化する方針である。さらに、EU内の産業政策と外交を連携させ、気候目標達成と経済競争力の両立を目指す構えである。
引用元: https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_25_2389
10月
IMO:ネットゼロ枠組みに関する議論を1年間延期することを決議
10月18日、国際海事機関(IMO)は、IMOネットゼロ枠組みを含むMARPOL条約附属書VIの改正案の採択を検討するために今週(2025年10月14日~17日)開催された海洋環境保護委員会(MEPC)の臨時会合を延期することに同意した。
臨時総会は12ヶ月後に再開される予定である。その間、加盟国はIMOネットゼロ枠組みに関する合意形成に向けて引き続き取り組んでいくとのこと。
2025年10月20日から24日に会合が予定されている船舶からの温室効果ガス排出削減に関する会期間作業部会は、ネットゼロ枠組みを実施するためのガイドラインに関する作業を継続する。
米国:商業用核融合発電の加速に向けた核融合科学技術ロードマップを発表
2025年10月16日、米国エネルギー省(DOE)は、核融合科学技術(FS&T)ロードマップを発表した。核融合エネルギーの開発と商業化を史上最速かつ責任あるスケジュールで加速させるための国家戦略である。このロードマップは、2030年代半ばまでに商用核融合発電を送電網に供給するために、公的投資と民間イノベーションを連携させるDOEの「Build-Innovate-Grow」戦略を定めている。
この取り組みは、トランプ大統領の大統領令「アメリカのエネルギーを解き放つ」を推し進めるものであり、国内のエネルギー生産を拡大し、米国のエネルギー優位性を回復するという政権のコミットメントを強化するものである。エネルギー省は、商業用核融合発電に向けた取り組みを加速させることで、アメリカの電力網を強化し、重要なサプライチェーンを再構築し、豊富で信頼性の高いアメリカ産エネルギーの新たな時代を確保するとのこと。
米国: 加州知事がデータセンターの水利用法案に対し拒否権を発動
州議会法案93号として、カリフォルニア州議会議員ダイアン・パパン氏が法案を提出していたが、ニューサム氏は10月11日にカリフォルニア州議会に送った書簡で、この法案に署名しないことを決めた。
法案に対して拒否権発動している。 「著者の意図は理解するが、その技術が企業や消費者に及ぼす影響を十分に理解しないまま、この分野の業務の詳細について厳格な報告義務を課すことには消極的だ」とニューサム氏は記述している。
引用元: https://legiscan.com/CA/text/AB93/id/3209270
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.gov.ca.gov/wp-content/uploads/2025/10/AB-93-Veto.pdf
日本: 日揮ホールディングスがCDR技術を持つノルウェーのSLB CapturiとMOUを締結
日揮ホールディングス株式会社(代表取締役会長兼社長CEO 佐藤雅之)は、産業分野におけるCO2回収技術のリーディングプロバイダーであるSLB Capturi社(本社:ノルウェー・ライサケル)とその親会社であるSLB社(本社:米国ヒューストン)との間で、燃焼後排ガスに含まれる二酸化炭素(CO2)の回収技術に係るMOUを締結し、SLBグループとの戦略的な協業可能性に関する協議を開始した。
SLB Capturiは、その前身となるAker Carbon Capture社とSLBとの間に設立された合弁企業。SLB CapturiのCO2回収技術は、世界初となるノルウェーのセメントプラント向けCCSプロジェクト(Brevik CCS:年間最大40万トンのCO2を回収)に導入されるなど欧州の先進的なCCSプロジェクト市場をリードしている技術である。
引用元: https://capturi.slb.com/resources/news/2025/mou-signed-with-jgc-group
https://capturi.slb.com/resources/news/2025/mou-signed-with-jgc-group
ドイツ:100MWのグリーン水素製造施設Hamburg Green Hydrogen Hubの建設を具体化
グリーンインフラへのファイナンサ―であるLuxcara社とシュタットベルケ(公営企業)であるHamburger Energiewerke社の2社からなるコンソーシアムHamburg Green Hydrogen Hubは、100MWのグリーン水素電解プラントを建設しているが、10月16日、同社は電解装置周辺のプラントインフラ建設における「プラント周辺設備」エリアの建設をKraftanlagen Energies & Services社(ミュンヘン)に委託したことを発表した。
本契約には、配電設備、水処理設備、冷却設備、圧縮設備、水素供給網への接続、トラック積載ステーションなど、プロジェクトに付随するすべての技術・ユーティリティ設備の設計、供給、建設が含まれ、製造されたグリーン水素の輸送における柔軟性が高まるとしている。
建物群の完成後、2026年初頭に工事が開始され、2027年後半までにプラントが稼働される予定。
Hamburg Green Hydrogen Hubの水素はHH-WIN配給ネットワークとトラック積載ステーションに供給される予定。
豪州:Viva Energy と Cleanawayは、豪州での低炭素液体燃料の製造に関するMoUを締結
燃料会社であるViva Energy と廃棄物収集会社である Cleanaway (Cleanaway Waste Management Ltd) は、オーストラリアでの低炭素液体燃料および製品の製造に向けた重要な一歩として、覚書 (MoU) に署名したことを発表した。この覚書に基づき、大量の国内使用済み食用油(UCO)をViva Energyのジーロング製油所に輸送し、再生可能ディーゼル(RD)ブレンドなどの先進燃料やバイオ循環型ポリマーなどの製品を生産する。
Viva EnergyとCleanawayは、使用済み食用油を持続可能な燃料や材料に変換することで、再生可能ディーゼルなどの製品を使用してスコープ1排出量の削減を目指す顧客を支援するための実用的な方法を提示。Cleanawayは、地域社会に不可欠な廃棄物管理サービスを提供する4,100台以上の大型車両を運用している。
日本:マレーシア経済省とのCCSに関する協力覚書
マレーシアのクアラルンプールを訪問し、第3回アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)閣僚会合をマレーシアと共同で開催した。AZECパートナー国の企業や関係機関間で新たに締結された約50件の脱炭素化に向けたエネルギー移行に関するMOUを確認し公表した中、10月17日、経済産業省はマレーシア経済省とのCCSに関する協力覚書を締結したと公表。
AZECパートナー11カ国、国際機関の出席を得て、第3回AZEC閣僚会合が開催された。日本からは、武藤大臣、小林環境副大臣、山田AZEC担当大使が出席。武藤大臣は、トランジション・ファイナンスに関する報告書の公表や、個別プロジェクトの進展、プログレスレポートの作成、実務者間や二国間での対話の充実化など、この1年のAZECの取組や成果について報告。小林環境副大臣からは、環境省の取組について報告されている。
引用元: https://www.meti.go.jp/press/2025/10/20251017001/20251017001.html
ドイツ:水素の利用加速に向けた『水素加速法案(Wasserstoffbeschleunigungsgesetz)』を閣議決定
ドイツ連邦政府は、気候中立なエネルギーシステムの実現に向け、水素の供給・利用を迅速化する「水素加速法案」を決定した。同法案は、水素の生成・貯蔵・輸入・輸送に関する計画・許可手続きを簡素化し、電子化・デジタル化によって行政負担を軽減するものである。
さらに、水素インフラ事業を「極めて重要な公共の利益」と位置づけ、優先的に承認を進める枠組みを設けている。対象には、電解装置、輸入ターミナル、貯蔵施設、パイプラインなどが含まれ、2024年10月に改正されたEU再エネ指令(RED III)にも整合する設計である。裁判手続きの迅速化や官庁間の協調強化も盛り込まれ、エネルギー安全保障と脱炭素目標の両立を狙う。これにより、ドイツは水素経済への移行を一層加速させ、産業競争力と気候中立社会の実現を支える基盤を整備する意図である。
米国・カリフォルニア州:CCUSパイプライン開発を認める新法案に署名
2025年10月10日、カリフォルニア州知事は、CO₂を安全に輸送し、地下の地層に永久的に貯留する専用パイプラインの開発を許可する内容の法案(SB 614法案)に署名した。カリフォルニア州は炭素捕集、除去、貯留(CCUS)市場の成長を支援し、気候変動への対応を強化する狙いである。
トランプ政権が、脱炭素関連のプロジェクトや技術開発に対するインセンティブ政策の軌道修正を推進する中、カリフォルニア州としては独自の展開を進めるかたちとなる。SB 614法案は、CO₂パイプラインの安全性を確保することで、クリーンエネルギー転換への投資を促進することを目指している。また、SB 840法案では、2026–27年度予算から8,500万米ドル(約127億円)をGHG削減基金(GGRF;(Greenhouse Gas Reduction Fund)に充当し、気候技術の研究開発や導入を支援する。
英国: Centrica社、初のグリーン水素混合天然ガスのパイプライン輸送試験に成功
2025年10月13日、英国のエネルギー企業Centrica社は国営企業であるNational Gas社と共同で、同国の国営ガス供給網(NTS:National Transmission System)において、初めての天然ガスパイプラインへの水素混合輸送試験を成功裏に完了したと発表した。この試験では、グリーン水素を2%の割合で天然ガスに混合し輸送、Centrica社のブリッグ発電所で電力を生産し、電力網に供給した。
同試験により、発電所が水素混合ガスを受け入れることが技術的にも運用的にも可能であることが確認された。Centrica社とNational Gas社は、政府に対して最大5%の水素混合を許可する戦略的な政策決定を求めている。これにより、水素生産者への投資の確実性が高まり、新たな雇用機会の創出や地域経済の活性化が期待される。
EU:アフリカのクリーンエネルギー移行を加速するため、6億1,800万ユーロの支援パッケージを発表
2025年10月8日、欧州委員会は、アフリカのクリーンエネルギー移行を加速するため、EU加盟国、欧州投資銀行(EIB)、欧州復興開発銀行(EBRD)などが協力する「Team Europe」パートナーシップの一環として、6億1800万ユーロ(約1,085億円)の支援パッケージを発表した。
支援対象として発表されたプロジェクトは以下の通り
- ケニア(5,500万ユーロ):
家庭やビジネスのための電力発電と送電網強化を支援するグリーン電力システム。
- ウガンダ(6,000万ユーロ):
村部への電力供給を目指すラストワンマイル電化プロジェクトで、25万人以上の人々が恩恵を受ける。 - コンゴ民主共和国(9,014万ユーロ):
キサンガニ周辺地域の電化、電力供給の確保と地域経済活動の促進。 - モーリタニア(1億2,500万ユーロ):
急増するエネルギー需要に対応するための地域送電網の開発。 - ナイジェリア(2,000万ユーロ):
再生可能エネルギーの導入拡大に繋がる技術支援、および農家や小規模事業者の支援。 - カーボヴェルデ(3,900万ユーロ):
風力発電と蓄電システム拡張のプロジェクト「Cabeolica」 - ザンビア - タンザニア間の相互接続(3,000万ユーロ):
南部アフリカと東部アフリカの、干ばつ耐性と地域間の電力交換を強化。 - トーゴ(1億9,900万ユーロ):
発電量と信頼性を向上させるためのKpaliméでの再生可能エネルギーおよび蓄電プロジェクト。
引用元: https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_25_2335
英国:国営企業Great British Energy 社が軍事施設への太陽光発電導入を拡大
2025年10月1日、英国政府は、Great British Energyが軍事施設を含む公共施設に太陽光発電システムを導入する計画を発表した。同取組には、約15の軍事施設、数百の学校や病院が対象となり、総額2億5,500万ポンド(約515億円)の投資が行われる。
特に、防衛省との提携により、遠隔地の訓練場や装備品の保管施設に太陽光パネルやマイクロ風力タービンが導入され、エネルギーコストの削減が期待されている。英国政府は、再生可能エネルギー設備の導入により削減されたコストを国防費に再分配する方針を示している。
引用元: https://www.gov.uk/government/news/great-british-energy-to-extend-solar-scheme-to-military-sites
IUCNとIRENAが再生可能エネルギー導入と生物多様性保護の連携強化で覚書を締結
2025年10月10日、アブダビで開催されたIUCN世界自然保護会議において、国際自然保護連合(IUCN;the International Union for Conservation of Nature)と国際再生可能エネルギー機関(IRENA;the International Renewable Energy Agency)は、再生可能エネルギーの普及と生物多様性保護を両立させるための覚書(MoU)を締結した。
同協定は、再生可能エネルギーの導入がGHG排出量削減だけでなく、生物多様性の保護、地域社会の支援、国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を目指す枠組みを提供する。具体的には、再生可能エネルギー開発が生態系や野生生物に与える影響を評価するツールの開発、保全効果を高めるプロジェクトの推進、政策指針や研究成果の共有、技術協力や能力開発の促進などが含まれる。初期段階の構想としては、3年間の有効期限が設定されており、成果に応じて更新や拡大が検討される。
カナダ: 5回目のグリーンボンド発行を開始
2025年10月8日、カナダ政府は、カナダドル建ての5回目となるグリーンボンドの発行を発表した。今回の発行は、新たに30年債のグリーンボンドと、2025年2月に発行された7年債の再発行を含む。これにより、カナダのグリーンボンド発行総額は2022年3月のプログラム開始以来、130億ドルに達した。
同グリーンボンドは、再生可能エネルギーや気候変動対策、自然保護などのプロジェクトへの民間資金の調達手段として活用され、カナダの経済成長と雇用創出に寄与している。また、カナダ政府は、2050年までのネットゼロ排出目標達成に向けた戦略の一環として、グリーンボンドを重要なツールと位置付けている。2023年11月には、グリーンボンドフレームワークが更新され、特定の原子力関連支出がグリーンボンドの対象となるようになった。
米国:カリフォルニア州はトランプ政権が何をしようとクリーンエネルギー戦略を追求する
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は10月1日、米国エネルギー省(DOE)がカリフォルニア州の水素ハブである再生可能クリーン水素エネルギーシステム連合(ARCHES)に最大12億ドルの連邦資金を提供するという契約上の約束をキャンセルしたことを受けて、以下の声明を発表した。
【 ギャビン・ニューサム知事声明】
トランプ政権下のアメリカでは、エネルギー政策は最高入札者によって決定され、経済や常識は無視されます。クリーン水素は、カリフォルニアのエネルギーの未来に不可欠な存在です。数十万人の新規雇用を創出し、数十億ドルの医療費を節約します。ワシントンが何を言おうとも、私たちは未来を支え、大気を浄化する、あらゆる面で優れたクリーンエネルギー戦略を追求し続けます。
米国・加州:データセンターの水利用報告規則がカリフォルニア州で法案化
カリフォルニア州の干ばつとAIブームによる水需要の増加を考慮し、データセンターの膨大な水使用に対処するもの。本法案は、データセンターを所有または運営する者が、市または郡に最初の営業許可証、これに相当する書類、または許可を申請する前に、偽証罪の罰則の下で、その水道供給業者に対し、予想される水使用量の見積もりを提出することを義務付けるものである。
データセンターの所有者または運営者は、市または郡に初回営業許可証を申請する際、申請書において偽証罪の罰則の下で、水道事業者に対して予想される水使用量の見積もりを提出したことを自己証明することを義務付ける。事業許可証、これに相当する文書、または許可の更新を市または郡に申請する際、本法案はデータセンターを所有または運営する者に、偽証罪の罰則の下で、申請書においてデータセンターの水供給業者に年間水使用量の報告書を提供したことを自己証明することを義務付ける。偽証罪の犯罪範囲を拡大することにより、州が義務付ける地方プログラムを課すことになる。 なお、本法案は、水資源局に対し、特定法規定に基づき採択される効率基準の一環として、水消費量に影響する要因に基づきデータセンターを異なる階層に分類し、各データ階層に適切な基準を設定する権限を付与する。
引用元: https://leginfo.legislature.ca.gov/faces/billNavClient.xhtml?bill_id=202520260AB93
ドイツ:核融合研究を対象に総額約20億ユーロ以上を投資
ドイツ内閣は、ドイツにおける商業用核融合の導入を加速するための連邦政府の行動計画を承認した。2029年までに、核融合研究、新たな研究インフラの開発、パイロットプロジェクトの開発に20億ユーロ(23億米ドル)以上が投資される予定だ。
ドイツ連邦研究技術宇宙省(BMFTR)が7月に発表したハイテク・アジェンダ・ドイツの旗艦政策である核融合を、ドイツにとって6つの重要な将来技術の1つとして実施するものである。
引用元: https://www.world-nuclear-news.org/articles/germany-boosts-funding-for-fusion-research
オーストリア:OMVは欧州最大級のグリーン水素電解プラントを建設
オーストリアのウィーンに本拠を置き、石油やガスの精製、また石油化学工業等を行うエネルギー企業であるOMVは、9月29日にウィーンの東南に位置するBruck an der Leithaで140MWのグリーン水素電解プラントを建設すると公表した。このプラントは、2027年末の稼働開始を予定しています。OMVは今後、風力、太陽光、水力といった再生可能エネルギーを用いて年間最大2万3000トンの水素を生産する予定。
この新プラントにより、グリーン水素の現地生産が可能になり、Schwechat(ウィーン東南)にある同社の製油所における生産プロセス、ならびに燃料および化学製品の持続可能性が大幅に向上する。同社は、グリーン水素の製造で年間最大15万トン*の二酸化炭素排出量を見込む。これは、製油所の生産関連による二酸化炭素排出量の約10%に相当する。
スウェーデン:世界初の水素燃料バルクキャリアにスウェーデン製燃料電池を搭載
海洋市場向け燃料電池のスウェーデンの供給業者であるPowerCellは、水素燃料のばら積み貨物船2隻に燃料電池システムを供給する4,000万スウェーデンクローナ(425万ドル)強の契約を獲得した。
2隻のばら積み貨物船にはそれぞれ7基のマリンシステム225ユニットが搭載され、化石燃料を再生可能水素に置き換えることで、排出ガスを一切出さずに運航することが可能となる。2027年の就航時には、世界初の水素燃料ばら積み貨物船となる。GMI Rederiが船舶の開発を担当し、水素システムのエンジニアリング、統合、認証プロセスは、グリーン推進ソリューションを専門とするドイツの船舶インテグレーターであるeCap Marineが担当する。
引用元: https://hydrogeneurope.eu/worlds-first-hydrogen-powered-bulk-carriers-to-feature-swedish-fuel-cells/
スコットランド:Inverness and Cromarty Firth Green Freeportが洋上風力発電および再生可能エネルギー部門の主要な国際拠点に
2025年9月26日、英国政府・スコットランド政府、ハイランド地方議会、ICFGFが調印した覚書(MoU)により5年にわたるプロセスが完了した。合意により英国政府資金2500万ポンドにより、ハイランド地方を洋上風力および再生可能エネルギー分野における主要な国際的ハブとして確立する地域港湾インフラプロジェクトを支援していく。Inverness and Cromarty Firth Green Freeportは技能向上を支援し、スコットランドのハイランド地域に11,000件以上の高賃金・長期雇用創出を目論む。
この覚書の正式調印は、この地域の大幅な経済再生を可能にする 5 年間の計画プロセスの最終段階であり、スコットランド担当大臣のダグラス・アレクサンダー議員、副首相のケイト・フォーブス氏が出席した。ハイランド評議会のリーダーであるレイモンド・ブレムナー評議員が、公的資金の適切な使用と適切なガバナンスを監督する責任機関として、地方自治体を代表して署名した。
スペイン:Exolumは1億ユーロ超を投資し、ア・コルーニャ外港に新たなエネルギー転換ターミナルを建設
2025年9月25日。Exolumは、スペインのア・コルーニャ外港プンタ・ランゴステイラ埠頭にバルク液体貯蔵用の新ターミナルを建設するための認可手続きを開始した。1億ユーロを超える投資となるこのプロジェクトは、新たなエネルギーベクトルに適合したインフラを推進することで、スペインおよび欧州におけるエネルギー転換を主導するという同社の戦略の一環である。
計画されている業務には、バイオディーゼル、HVO、バイオエタノール、メタノール、ナフサ、持続可能航空燃料(SAF)、バイオ燃料および従来の炭化水素の原料など、幅広い製品の保管、混合、出荷が含まれる。また、これらの製品の混合と複合輸送も提供する予定。
米国・加州:ハイブリッド型(蓄電+水素)マイクログリッドがカリストガで稼働開始
PG&E 社とEnergy Vault社は、カリフォルニア州カリストガにおける「the Calistoga Resiliency Center(CRC)」の完成と商業運転開始を発表した。同施設はリチウムイオン電池と水素燃料電池を統合したゼロエミッション型マイクログリッドであり、山火事対策として意図的に実施される停電時に約1,600世帯へ48時間以上、最大8.5MWの電力を安定供給できる。
CRCはEnergy Vault社のエネルギー管理システムによって運転され、ブラックスタート(外部電源から電気を受電することなく、自律的に電力供給を再開すること)やグリッド形成機能を備えつつ、水素燃料電池と独自の電池技術を組み合わせることで瞬時の応答と長時間運転を可能にしている。液体水素を利用することで供給継続性とコスト効率を確保し、停電時の電力レジリエンスを飛躍的に高めた。
同プロジェクトは2,800万ドル規模の資金調達で成立し、CRCをEnergy Vault社が所有・運営し、PG&E社が配電事業者として長期契約を結んでいる。PG&E社はこれまでに13件のマイクログリッドを展開してきたが、カリストガのCRCは初の完全再エネ型かつ最大規模の事例である。今回の稼働は、山火事リスクが高い地域における将来のマイクログリッド展開のモデルケースとなり、気候変動下での持続可能な電力供給戦略の象徴と位置づけられている。
引用元: https://www.pge.com/en/newsroom/press-release-details.9b3e382b-caba-4fe9-93a2-2e7080d82933.html
オーストリア:水素還元と電気溶解炉を組み合わせた製鉄実証プロジェクト「Hy4Smelt」がリンツで着工
オーストリア・リンツにおいて、Primetals Technologies社、voestalpine社、Rio Tinto社の3社による「Hy4Smelt」プロジェクトで計画している製鉄工場の起工式が行われた。総額1億7千万ユーロを投じる本プロジェクトは、超微細鉄鉱石を対象とする水素直接還元プロセス(HYFOR)と電気溶解炉(Smelter)を組み合わせる世界初の実証設備であり、2027年末の初稼働、2030年までの研究継続を計画している。
Hy4Smeltでは、還元鉄をSmelterで溶融して高品質の銑鉄を生産する仕組みで、副産物のスラグはセメント原料として再利用できる。原料の70%はRio Tinto社が供給し、技術支援と商業化戦略にも関与する。水素はリンツ拠点にある世界最長稼働中のPEM電解設備「H2FUTURE」から供給される。
英国:セメントと廃棄物発電を対象とした炭素回収プロジェクトが建設段階へ進展
英国政府は、北ウェールズおよび北西イングランドでの2件のCCSプロジェクトが建設段階に入る準備が整ったと発表した。これらは合計 1.2百万トン/年の CO₂ を回収する計画で、500名規模の雇用を創出する見込みである。政府はこれらを HyNet CCUS クラスターの関連プロジェクトとして位置づけ、支援枠 94億ユーロ を充当している。
対象案件は、Flintshire の Padeswood セメント工場(Heidelberg Materials UK社)と Cheshire の Protos 廃棄物発電施設(Encyclis社)である。これらは英国で初となる CCS 対応セメント工場、および世界でも数少ない完全規模廃棄物→発電+CO₂回収施設になる。両案件は政府と契約締結済みであり、直ちに建設に着手される見通しだ。HyNet は既存および再利用されたインフラを活用して CO₂ を輸送・貯蔵するネットワークを構築し、これによって複数産業の脱炭素化を支えるハブを目指す。また、英国全体で 2030 年までに 4 つの CCUS クラスターを設け、20–30 MtCO₂/年の処理能力と 5 万人の雇用創出を目指す長期戦略の一環でもある。
ドイツ:気候変動対策に寄与するAIを活用した8つのプロジェクトに13.3百万ユーロを助成
ドイツ連邦環境省(BMUKN)は、気候変動対策に貢献する8件のAI開発プロジェクトに合計1,330万ユーロの助成を行うことを発表した。これらは都市緑地、森林、海洋生態系などを対象に、AIを用いた効率的で持続可能な保全手法を開発・実装するものである。今回の助成は「自然気候保全行動計画(ANK)」の一環であり、2019年以降に続くAI×環境保全政策の第三次支援ラウンドに位置付けられている。
SEAGUARD:リモートセンシングとAIを用いて適切な海草藻場の分布地を特定し、CO₂吸収源として重要な生息地の回復を促進。
AI-REEFSHIELD:海洋生態系をAIで監視し、調査船の稼働を削減してCO₂排出を抑制。
BlueGreenCity-KI:都市の緑地・街路樹の管理・灌漑を支援し、水資源の効率的利用を実現。
BoTiKI:土壌動物群を調査するAIシステムを構築し、土地管理改善を通じてGHG排出削減を図る。
DraAuF:ドローンとロボットを用いた自動植林システムを開発し、気候変動に対応した効率的な森林再生を支援。
KIMMCO:バルト海沿岸における植物プランクトンをAIで高精度モニタリングし、CO₂吸収機能を定量化。
KI-Nationalpark:国立公園におけるAIモニタリングシステムを開発し、訪問者管理と野生動物管理を改善。
KI-Recover:AIを活用して気候変動に強い樹種を選定し、再植林や森林再生の効率化を支援。
カナダ:ファンディ湾での潮力発電推進に向けた環境モニタリングを連邦投資で支援
カナダ政府は、ファンディ湾(カナダの東端に立地)の潮力エネルギー開発を促進するため、1,000 万ドルを超える連邦資金を投入し、環境モニタリングプロジェクトを2件支援すると発表した。
支援対象となるプロジェクトは、FUNDY Ocean Research Centre for Energy(FORCE)が主導する Ocean Sensors Innovation Platform(OSIP)と、Acadia 大学が率いる魚類動態モデリング研究である。OSIP は魚群検出や生態情報取得センサー網を展開し、潮力発電装置との相互作用を評価可能にする環境基盤を提供する。Government of Canada Acadia の研究では、魚とタービンの衝突確率を推定するモデル開発を行い、設置適地の判断や環境影響評価に資するデータを提供する。
EU:国境を越える再生可能エネルギー案件に7,630万ユーロの支援を採択
欧州委員会(CINEA)は、CEF(Connecting Europe Facility)エネルギー枠組みを通じて、国境をまたぐ再生可能エネルギープロジェクト3件に計7,630万ユーロを助成することを決定した。支援対象案件には、ポーランド‐ドイツ間の地域暖房ネットワーク統合、エストニア‐ラトビア間の陸上風力発電、エストニア沖洋上風力発電に関連した調査が含まれている。
同支援は 2024 年公募に基づくもので、今後もCEFの「国境再生可能エネルギー(CB RES)」枠を通じて、EU域内連携型の再生可能エネルギー導入・貯蔵・統合プロジェクトを支える意図がある。なお、第5回CB RESステータス取得公募(申請期限:2026年2月5日)が現在開かれており、次回の建設・調査支援枠募集は2025年11月頃に公表される見込みである。
米国:DOEが大規模送電・発電インフラ加速のため「Speed to Power」イニシアティブを発表
米国・エネルギー省(DOE)は、「Speed to Power」イニシアティブを開始し、大規模な送電・発電インフラの開発スピードを加速させる方針を示した。背景には、AI競争での優位性確保と、製造業再興に伴う電力需要急増があり、DOEの分析では現行のプロジェクト開発速度では対応できないと危惧されている。DOEは関係者との協力を通じ、即応可能な大規模案件を特定し、制度的・技術的障壁を克服する計画である。
同イニシアティブは送電網と発電設備の両面を対象に、短期的な投資機会、案件準備状況、需要増加見込み、インフラ制約を踏まえたロードマップを策定することを目的としている。この施策はトランプ大統領による「国家エネルギー緊急事態宣言」や電力網の信頼性強化に関する大統領令と連動しており、2030年までに追加の供給力確保を怠れば停電リスクが100倍に増大するとの分析を根拠に、連邦政府の強力な関与を正当化している。結果として、州政府、電力会社、系統運用者、AIデータセンターなどの需要家を巻き込み、迅速に「電力を確保するスピード」を国策レベルで構築することを狙いとしている。
9月
ドイツ:ドイツ政府は「ハイテク・アジェンダ・ジャーマニー」を掲げ、研究、技術、イノベーション政策の再構築を計画
2025年9月11日(木)に開催されたドイツの政党間(AfD,SPD,緑の党、CDU/CSU、左派)で実施した時事問題に関する討論で、ドイツ政府が掲げている「ハイテク・アジェンダ・ジャーマニー」を議論した。ハイテク・アジェンダ・ジャーマニーは、人工知能、量子技術、マイクロエレクトロニクス、バイオテクノロジー、核融合、気候中立型エネルギー生成、そして気候中立型モビリティ技術という6つの主要技術に焦点を当てている。
ドロテ・ベア研究大臣(CSU)やCDU/CSU、SPD連立派のメンバーはこのアジェンダの可能性を強調したが、野党は、とりわけ各省庁や関係者間の組織的な協力の欠如を批判し、プロジェクトの実現可能性にも疑問を呈した。ベア氏によると、アジェンダの中核はいわゆるロードマップである。産業界、科学技術、社会、そして連邦州や欧州連合のパートナーと協力して、それぞれの主要技術について一種のロードマップが策定される。これにより、ハイテク・アジェンダは「参加型アジェンダ」へと変貌すると述べている。
引用元: https://www.bundestag.de/dokumente/textarchiv/2025/kw37-de-aktuelle-stunde-hightech-agenda-1107758
米国:核融合産業は連邦政府から100億ドルの資金注入を求める
9月23日、先週の下院科学委員会の公聴会 で、業界関係者は、米国の核融合発電技術開発は、商業化を加速し、中国に先んじるために100億ドルの資金投入が必要だと述べた。加えて、核融合分野の人材育成と、核融合に特化した地域拠点の設立に向けた取り組みを提唱した。
核融合への民間投資は現在、世界全体で100億ドルを超えており、その大部分は米国企業によるものだ。しかし、エネルギー省が資金提供する研究は、2040年代までに核融合発電を送電網に導入する上で依然として重要な役割を果たすと委員会のブライアン・バビン委員長(共和党、テキサス州選出)は述べた。2021年に発表された核融合に関する最新の報告書 では、2050年までに核融合発電を送電網に導入するために、2040年までにパイロットプラントを成功裏に稼働させる戦略が示されている。
引用元: https://www.aip.org/fyi/fusion-industry-seeks-10-billion-injection-of-federal-money
EU: 欧州原子核研究機構(the European Organization for Nuclear Research)と核融合エネルギー研究所(F4E)が共に進む
2025年9月10日、欧州原子核研究機構(CERN)と核融合エネルギー研究所(F4E)は、共通の関心分野における科学研究と技術開発を推進するための主要な枠組み協力協定に署名した。
F4Eは、核融合エネルギー実現に向けた世界最大の科学実験施設であるITERへの欧州の貢献を管理する欧州連合(EU)機関である。この新たな協定は、CERNとF4Eの高温超伝導(HTS)磁石技術と核融合エネルギーに対する共通の関心から生まれた。
この協定は、特に以下の分野における幅広い協力への道を開くものです。
- 工業生産のフォローアップと品質管理を含む、大型科学機器および実験のエンジニアリング設計と構築。
- 材料、部品、システムの試験。
- 科学プロジェクトの組織、計画およびフォローアップ。
- 知識と技術の移転;
- 将来の科学実験や実証に関連する物理学、工学、技術の研究開発。
引用元: https://home.cern/news/news/knowledge-sharing/cern-and-fusion-energy-advancing-together
英国:英国政府は環境に優しい海事技術に4億4800万ポンド(6億900万ドル)の公的資金を提供すると発表
9月15日、2026年から2030年にかけて、UK SHOREに4億4,800万ポンドの研究開発投資を行う予定であることを公表。これまでの成功を基に、 UK SHOREの第2フェーズでは、英国の海事セクターの脱炭素化に必要な技術開発をさらに加速し、研究開発を通じてMDS(海洋開発戦略)の目標を達成するとともに、英国を海事イノベーションの拠点として確固たる地位を築くことで経済成長の機会を獲得するとのこと。事業計画の承認を条件に、この計画は英国の技術、企業、港湾、造船所におけるイノベーションと投資の可能性を解き放つものとなると運輸省は述べている。
英国運輸省はInnovate UKと協力し、 UK SHOREは以下の取り組みを実施する。
1.2026年に開始予定のゼロエミッション船舶およびインフラコンペティション(ZEVI2)の今後のラウンドなどを通じて、開発された技術の商業化を加速する。これにより、クリーンな海上ソリューションの構築と商業試験に資金が提供される。
2.2026年に開始されるクリーン海洋実証コンペティション(CMDC7)の第7ラウンドなどを通じて、2030年に終了する実際の実証プロジェクトに焦点を当て、新興技術を市場投入準備完了まで開発する。これに続いて、2027年から2029年の間にさらに2ラウンドが開始される予定。
3.工学物理科学研究評議会と連携し、少なくとも 2028 年まではクリーン海洋研究ハブの継続的な取り組みを通じて、新技術の早期科学研究を支援する。
4.国際的な研究開発を通じて、システム全体のソリューションの開発と国際市場への進出を可能にする。これには、導入前試験を実施するためのグローバルEureka研究プログラムへの参加が含まれる。
5.Innovate UK、政府全体、国民富裕基金、英国ビジネス銀行と協力し、この資金援助によって支援される技術や企業の拡大に対する障壁の解消にも注力する。
イタリア、米国:EniとCommonwealth Fusion Systemsが核融合エネルギーの商業化に向けた戦略的パートナーシップを拡大
9月22日のEniのニュースリリースによると、同社は CFS(Commonwealth Fusion Systems)の戦略的投資家として、バージニア州チェスターフィールド郡にある CFS 初の ARC 発電所からのクリーン核融合発電に関して 10 億ドルを超えるオフテイク契約を締結した。
この合意により、EniとCFSの戦略的パートナーシップが強化され、世界のエネルギー情勢を一変させる可能性を秘めた画期的な技術である核融合エネルギーの商業化に向けた両社の共同の取り組みが強化される。Eniは2018年からCFSの株主である。このオフテイク契約により、両社の既存の技術協力が拡大し、商業提携も含まれることになる。
米国:加州の新車トラック、バス、バンの4台に1台がゼロエミッション車
9月23日、加州では、2024年に中型・大型車の新車販売台数のうち、ゼロエミッション車(ZEV)が約23%を占めた。これは州の目標値の2倍以上であり、ZEV販売台数としては過去最高となる。需要は依然として高く、今月の申請受付開始初日には、約2億ドルの優遇資金申請が提出された。
加州では、2024年もゼロエミッションの中型・大型車の販売が引き続き増加しており、メーカーによると、ゼロエミッションのトラック、バス、バンの販売台数は30,026台に達し、クラス2b~8の新車販売台数の約23%を占めている。このデータは、メーカーがカリフォルニア州大気資源局(CARB)に報告した情報に基づいている。 この数字は、2024年モデルの州全体の最低要件の2倍以上であり、過去最高の販売台数を記録している。2021年以降、カリフォルニア州の中型・大型トラック市場では5万7000台以上のZEVが販売されており、州全体のZEVトラック販売台数は4年連続で増加している。
引用元: https://content.govdelivery.com/accounts/CARB/bulletins/3f40211
EU: 欧州委員会がEUの教師をITERに招聘
9月19日の欧州委員会の公表によると、欧州委員会は2023年からEU全域の中等学校教師を対象にITER教員視察を実施しており、今年は3回目となる。今年は99名の教育関係者が、フランス・カダラッシュにあるITER建設現場への特別な視察に参加した。
このプログラムでは、組立ホールとトカマクピットを実際に視察する貴重な機会に加え、ITERの物理と工学、プロジェクトにおけるEUの役割、そしてすぐに使える核融合教材に関するプレゼンテーションも行われた。この日のハイライトは、インタラクティブなワークショップで、教師たちが魅力的な核融合の世界をどのように授業に取り入れるかについて意見交換を行った。
このプログラムは開始以来、EU全土から260名以上の教師を招き、核融合とITERに関する専門的な授業やプレゼンテーションを通じて、推定9,700名の生徒に指導を行ってきた。
教師たちのITER訪問は、ヨーロッパで最も野心的な科学プロジェクトと、ヨーロッパ全土の次世代の親や科学者との架け橋となる。 2026年版の準備はすでに始まっており、このプログラムは今後もさらに多くの教師と生徒に届き、融合を現実のものとする世代に投資してくとのこと
豪州: 低炭素液体燃料生産に11億豪ドルを投入
2025年9月17日、オーストラリア政府は再生可能ディーゼルやSAFなど低炭素液体燃料の国内生産支援に、11億豪ドルを投じる新政策を発表した。
対象となるのは航空、重貨物、鉱業といった排出削減が困難な分野であり、バイオマスや再エネ由来の水素、回収CO₂を活用した燃料が想定されている。政策は「クリーン燃料プログラム」を中心に、助成金、燃料品質基準、排出量の追跡制度を整備し、国際的な競争力確保を狙う。業界との協議を経て2025年に制度設計が進み、2026〜27年度から申請受付が開始される予定である。
オーストリア: 欧州のグリーン水素ハブを目指す新たなロードマップを発表
オーストリアはグリーン水素をめぐる将来戦略を具体化し、欧州のハブとなることを目指している。経済大臣のハットマンスドルファー氏は、産業の競争力を維持しつつ安定したエネルギー供給を確保するため、国内生産と輸入の両輪で水素に関する各種対応を強化する計画を示した。
新たに、水素の輸入戦略、水電解装置の拡充、輸送および貯蔵インフラの整備が主要な柱とされており、その一環で「南コリドール」と呼ばれる水素パイプライン構想が進められている。この構想では北アフリカからイタリアを経てオーストリアへと水素を供給するルートが検討されており、2035年までに商業規模での運用を想定している。また今年中に、水素関連の助成金制度およびEU基準に基づく認証制度が導入され、国内製造および輸入の双方が透明性と信頼性を持つ形で進められることになる。オーストリア政府はこうした施策により、産業部門の脱炭素化を推進し、新たな雇用を創出すると同時に国際市場でのポジションを強化しようとしている。
引用元: https://www.bmwet.gv.at/Presse/AktuellePressemeldungen/Wasserstoff.html?utm_source=chatgpt.com
ドイツ、デンマーク: Bornholm Energy Island計画で欧州委員会と契約締結
ドイツの送電事業者50Hertzとデンマークの送電系統運営会社Energinetは、欧州委員会および実施機関CINEA(The European Climate, Infrastructure and Environment Executive Agency )と、Connecting Europe Facility(CEF)エネルギー・プログラムの枠組みの下でBornholm Energy Island計画に関する助成契約を締結した。契約額は約6億4520万ユーロに達し、バルト海における再生可能エネルギーと国際送電網の結節点を形成する大型インフラ事業が大きな一歩を踏み出したことを示している。
同計画は、デンマーク領ボーンホルム島に建設される洋上風力発電所(総容量3GW)を中核とし、海底直流送電ケーブルと変換ステーションを整備することによって、発電した電力をドイツとデンマーク本土へ送電することを目的としている。ドイツ側には約2GW、デンマーク側には約1.2GWの電力が供給される計画であり、完成後は欧州域内の電力供給安定化に寄与するとともに、電力価格の抑制効果やエネルギー安全保障の強化にも資することが期待されている。
豪州:2035年の排出削減目標を「2005年比で62〜70%削減」と発表
豪州政府は、2035年までに2005年比で温室効果ガス排出を62~70%削減する新しい国家目標を正式に採用した。
首相アンソニー・アルバニーズは2025年9月18日、連邦労働党党員会議(Federal Parliamentary Labor Party Caucus)で気候変動庁(Climate Change Authority, CCA)の助言を受け、62~70%とする削減レンジを政府として承認したと記者会見で発表した。この新しい国家目標は、パリ協定の下での新しい国家決定貢献(Nationally Determined Contribution, NDC)の一環であり、温暖化を1.5℃に抑える努力の一部と位置づけられている。また、電力、輸送、重工業が主な排出源として削減の重点分野とされ、再生可能エネルギーの導入促進、電気自動車の普及、産業の脱炭素化を支援するための基金(50億豪ドルのNet Zero Fund等)、クリーン燃料の生産支援、EV充電インフラ整備などの政策が併せて発表された。
引用元: https://www.pm.gov.au/media/press-conference-sydney-18-september-25?utm_source=chatgpt.com
英国: 国営企業 Great British Energyの経営方針を発表
英国政府は「Great British Energy」という国営のグリーン電力会社に対するビジョンを公表した。エネルギー長官エド・ミリバンド氏によれば、Great British Energyは英国国内の再生可能エネルギー導入を拡大すること、安定的な電力供給を確保すること、公共料金支払い者を化石燃料価格の変動から守ることを柱としている。すでに学校や病院といった公共施設に太陽光パネルを設置するプロジェクトに約2億ポンドを投資しており、これにより公共サービスの電気料金を削減している。
Great British Energy は再生可能エネルギー関連のプロジェクトを開発し、投資し、所有する企業であり、民間企業・地方自治体・地域コミュニティと協力して活動を進める。商業活動から利益を得ること、2030年までに自立的に資金を生み出せる会社となることを目標としている。政府はまた、国外依存を減らし、再生可能エネルギー技術、特に洋上風力など新興・確立された技術への投資を拡大するための戦略計画を6ヶ月以内に策定させることを決めた。
引用元: https://www.gov.uk/government/news/clean-energy-and-jobs-from-publicly-owned-great-british-energy
米国:134百万ドルを投じて核融合研究を強化
米国・エネルギー省(DOE)は、核融合エネルギー技術の研究・産業化を加速させるため、134百万ドルの資金を2つの主要プログラムに割り当てた。これにより米国の核融合研究とイノベーション競争力を強化しようとしている。
この投資は、「Fusion Innovation Research Engine(FIRE)Collaboratives」に128百万ドル、「Innovation Network for Fusion Energy(INFUSE)」に6.1百万ドルが配分される。FIREは大学、国立研究所、産業界をつなぎ、基礎科学から核融合産業へ橋渡しをする仮想チーム形式の協働を通じて、核融合エネルギーの科学技術イノベーション生態系を形成することを目的としている。INFUSEは企業と研究機関(大学・国立研究所)の間の協力障壁を減らし、材料科学、レーザー技術、超伝導磁石、高温超伝導、AIを核融合モデリング・シミュレーションに応用する研究などを支援するものである。これらの取り組みは核融合エネルギーの商用化を見据えており、また国内製造・サプライチェーン強化、エネルギー安全保障・国家安全保障上の利点も含んでいる。
英国:海岸都市への11億ポンド超の投資でクリーン技術の成長と雇用を促進
英国政府は港湾や海事セクターの成長を支援するため、政府と民間あわせて11億ポンド超の投資を発表した。政府出資は約4.48億ポンドで、電動船舶、グリーン水素、アンモニア、メタノール、風力などのクリーン技術の研究開発を支援する。
港湾の電力供給インフラや再利用水を用いた水素生成など既存プロジェクトを加速し、地域雇用と経済を活性化する狙いがある。さらに港湾施設の拡充や計画申請の簡素化を通じ、地方の港湾コミュニティへの直接的な恩恵を強調している。
米国: 下院、2026年度エネルギー・水道法案を可決、エネルギー優位に転換へ
ワシントン D.C. において、9月4日、下院は2026年エネルギー・水開発および関連機関歳出法案を審議するために会合を開催。この法案は214対213の投票で可決された。エネルギー・水資源開発及び関連機関歳出法は、裁量的配分総額573億ドルを規定しており、これは2025年度の制定額より7億6,640万ドル少ない。この配分のうち、国防費は332億2,300万ドル、非国防費は240億7,700万ドルである。この法案は、米国の国家安全保障を守り、米国のエネルギー優位性を発揮し、経済競争力を強化する機関やプログラムへの資金を優先的に配分する。
2026年度エネルギー・水資源開発及び関連機関歳出法のポイントは以下の通り。
- 中国やその他の敵対国からの技術および通信機器の購入を禁止する。
- 核兵器備蓄とインフラの継続的な近代化のために206億6,200万ドルを提供する。
- 敵国に対するアメリカの優位性を維持するために、インフラと新技術に投資し、米海軍の原子力艦隊を支援するために 21 億 7,100 万ドルを提供する。
- 敵対国やテロリスト集団が核兵器を入手する危険を軽減するために19億8400万ドルを提供する。
- 戦略石油備蓄の原油を中国共産党に販売することを禁止する。
- 中国とロシアの国民による米国の核兵器生産施設へのアクセスを禁止する。
- エネルギー省が懸念のある外国の団体に財政援助を提供することを禁止する。
フランス: Ocean Winds社がフランス・オクシタニー地方初の浮体式洋上風力発電プロジェクトで洋上タービン設置を完了
EDP RenewablesとENGIEによって設立された国際的な洋上風力発電会社、Ocean Winds(OW)は、Éoliennes Flottantes du Golfe du Lion(EFGL)プロジェクトにおいて、3基目のタービン設置工事を無事に完了した。Banque des Territoires(テレワトリー銀行)との提携により開発されたEFGLは、オクシタニー地方で初めて洋上タービン設置フェーズを完了した浮体式洋上風力発電所となる。
EFGLは、10MWの風力タービン3基により、深海における浮体式洋上風力発電の実現可能性を実証し、これまでアクセスできなかった強風域の実現を可能にした。ポール・ラ・ヌーベルで組み立てられ、沖合16kmまで曳航されたこれらのタービンは、現在、RTEによるケーブルおよび送電網接続工事の最終段階を迎えており、その後、約5万人の住民にクリーンエネルギー供給を開始する。
米国: 税額控除の変更により、米国におけるバイオディーゼルと再生可能ディーゼル燃料の輸入は2025年に大幅に減少へ
米国のバイオディーゼルおよび再生可能ディーゼルの輸入量は、2025年上半期(1H25)において、前年同期比で大幅に減少した。この減少は主に、輸入バイオ燃料に対する税額控除の廃止と、これらの燃料の国内消費量の全体的な減少によるものである。
2025年上半期の米国のバイオディーゼル輸入量は平均2,000バレル/日で、2024年上半期の35,000バレル/日から大幅に減少した。再生可能ディーゼルの輸入量は平均5,000バレル/日で、2024年上半期の33,000バレル/日から減少。輸入バイオ燃料に対する税額控除の廃止と混合要件に関する不確実性とバイオ燃料の混合による利益率の悪化により、米国におけるこれらの燃料の消費量が低迷したことの2点を2025年上半期にバイオディーゼルと再生可能ディーゼルの輸入が減少した理由として挙げている。
短期エネルギー見通し(STEO)では、バイオディーゼルと再生可能ディーゼルの輸入量を明確に予測していないが、米国の純輸入量は予測している。予測期間中、両製品の輸入量は低水準であると想定し、2025年と2026年の米国のバイオディーゼル純輸入量は2012年以来の最低水準になると予測している。
オランダ: オランダ政府、RWE社のエームスハーフェンの電解槽プロジェクトに助成金を交付
オランダ企業庁(RVO)は、オランダ北部エームスハーフェンのマグナム発電所付近でRWE社が進める100メガワット(公称設備容量)の水電気分解水素製造プロジェクトに対し、5億5,100万ユーロの資金援助を交付した。
同社は、現在合弁パートナーであるTotal Energiesと共同で建設中のOranje Wind洋上風力発電所で発電されるグリーン電力を水電解水素製造装置に供給する計画である。
グリーン水素は同社の投資戦略の基盤となる要素であり、オランダでは、ロッテルダムやゼーラントなどの地域において、グリーン水素を供給するための水電解水素製造装置建設の機会を開拓している。
ドイツとフランス:南西水素回廊 H2Med & Hy-FENプロジェクトへの政府関与を再確認
8月29日 | トゥーロン|フランスとドイツは、第25回仏独理事会で南西水素回廊(H2Med & Hy-FEN)へのコミットメントを再確認し、実現可能性調査と国境を越えたインフラに関する共同タスクフォースの設置を発表した。
第25回仏独閣僚理事会における水素に関する主なポイントは以下のとおり
- EUエネルギー枠組みに関する協力プロセス
- 国境を越えた水素インフラに関する協力と、実用的かつ費用対効果の高い水素生産の拡大の実施
- エネルギー分野における研究と革新技術
- エネルギー集約型産業
引用元: https://www.france-hydrogene.org/en/august-2025-the-french-hydrogen-diplomacy-monthly-news/
デンマーク: Energinetとデンマーク気象研究所が衛星による太陽光予測でより安価で信頼性の高い電力供給を実現
デンマーク気象研究所(DMI)とEnerginetは、デンマーク全土における電気料金の引き下げと供給の安定性強化を支援する協力協定を締結した。衛星画像とAI技術を用いて生成される、個々の太陽光発電所の太陽光予測を頻繁に提供することで、発電量のより正確な予測が可能となる。
Energinet は、デンマーク気候・エネルギー・公益事業省が所有する独立公営企業であり、デンマークにおける電力およびガスの送電システムを所有、運営、開発している。太陽光発電所の雲量を10分ごとに予測できれば、より安価で信頼性の高い電力供給の恩恵を誰もが受けられるようになる。DMIの正確な予測によって、Energinetは将来的に国内の電力網の需給バランス調整を容易に行うことが可能とのこと。
EU: イノベーションファンドウェビナー – イノベーションファンド2025水素製造オークション(IF25水素オークション)が9月22日に開催
2025年9月22日、欧州委員会の気候行動総局は、 イノベーション基金の 2025年水素製造オークション(IF25水素オークション) の利用規約(T&C)草案に関するウェビナーを開催。
このイベントでは、9月14日までの6週間にわたる パブリックコメントで寄せられた主なフィードバックの概要が紹介される。また、ウェビナーでは参加者の質問機会も設けているとのこと。興味を持つ方は詳細及び登録はリンク先からアクセスされたい。
中国: 2027年からGHG排出削減を目的に排出総量規制(キャップ制)を導入する方針
中国共産党中央弁公庁と国務院は、カーボン市場の構築を加速するための方針を発表した。この方針では、GHG排出削減を市場メカニズムを通じて達成することを目的としており、2027年までに工業分野の主要排出業界(明言していない)をカバーし、2030年までに全国炭素排出権取引制度(中国ETS)を確立することを目指している。
中国共産党が、企業の排出量に対して、絶対的な上限を設け、その範囲内で排出枠を取引できる仕組みだ。2021年からスタートした現在の中国ETSは、企業の生産量や排出効率に基づく「排出強度ベース」で排出枠が配分されており、これが過剰な配分を引き起こし、炭素市場拡大の妨げとなっているとの指摘がある。2027年から導入される「絶対排出上限(キャップ制)」は、EU-ETSと同様に、排出総量に明確な上限を設ける方式であり、国際的な制度との整合性を高める狙いがあるとみられる。
ドイツ、オーストラリア: H2Globalを通じて水素協力を強化
ドイツとオーストラリアは、グリーン水素の輸出入を促進するため、共同入札制度「H2Global」の設計に関する意見募集を開始した。
両国政府は、2026年上半期に入札を開始し、2028~2038年度にわたる生産支援を予定している。4億ユーロの資金を共同で拠出し、オーストラリアの水素生産者がヨーロッパの市場に製品を輸出できる機会を提供する。
入札は、H2Global プログラムを運営するNPOであるHintcoが長期契約で水素を購入し、最高入札者に転売する二重価格方式を採用する。オーストラリア政府は、プロジェクトの最小規模や派生商品の取り扱いなどについて、9月30日まで意見を募集している。
引用元: https://www.dcceew.gov.au/energy/hydrogen/australia-germany-h2global-joint-tender
スイス、デンマーク: 炭素貯留に関する協定締結
2025年9月3日、スイスとデンマークは二国間で炭素貯留に関する協定を締結した。この協定により、スイスからデンマークへのCO₂輸出が可能となり、デンマーク国内での永久的な貯留が実現する。
デンマークは、ノルウェーに続いてスイスのCO₂貯留のパートナー国となり、今後の気候目標達成に向けた重要な役割を担うことになる。さらに、スイス政府は、この協定が炭素除去技術分野での協力強化を促進し、両国の環境政策に大きな影響を与えると期待している。
引用元: https://www.news.admin.ch/en/newnsb/ftxHitUOXp5FbTy0J-om-
シンガポール: 企業の負担を軽減するために気候変動報告義務の実施期限を延長
シンガポール会計企業規制庁(ACRA)とシンガポール証券取引所規制機構(SGX RegCo)は、上場企業や大規模未上場企業(Large NLCos)に対する気候変動報告(外部保証を含む)の実施期限を延長し、報告能力の開発をサポートすることを発表した。
2025年度から、上場企業はScope 1および2のGHG排出量を報告することが義務付けられ、2026年度からはSTI(ストレーツタイムズ指数、シンガポール取引所に上場している主要30銘柄)構成企業に対してScope 3の報告が義務化される。また、他のISSB基準の規定項目に基づく報告は、STI構成企業に対して2025年度から義務化され、非構成企業は2028年度から適用される。
これらの変更は、企業の気候変動に関する報告能力の開発を支援し、将来的にグローバルなサプライチェーンでの位置づけを維持するために必要な報告能力の構築を促進することを目的としている。
引用元: https://www.acra.gov.sg/news-events/news-details/id/887
EU: The Connecting Europe Facility (CEF) for Energyにおける補助金プログラムの支援対象として5つの新規プロジェクトを指定
欧州委員会は、The Connecting Europe Facility (CEF) for Energy の補助金プログラムの支先として5つの新たな越境再生可能エネルギープロジェクトを指定した。これらのプロジェクトはCEF Energy(EU内およびEU外の国々でのエネルギーインフラの整備と統合を支援するために、再生可能エネルギー、電力網、ガスインフラのプロジェクトに資金を提供する欧州連合の支援プログラム)に財政支援を申請する資格を獲得している。
新たに追加された上述の5つのプロジェクトは以下の通りである。
- Twin Heat:ポーランドのスワブツィツェとドイツのフランクフルトの地区暖房システムを再生可能エネルギー基盤で脱炭素化。バイオマスボイラーと越境熱交換を導入する。
- Liivi Bay Offshore Wind Farm:エストニア・リガ湾に建設される1GW規模の洋上風力発電所。2031年からの稼働を予定し、エストニアの再生可能エネルギー100%目標に貢献する。
- Utilitas Eleja-Jonišķis Wind Park:ラトビアとリトアニアの国境を跨る200MW規模の陸上風力発電所。2028年から稼働予定で、地域の電力供給とエネルギー独立性を強化する。
- Comprehensive Offshore Renewable Energy Studies (CORES):ポルトガルとルクセンブルクが協力し、浮体式洋上風力発電のための基礎研究を実施。最大10GWの洋上風力容量の開発を目指す。
- Medlink Renewable Generation (MedGen):アルジェリアとチュニジアに10GWの太陽光および風力発電容量を設置し、バッテリー蓄電システムを導入。イタリアへの年間22.8TWhのクリーン電力輸出を予定。
米国: エネルギー技術の商業化加速に向け、42のプロジェクトへ3,500万ドルを投資
米国エネルギー省(DOE)の技術商業化局(OTC)は、技術商業化基金(TCF)を通じて、2025年度に42のプロジェクトに対し、総額3,500万ドルの連邦資金が投資することを発表した。
支援対象となるプロジェクトは、DOEの国立研究所や施設で開発された革新的なエネルギー技術を市場に導入することを目的としており、民間および公共のパートナーから2,100万ドル以上の共同出資を受け、総資金は5,750万ドルを超える。選定されたプロジェクトは、商業化の課題に対処し、有望な技術の開発を加速し、効率的に革新的なエネルギーソリューションを市場に提供するためのプロセスを合理化することを目指している。
米・コロラド州: 新たな省エネルギー・低炭素建築基準で再生可能エネルギーを任意要件に
2025年9月2日、コロラド州エネルギー局(CEO)は、新しい「モデル省エネルギー・低炭素建築基準(Model Low Energy and Carbon Code)」を発表した。この基準は、商業ビルの再生可能エネルギー要件を撤廃し、再生可能エネルギーを任意の選択肢とすることで、建設業者に選択の柔軟性を提供することを目的としている。
新基準は、2026年7月1日から適用され、以後全ての自治体は、この基準またはそれ以上のエネルギー効率と汚染削減を実現しなければならない。新たな基準は、新築住宅や商業ビルのエネルギー消費を削減し、エネルギーコストを削減するだけでなく、室内空気質の改善、換気の強化、空気漏れの封鎖、電化の促進にも寄与する。また、この基準は、極端な温度に対する建物の耐性を高め、寒冷時に暖かく、熱波時に涼しく保つことを可能にし、気候変動への適応力を向上させる。
日本: 岩手県奥州市で渇水と高温による作物への影響を鑑み、水利施設管理強化事業特別型(渇水・高温対策)の要望を受付し、補助金を交付へ
岩手県奥州市では、渇水および高温による農作物の生育に悪影響のおそれが出ることを受け(胆沢ダムの貯水率:8月27日時点の利水容量4.3%)、8月13日から水利施設管理強化事業特別型を活用した支援を行うため、要望受付を開始している。 応急ポンプ等の調達、設置、運転経費、深水管理、昼間湛水、夜間落水等の対応に係る人件費を対象として補助金を対象経費の1/2交付する。対象は、市内の土地改良区、農業水利組合及びため池管理組合等の農業用水を管理、利用を目的とする団体。
引用元: https://www.city.oshu.iwate.jp/soshiki/7/1058/2/kassuikokoon/16621.html
シンガポール:Horizon Fuel Cell TechnologiesがAEM型の水電解水素製造装置5MWを2025年末に導入予定
8月4日、2003年にシンガポールで創業したHorizon Fuel Cell TechnologiesがRockcheck Steel Group Co Ltdの子会社にAEM型の水電解水素製造装置5MWを導入準備中であると公表した。同社設置の太陽光発電を利用してグリーン水素を製造する。グリーン水素はロックチェック・スチール・グループの高炉操業用のガスパイプラインに注入され、石炭消費量と炭素排出量の削減を目指すものである。 同社のAEM AEM型の水電解水素製造装置は、従来のアルカリ型水電解水素製造装置と比較して電力消費を10~20%削減し、水素の均等化原価(LCOH)を実現し、1kgあたり2米ドルという低コストでグリーン水素を製造するとのこと。
シンガポール:エアバス社がインドネシアのバイオマス由来のSAF製造に関心
Indonesia’s Bogor Agricultural University(IPB)ボゴール農業大学のバイオエネルギー研究センター(the Surfactant and Bioenergy Research Center:SBRC )はガス化プロセスによって固形バイオマスをバイオオイルに変換する技術を研究しており、エアバス・シンガポール社がこのアプローチに関心を示している。2030年以降にSAFの脂質源が枯渇し、バイオマスが主な代替燃料となるため、同社は検討しているとのこと。
エネルギー鉱物資源省(ESDM)新・再生可能エネルギー・エネルギー保全総局バイオエネルギー部長のエディ・ウィボウォ氏(MSi)は、政府が現在バイオエネルギーの発展を支援するためにさまざまな規制を起草中であることを強調し、「このバイオエネルギーは国内需要を満たすものです。この潜在力を最大限に活用し、国のエネルギー自立と安全保障を支えたいと考えています」と述べたとのこと。
ドイツ:気候変動対策資金は農村部の世帯の負担を軽減することに繋がる
7月2日のGerman Institute for Economic Research (DIW) のレポートによれば、CO2価格設定が一般家庭の燃料および暖房エネルギー消費に与える影響を分析しており、気候変動対策資金の地域的分散が、農村世帯の負担を軽減し、農村部における潜在的な困窮事例の割合も減少させることを示した。だが、気候変動対策資金の定額支払いを伴う炭素価格設定は、都市部よりも農村部で受け入れられにくいことが示されていることから、地域ごとに異なる気候手当があれば、農村部での炭素価格設定が受けいれられる可能性がある。
将来的には、気候変動対策支援の額を所得に連動させ、高所得者層には気候変動対策資金の定額支払いを減額するといったことも可能になる。これは、地域ごとに差別化された気候変動対策支援制度によっても可能となり、財政的余裕が生まれることになる。気候変動対策資金は、変革支援プログラムの資金調達や、特にエネルギー効率の低い建物に居住する世帯など、エネルギーコストの負担が特に大きい困難な状況にある人々への的を絞った支援に活用できるだろう。困窮事例を減らすために、建築物の省エネ改修を強化することができると締めくくっている。
米国:カリフォルニア大気資源局(CARB)は、上院法案(SB)905の実施に向けCCUSに関する助言を募集
カリフォルニア大気資源局(CARB)は、上院法案(SB)905(カバレロ、2022年制定)の実施に向けた作業を支援するため、助言等のフィードバックを募集している。本募集により、CARBは幅広い関係者から、法案の実施やCCUSの開発に関する重要な情報を収集することを可能とするものである。
カルフォルニア州議会は、州議会法案1279(AB 1279)において、できるだけ早く、遅くとも2045年までにカーボンニュートラルを達成し、その後も温室効果ガスの正味排出量をマイナスに維持し、2045年までに州全体の人為的温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも85%削減するという州の政策を確立するとしている。この法案は、CARBに対し、スコープ計画の更新においてカーボンニュートラル達成のための対策を特定・推奨すること、ならびにCO2除去ソリューションおよび炭素回収・利用・貯留(CCUS)技術を可能にする政策および戦略を特定・実施することを義務付けている。
加えて、上院法案905(SB 905)は、CARBに対し、CCUSおよび炭素回収・利用・貯留(CDR)プロジェクトおよび技術を評価、実証、規制するための炭素回収・除去・利用・貯留プログラムを作成することを義務付けている。
8月
スペイン・ベニドルム市: ISO 14046準拠のWater Footprint管理計画に向け技術支援契約をHidraqua社と締結
ベニドルム市は、EUGreen観光計画「Benidorm Visión 360」に基づき、観光地としての持続可能性を高める一環として「包括的なWater Footprint管理計画」を進めている。この施策は欧州のNext Generation EUなどによる回復・変革・強靭性(Plan de Recuperación, Transformación y Resiliencia)を背景に構築された取り組みである。
此度、市は技術支援の実施主体として水インフラ事業者Hidraqua社を選定し、契約を締結した。この契約には、計画の立案および実行を支えるプラットフォームの開発が含まれ、契約金額は65,000ユーロ、全体予算としては465,000ユーロが見込まれている。
本計画は、水の消費と汚染の全体像を把握し、ありとあらゆる経済活動(市政、農業、産業、観光)における水管理の効率と有効性を向上させるために策定されたものであり、具体的には地域全体で消費される淡水量や、食品・産業・観光サービスの生産過程で使用される水量を可視化することを目的としている 計測結果は公開され、第一年度分の成果を基にした啓発・説明会も予定されており、市民や関係事業者へ向けてWater Footprint削減に向けた取り組みを促進する仕組みも備えている。
チリ: グリーン水素推進へ 税制インセンティブ導入法案を国会に提出
チリ政府は、2025年8月19日に財務省がエネルギー省および経済・振興・観光省と共同で立案した「グリーン水素産業振興法案(Proyecto de Ley de Fomento a la Industria del Hidrógeno Verde, H2V)」を下院に提出した。この法案は、再生可能エネルギー由来のグリーン水素が唯一放出するのは水蒸気であるという特性から、国の脱炭素化政策において重要なステップと位置づけられている。
法案の柱となるのは、企業が地元生産者からグリーン水素またはその派生物(例えばアンモニアやメタノール)を購入する際に、第一次所得税(IDPC)に対する税額控除を適用できる点である。この税額控除は、最初に行われた購入にのみ適用され、その上限額は総額で最大28億米ドルに設定されている。このインセンティブは、財務・エネルギー・経済の3省が参加する委員会によって、コンペ形式で毎年割り当てられる仕組みとなっており、2025年から2030年にかけて6回にわたる入札が予定されている。初期段階では高いボリュームの支援が行われ、その後徐々に控除額の上限が引き下げられる設計である。
インド: 初のグリーンアンモニア調達入札は55.75ルピー/kg。昨年実施のH2Global入札価格比で55%の価格低減を実現
インド国家グリーン水素ミッションの一環として、新・再生可能エネルギー省(MNRE)の下で再生可能エネルギー開発公社(SECI)が実施した初のグリーンアンモニア調達入札において、史上最低価格となる55.75ルピー/kg(約641米ドル/トン)が記録された。これは2024年のH2Global入札における100.28ルピー/kg(1,153米ドル/トン)より大幅にコストダウンしたものである。
今回の入札は、オディシャ州のParadeep Phosphates Limited向けに年間7.5万トンを供給する契約であり、今後1か月間で予定される13件の入札の先駆けとなる。累計では年間72.4万トン規模の調達が計画されている。また、この価格は2025年3月時点でのグレーアンモニア価格(約515米ドル/トン)に近い水準であり、オフテイカーにとって10年間の固定価格契約による経済合理性が強く働くものとなった。
引用元: https://www.pib.gov.in/newsite/pmreleases.aspx?mincode=28
米国: 重要鉱物・資材の確保に向け約10億ドルの資金提供を発表
米国エネルギー省(DOE)は2025年8月13日、国内の重要鉱物や資材の供給基盤を強化するため、総額でおよそ10億ドルに相当する資金提供を実施すると発表した。この措置は、トランプ大統領が掲げる「Unleashing American Energy」大統領令に基づくものであり、エネルギー安全保障と産業競争力を高める戦略の一環である。
今回の資金は、リチウムやニッケル、コバルト、希土類元素など、次世代エネルギー転換に不可欠な素材を対象としている。DOEは、バッテリー材料の処理や製造、リサイクルの拠点整備に多額の資金を配分するとともに、希土類元素サプライチェーンの確立に向けて採掘廃棄物からの抽出や精錬技術の実用化を推進する方針を示した。さらに、石炭関連施設など既存の産業インフラを活用して副産物から重要鉱物を回収する実証事業も支援対象に含め、初期段階の研究開発成果を商業化に結び付ける加速プログラムを立ち上げる。
米国:消費者と海運業を守るためIMOの“ネットゼロ枠組”に反対する共同声明
米国政府は、国際海事機関(IMO)が提案する「ネットゼロ枠組(いわゆるグローバル炭素税)」に対し断固として反対する共同声明を発表した。声明では、この枠組が米国民への追加負担となる「事実上の炭素税」であり、国連傘下の非透明な機関によるものであると批判する。また、高価で広く供給されていない燃料を強制し、米国が強みを持つLNGやバイオ燃料などの低排出技術の使用を妨げる構造になっていると指摘している。
この制度に基づき燃料基準や排出目標を満たせない船舶には罰金が科されることになり、その結果、エネルギー、輸送、クルーズなどにかかるコストが上昇し、最終的には米国の消費者にその負担が跳ね返るという懸念が示された。小規模な船舶であっても数百万ドル規模の罰金に直面し得るという見通しが示されており、これは明らかに米国の経済利害に反する措置とされている。声明では「米国民、エネルギー供給者、海運会社、その顧客あるいは観光客に負担をかける如何なる行動も容認しない」と明言。また、他のIMO加盟国に対してもこの提案への支持を見合わせるよう呼びかけ、必要であれば報復措置や救済策の検討も辞さない構えを示している。
スペイン: イベルドローラ・スペインがバーガーキングと34MWのPPAを締結
イベルドローラのスペイン子会社であるイベルドローラ・スペインとバーガーキングは、 34MWの太陽光発電エネルギーに関する新たな長期電力購入契約(PPA)を締結した。これにより、スペイン国内のレストラン900店以上の年間需要を賄う109MWが供給されることになる。同この新たな契約により、イベルドローラ・スペインはレストランチェーンに合計1,900ギガワット時(GWh)の太陽光発電エネルギーを供給することが可能となり、バーガーキング®の再生可能エネルギー利用の推進を加速させ、エネルギー安全保障の向上に貢献することになる。イベルドローラはPPA(電力購入契約)において豊富な経験を有している。スペイン、ポルトガル、ドイツ、イタリア、英国、米国、ブラジル、メキシコ、オーストラリアにおいて、陸上・洋上風力発電および太陽光発電プロジェクトに関する電力購入契約を管理している。
ドイツ: WindEuropeが第2回洋上風力発電入札に関し、入札モデルを改正すべきと意見
8月6日、ドイツが2025年に実施した第2回洋上風力発電入札においてN-10.1とN-10.2の2つのサイトで不調に終わったことを受け、「ドイツの洋上風力発電入札の設計は、目的に適っていない」と声明を発表。ドイツの現在の洋上風力発電入札は、ネガティブ入札に依存しており、収益の安定化を全く提供せず、入札者を制御不能なリスクにさらすと意見した。上限のないネガティブ入札(「第二入札要素」)は、洋上風力発電所の開発権を得るために多額の支払いを要求するため、洋上風力発電開発業者への財政的圧力をさらに強めているとのこと。
「今回の入札結果は、ドイツ政府にとって警鐘となるはずです。ネガティブ入札はコスト増加を招き、洋上風力発電のコストを上昇させ、入札に参加する意思と能力のある企業の数を減少させます。ドイツが洋上風力発電の目標を達成し、産業競争力を強化するために、入札モデルを改正すべき時が来ています」と、WindEuropeのアドボカシー&メッセージング担当ディレクター、ヴィクトリア・ケレルスカ氏は述べている。風力発電はすでにドイツの全電力消費量の30%を占めている。これは、家庭や産業にとって競争力のある電力価格の基盤であり、ドイツだけでなく欧州全体のエネルギー安全保障にも貢献していること。
日本: 気候関連リスクに関する第二次シナリオ分析(銀行セクター)」の公表
2025年6月20日公表、2025年7月29日更新。金融庁と日本銀行は、大手銀行3行と共同で、気候関連リスクに関する第2次シナリオ分析を実施し、この分析から得られた主要な知見と、そこから導き出された課題・問題点をまとめた報告書「気候関連リスクに関する第2次シナリオ分析(銀行セクター)」を公表した。
第1回シナリオ分析(「共通シナリオに基づく気候関連リスクに関するパイロットシナリオ分析演習」)と同様に、第2回シナリオ分析の目的は、気候関連リスクの影響を定量的に評価することではなく、将来の改善点を特定すること。分析では、銀行の財務状況に大きな影響を及ぼす可能性のある貸出(信用リスク)への影響を評価している。
引用元: https://www.fsa.go.jp/en/news/2025/20250620_1/20250620_1.html
ドイツ: Mainzer Stadtwerke AGが水電解層を5MW規模にリニューアル設置
Mainzer Stadtwerke AG と Linde GmbH は、は、Mainzer Stadtwerke AGが運営するマインツ エネルギー パークの水電解層をリニューアル(2・0とする)し、約5MWの最新システムに置き換えられ、同時に既存の水素充填システムも近代化される。マインツ2.0エネルギーパークの建設は2025年夏に開始され、2027年の稼働開始が予定されている。
マインツァー・エネルギーパークは、2015年にパイロットプロジェクトとして稼働を開始し、風力発電による環境に優しい電力を用いて水素を製造している。出口圧力は、従来の200バールから300バールに引き上げられる。連邦デジタル・運輸省から約250万ユーロの資金提供を受けている。
引用元: https://www.mainzer-stadtwerke.de/aktuelles/aktuelle-meldungen/2025/08/energiepark-2
米国:グランドキャニオン含む米国西部では大規模な干ばつと山火事が発生
8月6日現在、米国干ばつモニター(the U.S. Drought Monitor)によると、これらの地域の多くは干ばつにも見舞われている。 InciWebによると、現在、鎮火していない、あるいは部分的に鎮火した最大の山火事は、アリゾナ州グランドキャニオン国立公園で燃えているドラゴン・ブラボー山火事(13万520エーカー)、南カリフォルニアのギフォード山火事(8万3933エーカー)、そしてアラスカ州中東部で燃えているベア・クリーク山火事(7万3197エーカー) である。
蒸発需要が高い時期は、干ばつや火災の危険性の高まりと関連しており、7月の蒸発需要干ばつ指数(EDDI:the Evaporative Demand Drought Index )は、南西部、オレゴン州西部、ワシントン州、南フロリダ、そして北東部で蒸発需要が高かったことを示している。
平年より高い気温、晴天、強風、そして低湿度は蒸発需要を増加させ、地表の乾燥を加速させる。土壌水分の減少は、植物が利用できる水分量を減らす。長期間にわたる降水量の少ない時期と長期間にわたる蒸発需要の高い時期が重なると、植生は深刻な乾燥状態に陥り、急速に広がる山火事を助長する可能性があるとのこと。
https://www.drought.gov/news/summer-2025-drought-and-wildfire-11-maps-2025-08-06
EU: 26のEU加盟国に対しREDⅢの国内法化措置を要求
欧州委員会は、改正再生可能エネルギー指令(Directive (EU) 2023/2413)の国内法化を期限までに完全に行い、その措置を委員会に通知していないとして、ベルギー、ブルガリア、チェコ、ドイツ、エストニア、アイルランド、ギリシャ、スペイン、フランス、クロアチア、イタリア、キプロス、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、ハンガリー、マルタ、オランダ、オーストリア、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、スロバキア、フィンランド、スウェーデンの26加盟国に正式通知書を送付した。デンマークのみが期限内に完全移行を通知している。
同指令は2023年に採択され、電力分野のみならず、進捗が困難とされる熱供給・冷房、建築物、輸送、産業分野での再生可能エネルギー導入を加速することを目的としている。また、原産地証明の強化、電化やグリーン水素の推進によるエネルギーシステム統合の促進など、横断的な制度強化も盛り込まれている。これにより、EUエネルギー部門のGHG排出量削減やエネルギー安全保障強化、エネルギー価格低下、EU経済の競争力向上が期待される。
加盟国は2か月以内に対応と通知を行う必要があり、期限内に十分な対応がなされない場合、欧州委員会は理由意見(欧州委員会が加盟国に対して行う法違反手続の第二段階で、対応がなされない場合は提訴に至る。)を発出する可能性がある。
引用元: https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/inf_25_1842
GHG Protocol : Scope 2算定基準改訂案のパブリック・コンサルテーションが今秋に開始される
2025年8月1日、GHGプロトコルの独立基準委員会(ISB;Independent Standards Board)はScope 2(購入電力・蒸気・熱に伴う間接排出)の算定基準改定案について、秋から60日間のパブリック・コンサルテーションを実施すると発表した。
今回の改定案は、企業間での算定の一貫性と信頼性を高めることを目的としており、ロケーションベース手法では精緻な排出原単位を導入することとした。マーケットベース手法では、クリーン電力調達について時間別および地理的なトラッキング要件を新設するが、時間別トラッキングは企業が自発的にクリーン電力の主張を行う場合のみ必須とする。
主要要件は2026年半ばに確定し、Scope 2を含む全面改訂は2027年末の公表を予定している。
EU: 中小企業向けの自主的なサステナビリティ報告推奨基準を発表
欧州委員会は2025年7月30日、従業員数が1,000人以下の中小企業を対象に、自主的なサステナビリティ情報開示を実施するための推奨基準を策定・公表した。この取り組みは、CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive;企業サステナビリティ報告指令)での適用外の中小企業が、大企業や金融機関からの情報要求に対応しやすくなるよう設計されている。推奨基準はEFRING(EFRAG を通して開発された技術助言機関)が作成し、欧州委員会は、これらの要求を行う大企業・金融機関に対して、可能な限りこの自主基準に基づいて情報を求めるよう奨励している。
中小企業は自主的に報告を行うことで、サステナビリティへの取り組みの可視化や管理につながり、サステナブルファイナンスへのアクセスが改善される可能性がある。今回の推奨基準は、CSRDによる義務化が段階的に導入される中で、市場における情報要求の負担を抑えつつ、透明性を推進する役割を果たすものとして位置付けられている。今後、この自主基準は法的拘束力を持つ「委任付令(delegated act)」として正式採択される可能性があり、その進行状況は立法手続きによって左右される。
引用元: https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_25_1843
ドイツ、カナダ: H2Global による共同水素公募に向け市場協議を開始
ドイツ連邦経済エネルギー省(BMWK)とカナダ天然資源省(NRCAN)は、両国間でグリーン水素取引を促進する共同公募に向けた市場協議を開始した。本件は、製造コストと販売価格の差額を補填する仕組みであるH2Globalの枠組みを活用するもので、総額最大4億ユーロの支援を両国が折半して拠出する。
ドイツ側は気候変動基金(KTF)から最大2億ユーロを充当し、カナダも同額を負担する予定である。H2Globalは非営利基金とその子会社HINT.CO GmbHによって運営され、国際的なグリーン水素市場の拡大と価格安定化を目的としている。ドイツはすでにオランダとの共同公募を進めており、他国との連携や単独公募も並行して実施している。
カナダ: ノバスコシア州沖に初の洋上風力発電エリアを指定
2025年7月29日、カナダ政府とノバスコシア州政府は、ノバスコシア州沖において初の洋上風力発電開発エリアを正式に指定した。指定されたエリアは、フレンチバンク(French Bank)、ミドルバンク(Middle Bank)、セーブルアイランドバンク(Sable Island Bank)、シドニーバイト(Sydney Bight)と呼ばれる4区画であり、これらは将来の洋上風力発電プロジェクトの候補地となる。
ノバスコシア州は2030年までに5GWの洋上風力発電プロジェクトを認可し、地域のエネルギー安全保障と経済的利益の向上を目指している。次のステップとして、指定されたエリア内での入札対象地を特定し、年内に初回の入札を実施する予定である。これにより、ノバスコシア州はクリーンエネルギーの主要輸出国としての地位を確立することを目指している。
7月
ドイツ: 北海・バルト海で洋上風力由来の電力を利用し海水から水素を抽出
環境に優しく費用対効果の高い方法で、塩水電気分解を用いて水素を製造することです。しかも、効率を最適化し、化学触媒の使用を最小限に抑える、SalYsAseプロジェクトが展開。このプロセスは、環境に優しく費用対効果の高い方法で実行するために、バクテリアを生体触媒として利用する。
キールGEOMARヘルムホルツ海洋研究センターの地球微生物学教授であるミルヤム・ペルナー博士が主導するこのプロジェクトは、Ocean Research Kielおよびテクノロジー企業Element22と共同で実施されており、ドイツ連邦研究技術宇宙省(BMFTR)の資金提供を受けている。
引用元: https://www.geomar.de/news/article/gruener-wasserstoff-aus-dem-meer
EU: 欧州イノベーション技術機構(EIT:The European Institute of Innovation and Technology )が最新のビジョンを発表
欧州イノベーション技術機構(EIT)理事会は7月29日、2028年から2034年までの次期EU長期予算(多年度財政の枠組み)においてイノベーションを通じて欧州の競争力を高めるための具体的なステップを概説した最新のビジョンを発表した。
発表されたビジョンは、EITの将来の役割の中核となる2つの戦略目標を再確認している。(1)ヨーロッパ全体のイノベーションギャップを埋めること、特にEIT地域イノベーションブースターなどのイニシアチブを通じて拡大している国々において、(2)スキルギャップを埋めてヨーロッパの競争力に必要な人材を提供する。
米国: カーボンダイレクトとマイクロソフトがCDR基準第5版を発表
炭素管理会社であるカーボンダイレクトとマイクロソフトは過去五年間、CDR 業界における重大な課題を認識してきた。市場には多くの CDR プロジェクトが存在するものの、その多くには、ベースラインの確立から継続的な監視、報告、検証に至るまで、品質のギャップがる。品質評価における大きな課題は、CDR プロジェクトの開発者と購入者がクラス最高の CDR プロジェクトを定義するための共通フレームワークがないことである。
今回の二酸化炭素除去基準の第5版は、Carbon Direct、Microsoft、そして産業界と学界の独立審査員からなる50名を超える科学寄稿者により作成されたもの。
英国:英国政府はSAF生産企業17社6,300万ポンドを分配し、1,400人を雇用へ
航空大臣が7月22日にSAFを開発する英国企業17社が6,300万ポンドのAdvanced Fuels Fund (AFF) を提供することを発表。AFFの投資は英国産のSAF生産の世界的リーダーとして 位置付けるのに役立ち、約1,400人の雇用を支援すると政府は考えている。加えて、経済成長を促進し、変革計画の実現に向けた複数の空港拡張計画の承認を支援するとのこと。
マイク・ケイン航空大臣は次のように述べている。「この6,300万ポンドは、英国のグリーン航空革命の幕開けとなる。私たちは英国の優れたイノベーションを支援するだけでなく、数千もの高技能雇用を創出し、英国を世界の持続可能な航空市場の最前線に位置付ける。」 AFF受領者は、 オックスフォード空港で実証プラントを開発中のOXCCU Techや、ティーズサイドに商業規模のプラントを建設中のLanzaJetなど、全国各地に広がるさまざまな企業が含まれている。
引用元: https://www.gov.uk/government/news/63-million-lift-off-for-clean-aviation-fuels
米国: カーター下院議員とフラッド議員が持続可能な航空燃料情報法を再提出
7月22日トロイ・A・カーター下院議員 (ルイジアナ州民主党) とマイク・フラッド下院議員 (ネブラスカ州共和党) が超党派の 持続可能な航空燃料情報法案(以下SAF情報法案)を再提出した。この法案は、米国エネルギー情報局(EIA)に対し、同局が定期的に追跡している他の燃料の種類と同様に、持続可能な航空燃料(SAF)を週次および月次レポートに含めるよう指示している。
SAF情報法案は超党派法案であり、SAF の生産、輸入、原料に関する重要な情報を関係者に提供するものとなる。SAF情報法案は、先進バイオ燃料協会、米国農業協会連合会、米国大豆協会、米国サトウキビ連盟、グレーター・ニューオーリンズ社、グロース・エナジー、ルイジアナ農業協会連合会、全米トウモロコシ生産者協会、全米油糧種子生産者協会、ネブラスカ州トウモロコシ生産者協会、ネブラスカ州農業協会連合会、ネブラスカ州大豆協会、再生可能燃料協会、ネブラスカ州再生可能燃料、および SAF 連合によって支持されている。
ドイツ: 2055年までの水素コアネットワークの使用料金を1kWh/h/年あたり25ユーロに設定
ドイツ連邦ネットワーク庁は、全国統一の水素コアネットワークの使用料金(顧客が水素コアネットワークに水素を供給したり、水素コアネットワークから水素を排出したりする際に支払わなければならない全国一律の標準料金)を1kWh/h/年あたり25ユーロと定めた。この料金は、2055年までのインフラ整備に必要なコストを回収しつつ、市場競争力を維持することを目的としている。
料金設定は、ネットワークの建設費用や水素市場の成長予測を基にした詳細なシナリオ分析に基づいている。連邦ネットワーク庁の長官クラウス・ミューラー氏は、「すべての市場参加者に計画の確実性を提供し、適正な価格で水素コアネットワークへのアクセスを可能にする」と述べている。この料金は、ドイツの水素インフラの商業化に向けた重要なステップとなる。
オランダ: 11件:計602MWの水電解装置プロジェクトが2030年の完成を予定
オランダの企業11社が、合計約602MWの水電解装置を導入するプロジェクトを発表した。これらの設備は、再生可能エネルギーを用いてグリーン水素を生産し、精製所や化学産業、燃料ステーションなどでのGHG排出削減に貢献する。
水電解装置導入プロジェクトは、オランダの大規模水素生産補助金制度(OWE)の第2回公募により、総額7億ユーロ以上の補助金を受ける。この補助金は、0.5MW以上の水電解装置を導入し、再生可能エネルギーでグリーン水素を生産する企業が対象である。補助金の支給基準は、プロジェクトの経済性や実行可能性を評価している。これらのプロジェクトは、2030年半ばまでの完成を予定しており、持続可能な水素の開発を加速することが期待されている。
EU: 欧州委員会は中国からのバイオ燃料輸入に関する不正調査を完了 – 詐欺の証拠は確認されず
欧州委員会は、2023年3月にドイツ当局から通報された中国からのバイオディーゼル輸入に関する不正疑惑の調査を完了した。調査結果、証明書発行監査において体系的な弱点は見つかったものの、詐欺行為の証拠は確認されなかった。
ドイツ当局は引き続き、必要に応じて追加の調査を行うことができる。欧州委員会は、バイオ燃料市場における不正リスクを軽減するため、持続可能性認証に関する実施規則(EU/2022/996)の強化や、EU全体でのバイオ燃料データベースの義務化に向けた議論を進めており、2026年初頭の法的整備を目指している。
英国: 初の商業規模グリーン水素プロジェクト10件が契約締結
イギリス政府は、2025年7月23日に、同国で初めて商業規模で稼働するグリーン水素プロジェクト10件が契約を締結したことを発表した。これらのプロジェクトは、イギリスの「水素配分ラウンド1(HAR1)」の第一フェーズに基づいており、国家の産業再生とクリーンエネルギーへの移行を加速するための重要なステップとなる。この第一フェーズで選ばれた10件のプロジェクトは、イギリス全土で実施され、グリーン水素の商業化を目指して建設が進められる。
具体的には、これらのプロジェクトは、イギリスの水素戦略に基づいて、再生可能エネルギーから生産されたクリーンな水素を供給するものであり、2025年から2030年にかけて供給開始を予定している。また、この取り組みにより、国内で約700以上の新たな雇用が創出されることが見込まれており、地域経済にとっても重要な影響を与えるとされている。
引用元: https://www.gov.uk/government/news/jobs-unlocked-as-first-wave-of-hydrogen-projects-sign-contracts
インド: 英国Yamna 社はアンドラ・プラデシュ州政府とグリーン水素・アンモニアの大規模プロジェクト開発に関する覚書を締結
Yamna 社は、インドのアンドラ・プラデシュ州の新再生可能エネルギー開発公社(NREDCAP)と、年間100万トンのグリーンアンモニアを生産するグリッド接続型プロジェクトの開発に関する覚書(MoU)を締結した。プロジェクトは、インドの国家グリーン水素ミッションに基づき、2030年までに年間500万トンのグリーン水素生産を目指している。投資額は約16,000クロール(約20億米ドル)で、約5,500の直接・間接雇用を創出する見込み。
Yamna 社は、英国を拠点とするグリーン水素およびアンモニアのリーダーであり、HYCAPというエネルギー転換技術・事業に特化したプライベート・エクイティ・ファンドに支援されている。同社は、オマーンでのグリーンアンモニアプロジェクトなど、世界的なプロジェクト開発の実績を有している。アンドラ・プラデシュ州は、豊富な再生可能エネルギー資源、進歩的な政策枠組み、戦略的な立地により、グリーン水素開発に最適な場所とされている。このプロジェクトは、インドの脱炭素化目標を支援するとともに、アンドラ・プラデシュ州を世界のグリーン水素経済の主要なプレーヤーとして位置づけることを目指している。
EU:データセンターの気候中立協定(Climate Neutral Data Center Pact)は将来のEUの気候目標と指標の策定を支援
100社を超えるデータセンター事業者と29の業界団体が気候変動対策に関する協定を締結しているClimate Neutral Data Center Pact(CNDCP)は6月11日、自主規制から業界への知見提供へと転換し、既存の規制遵守を支援し、将来の環境目標と指標の策定を支援することを発表した。
2021年以降、この協定はデータセンターにおける持続可能な電力消費、エネルギー・水効率、そして循環型経済対策に関する目標と指標の定義において中心的な役割を果たしてきた。欧州を中心としてこの協定に加盟しており、既存および計画中の欧州規制に影響を与えている。この協定は、実行可能で効果的な持続可能性対策と目標を提供するものとして、欧州のあらゆる機関で広く認められている。今後も、必要不可欠なデータセンターセクターにおける気候中立の実現に向けた推進力として機能していくとのこと。
引用元: https://www.climateneutraldatacentre.net/2025/06/11/new-era-for-climate-neutral-data-center-pact/
ドイツ: 2024年のバッテリー貯蔵システムは前年比で約50%増加したことを公表
連邦経済エネルギー省(Bundesministerium für Wirtschaft und Klimaschutz、略称:BMWK)は、2025年1月初旬、ドイツは定置型蓄電池システムで合計18.2GWhの電力を貯蔵したことを報告した。このうち、15.8 GWhは家庭用蓄電システムから、2.8 GWhは実用規模の蓄電から、775 MWhは商用蓄電から供給されている。
2025年3月にはシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州ボリングシュテットにあるドイツ最大のバッテリー貯蔵システムが送電網に接続され、103.5メガワットの電力を供給し、エネルギー容量は238メガワット時であるとのこと。電力貯蔵システムの拡大は、ドイツのエネルギー転換の重要な要素である。現在、ドイツ政府はバッテリー貯蔵システムの構築に利用できる直接的な公的資金は無いが、BMWKは、電力貯蔵戦略を通じてこの成長を支援しているとのこと。
米国: GoogleやMetaを含むFrontier社が、BECCSに特化したスタートアップ企業Arbor社と11.6千tのカーボンクレジットの大型契約を締結
7月8日、Frontier社は廃棄バイオマスを利用してクリーンエネルギーを生産し、同時にCO₂を除去するBECCS(炭素回収・貯留)バイオエネルギー企業であるArbor社とのカーボンクレジットのオフテー2028年から2030年の間に116,000トンのCO₂を除去するためにArbor社に4,100万ドルを支払う契約を締結した。
Arbor社の技術は間伐材等の廃棄バイオマスを原料から水素と一酸化炭素の混合物である合成ガスに先ず変換される。この合成ガスは、特殊な炉である酸素燃焼炉に送られ、空気の代わりに純酸素で合成ガスを燃焼させ、超臨界CO₂と水を生成させる。この超臨界CO₂でタービンを回転させ、クリーンな電力を発電させる技術である。Arbor社のユニークな点は、バイオマスガス化、酸素燃焼、超臨界CO₂ターボ機械という3つの複雑なプロセスを単一のシステムに統合した初の炭素除去企業である。
シンガポール:DHLエクスプレス社は国際便にNeste社シンガポール製油所のSAFを使用する契約を締結
7月15日、Neste社は、2025年7月から2026年6月まで、DHLエクスプレス(以下DHL)に950万リットル(7,400 metric tons)のSAFを供給する予定と公表した。本契約は航空貨物部門におけるアジアの最大規模のSAF取引の一つであり、DHLにとってはシンガポール・チャンギ空港発の国際線初のSAF購入となる。
Neste社のSAFは、シンガポール・チャンギ空港にある南アジアハブを拠点とするDHLのボーイング777型貨物機5機の燃料使用量全体の約35~40%を占めることとなる。同社の大陸間便は、シンガポール空港からアジア、そしてアメリカ大陸を結び、週12便運航されている。DHLがシンガポール・チャンギ空港発着便向けにSAFを直接調達するのは、今回が初めて。なお、同社は日本においては名古屋空港でSAFを利用している。
ノルウェー: 2025年上半期の代替燃料船の受注は合計151隻
ノルウェーに拠点を置く船級機関DNVによると、新造船市場全体の減速にもかかわらず、代替燃料船の受注は2025年も引き続き増加する見込みである。DNVのAlternative Fuels Insightプラットフォームのデータによると、代替燃料船の新規受注は2025年上半期で1,980万総トンに達し、2024年の数字を78%上回った。これは、規制圧力、燃料の入手可能性、そして長期的な脱炭素化目標への対応として、船主が将来を見据えた資産を優先する傾向が強まっていることを示し、資本配分の大きな変化を示している。
内訳は、LNG燃料船87隻、メタノール燃料船40隻、LPG燃料船17隻、水素燃料船4隻、アンモニア燃料船3隻となっている。
LNGバンカリング船の導入も進んでいる。2025年上半期のLNGバンカリング船の受注数は13隻で、世界全体では62隻の稼働数となった。2月は8隻の受注を記録し、このセグメントで最も好調な月となった。これは代替燃料船の受注と、その利用拡大に必要な支援ロジスティクスの着実な連携を反映しており、特にLNGにおいては、バンカリング能力がLNG 燃料船の継続的な導入の重要な要因となりつつあるとのこと。
EU: 欧州委員会はEUタクソノミーの簡素化を提案
欧州委員会は、EUタクソノミーの簡素化提案を発表した。この提案は、企業の負担を軽減し、持続可能な金融市場への移行を加速することを目的としている。具体的には、非金融企業や金融機関に対するEUタクソノミーの適用基準を見直し、報告義務の軽減を図る内容が含まれている。
非金融企業に関しては、総収益、資本支出、または運営支出の10%未満の活動については、タクソノミーの適用対象外となる。また、金融機関に関しても、特定の経済活動に関連するローンや投資が10%未満を占める場合、その金融資産はタクソノミーの適用対象外となる。これにより、金融機関は報告義務から解放されることになる。
この変更は、持続可能な投資の促進を目指しており、企業が重要な活動に集中できるようにすることを狙いとしている。しかし、この提案はまだEU議会と加盟国の承認を得ていない段階であり、最終的な実施には時間がかかる可能性がある。
引用元: https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_25_1724
EU: 「EUエネルギー・原材料プラットフォーム」を発足し、競争力と脱炭素化を支援
欧州委員会は、2025年7月2日にEUエネルギー・原材料プラットフォームを立ち上げ、欧州産業の競争力強化と脱炭素化を支援する新たな取り組みを発表した 。このプラットフォームは、水素、原材料、天然ガス、バイオメタンなどのエネルギー関連製品の調達を効率化することを目的としており、将来的には他の製品も対象に加える予定である 。
プラットフォームの第一弾として、「水素メカニズム」が稼働を開始した 。水素メカニズムは、再生可能水素および低炭素水素とその誘導体(アンモニア、メタノール、eSAF)の市場開発を支援するもので、需要と供給のマッチング、インフラ開発のニーズ特定、金融支援の促進などを行う。関係者はプラットフォームに登録し、水素メカニズムに参加することが可能であり、初回の需要供給マッチングは2025年9月に予定されている 。
EU: 欧州委員会は、低炭素水素・燃料のGHG排出量削減効果の評価方法を規定
欧州委員会は、2024年6月に成立した「再生可能ガス、天然ガス、そして水素の市場に関する共通ルール」に基づき、低炭素水素・燃料のGHG排出量削減効果を評価するための方法論を指定するための委任規則を発表した。この方法論は、低炭素水素・燃料のライフサイクル全体での排出を評価し、投入資源から低炭素水素・燃料を生産する際に生じる間接的な排出や、メタンの上流排出、実際の炭素捕獲率を考慮に入れることを求めている。
方法論は、再生可能燃料のGHG排出量削減効果の評価手法に類似したアプローチを適用し、透明性と一貫性を保つことを目指している。そのためには、CO₂の回収および貯留(CCUS)のプロセスが正確に評価される必要がある。今回発表された方法論では、回収されたCO₂は、最終的に地下貯留される場合にのみ、削減としてカウントされる。
また、水素の地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)は現在、精度の高い値が定義されていない。従い、水素サプライチェーン全体における水素の漏出の影響評価が完了次第、水素のGWPの数値を方法論に組み込んでいく方針を示している。
オーストラリア: ハンター・バレーの水素プロジェクトに4億3200万豪ドルを投資
オーストラリア再生可能エネルギー機関(ARENA)は、ニューサウスウェールズ州ハンター・バレーにおけるオリカ社の水素プロジェクト「ハンター・バレー水素ハブ(HVHH)」に対し、4億3200万豪ドルの助成金を交付することを発表した。このプロジェクトは、ARENAの「Hydrogen Headstart」プログラムの第二弾として支援されるもので、再生可能エネルギーを用いた50 MWの電解槽を活用し、従来の天然ガスを使用したアンモニア製造プロセスを脱炭素化することを目指している。これにより、鉱業、農業、産業分野で使用される低炭素アンモニアと硝酸アンモニウムの国内生産が可能となる。
この発表は、ARENAのHydrogen Headstartプログラムの第一弾として、ウェスタンオーストラリア州のムルチソン水素プロジェクトに8億1400万豪ドルが交付されたことに続くものであり、オーストラリアの水素産業の発展に向けた重要な投資となる。ARENAはこれまでに、65件の再生可能水素プロジェクトに対し、370百万豪ドルを投資しており、今後も水素産業の成長を支援していく方針である。
引用元: https://arena.gov.au/news/arena-backs-hunter-valley-renewable-hydrogen-project-with-432-million/
米国、ノルウェー: 米国エネルギー省、ノルウェーとの水力発電研究開発協力を強化
米国エネルギー省(DOE)は、ノルウェー王国のエネルギー省との間で、水力発電および海洋エネルギー技術の研究開発に関する協力を拡大する覚書(MoU)を更新した。この協定は、両国の専門知識と先進技術を活用し、米国の電力網の信頼性と安全性を強化し、エネルギーコストの削減とイノベーションの促進を目指している。
具体的には、海洋エネルギーの発電能力を拡大し、既存の施設のアップグレードを進めるとともに、技術専門家の育成を行う。これにより、米国の電力網の柔軟性と信頼性を高めるとともに、持続可能なエネルギー源の利用を促進する。
DOEの水力発電技術部門(WPTO)は、国立研究所や学術機関、企業と連携し、水力発電と海洋エネルギーの技術開発を推進している。
韓国: DSダンスクはHVOベースのバイオエネルギー生産施設関連投資のMOUを福島県群山市と締結
6月9日、DSダンスクはHVOベースのバイオエネルギー生産施設関連投資条約(MOU)を全北特別自治道、福島県群山市と締結した。同社のIRの投資判断に関する主な経営事項としての内容が記載されている。
記載事項:投資企業は、条約内容の投資と雇用創出のために積極的に努力する。全北特別自治道、福島県群山市、韓国産業団地公団は企業の円滑な投資履行のための行政的・財政的支援のために努力する。
条約書の効力:条約書は締結日から1年の有効期間中
引用元: https://dart.fss.or.kr/dsaf001/main.do?rcpNo=20250609800142
UNESCO: 世界遺産の4分の3近くが水関連災害による高いリスクにさらされている
ユネスコと世界資源研究所(WRI)による新たな分析によると、世界遺産の73%が干ばつ、水ストレス、河川や沿岸部の洪水といった水関連の災害に非常にさらされていることが明らかになりました。これらの遺産と、そこで支えられている地域社会や生態系を守るためには、水管理の強化が不可欠としている。
約600件の世界遺産が水不足の状況に非常にさらされており、水ストレスや干ばつに反映されている。これが最も広範囲にわたる水関連リスクとなり、全資産のほぼ半数が脅かされている。これらの水不足の状況に晒されている資産の大部分(約90%)は文化遺産とのこと。河川と沿岸の両方で深刻な洪水リスクが、約400の世界遺産に影響を及ぼしている。洪水はすでに世界遺産の自然と文化の両方に影響を及ぼしており、2020年には、ルウェンゾリ山地国立公園(ウガンダ)で重大な気候関連の洪水が発生し、河川システムが混乱し、地元コミュニティと野生生物の両方に課題をもたらした。2022年には、大規模な洪水によりイエローストーン国立公園(米国)が一時閉鎖され、公園を再開するにはインフラの修復に2,000万ドル以上が必要となった。最近では、2024年にカジランガ国立公園(インド)で深刻な洪水が発生し、絶滅危惧種のサイ10頭を含む200頭以上の動物が失われた。また、サガルマータ国立公園(ネパール)は、氷河後退の加速に関連する氷河湖決壊洪水(GLOF)の影響を受けている。
米国:DOEがエネルギー生産者に対する障壁を取り除き、国内水素への投資を解放
米国エネルギー省(DOE)の水素・燃料電池技術局は5月22日、45VH2-GREETモデリングツールをアップデートし、米国の水素産業における障壁を取り除きました。45VH2-GREETの最新バージョンでは、水素サプライチェーンからのメタン損失を計算するためのより柔軟な手法が採用されており、より幅広い企業が水素生産を支援するリソースにアクセスできるようになる。
米国財務省が採用している45VH2-GREETモデルは、水素製造プロセスの評価に特化して設計されている。最新のアップデートでは、ユーザーが国全体の平均値ではなく、企業固有のメタン損失データを入力できるようになった。この変更により、企業は45Vの適格性を評価する際に、自社の施設固有のデータを利用できるようになる。
最新のGREETモデル、更新されたユーザーマニュアル、およびすべての変更履歴をダウンロードするには、 www.energy.gov/ eere/greet にアクセスする必要がある。
日本:東洋エンジニアリング グリーンメタノール製造は、小規模プラントが主流
東洋エンジニアリング株式会社は、グリーンメタノール(バイオメタノールおよびe-メタノール)の製造に適した小型メタノール反応器「MRF-Z Neo™」を開発した。
本技術は同社が長年培ってきた大規模プラント向けメタノール合成技術「MRF-Z™」をベースに、小規模プラント向けに最適化された新型反応器。バイオマスや再生可能エネルギーといった分散資源の活用に対応し、地域ごとの資源を活かした分散型生産を可能とするもの。
引用元: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000177.000107878.html
フランス:波力エネルギー開発企業Seaturns社が実証を開始へ
2023年10月から18カ月にわたる1/4スケールの耐性試験が6月に終了し、フランスの波力エネルギー開発企業シーターンズは、ル・クロワジック近郊のSEM-REV沖合試験場に実物大の波力エネルギー実証装置を配備するためにOPEN-C財団と契約を締結した。商業化を目指した実証装置の設置は2025年夏を予定している。
同社の技術は。波のうねりの作用を受けて、幅10m、高さ7mの円筒形のフローターが水平方向(この前後の動きをサージと呼ぶ)に動く。フローター内部には、水振り子と、その上部に軸方向の垂直仕切りによって区切られた2つの空気室があり、フローターの回転と水振り子の組み合わせにより、2つの空気室に圧力サイクルが生じる。発生した空気の流れは発電機に直結したタービンを回転させ、電気を生み出す。円筒形のフローター一つは200KWの発電容量。
米国:EPA、米国のエネルギー安全保障強化、農村経済支援、国内燃料生産拡大を目指す新たな再生可能燃料基準を提案
2025年6月13日、米国環境保護庁(EPA)は、米国のエネルギー安全保障を強化と、農業市場を支援するために2026年および2027年の再生可能燃料基準(RFS)の提案を発表した。この提案は、再生可能燃料の使用を促進し、国内農業を支えるための重要な一歩と位置付けられている。
提案された内容は、以下の三つの主要な要素から成る。
- 重要な再生可能燃料に対する強力な成長目標の設定
- 外国からの再生可能燃料および原料の価値を減少させ、国内の再生可能燃料を優先
- 電気自動車(EV)の義務を排除するため、再生可能燃料基準から電力を除外
この提案が実施されると、米国のエネルギー安全保障は強化され、海外からの石油依存が約15万バレル/日減少すると予想されている。また、外国からのバイオ燃料およびフィードストックに対する価格評価が50%に引き下げられ、国内生産を促進し、農村経済の活性化が図られる。
米国: Georgia Power社は三菱パワー社と共同で50%水素混焼試験を成功裏に完了
Georgia Power社は、マクドノフ・アトキンソン発電所で、世界最大規模となる水素と天然ガスの燃料混合実証試験を成功裏に完了した。この試験では、M501GAC型ガスタービンを使用し、50%の水素と天然ガスの混合燃料を利用した最初の実証が行われ、CO2排出量は100%天然ガスに比べ約22%削減されることが確認された。テストは数週間にわたり、5%から50%の水素混合比率で実施され、発電機の性能と効率が検証された。これにより、低炭素化を進める新たな一歩となった。
Georgia Power社は、2007年以降60%以上のGHG排出量削減を達成しており、この試験はその一環として行われた。三菱パワー社は、エンジニアリングから試運転、リスク管理までを担当し、Certarus社と連携して水素供給を行った。このプロジェクトは、同社が推進する低炭素発電技術の研究開発の一環であり、将来のエネルギーシステムの持続可能性向上に寄与することが期待されている。
ノルウェー、スイス: CCUSおよびCDR分野での越境協力協定を締結
ノルウェーとスイスは、二酸化炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)および二酸化炭素除去(CDR)技術に関する協力協定を締結した。この協定は、パリ協定第6条に基づく初の産業国間協力事例として注目されている。協定の主な目的は、スイスからノルウェーへのCO₂輸送と、ノルウェーの海底地層への永久貯蔵を実現する法的枠組みの確立である。これにより、両国は国際的な気候政策に基づいてCO₂の越境移転を行い、商業契約を締結して具体的なパイロットプロジェクトの展開を進める。
具体的には、ノルウェーはこれまでのCCUS技術で豊富な経験を有しており、特にSleipner(ノルウェー北海での商業規模のCCSプロジェクト)やSnøhvit(バレンツ海初のLNGプラントと関連するCCSプロジェクト)などのプロジェクトで、海底にCO₂を安全に貯蔵する技術を確立している。これらの技術と知見を、今回の協定に基づきスイスに提供し、双方での技術開発を進めることが狙いである。スイスは、2050年までのネットゼロ目標を達成するためにCCUSとCDRを重要な手段として位置付け、今回の協定はその実現に向けた重要なステップとなる。
ドイツ、デンマーク:欧州のエネルギー転換に向けて海洋エネルギー分野での協力強化
ドイツとデンマークは、欧州のエネルギー転換を加速するため、海洋エネルギー分野での協力を強化している。両国は、エネルギー生産、消費、そして電力取引におけるシナジーを生かし、北海やバルト海での共同プロジェクトを通じて、エネルギー安全保障の強化を目指す。
特に注目すべきは以下の3つの主要プロジェクトである。
ボルンホルムエネルギー島プロジェクト(Bornholm Energy Island Project):
ボルンホルムエネルギー島プロジェクトは、送電系統運用者であるEnerginet 社(デンマーク)と50Hertz社(ドイツ)による共同プロジェクトである。ハイブリッドインターモジュール型のHVDC(高電圧直流)インターコネクタによって、3GWの洋上風力発電所の統合が実現されると、世界中からの注目を集めている。EUの「Connecting Europe Facility(CEF)」からの資金援助を受けており、両国の電力網をより効率的に接続することを目指す。
国家間ラジアルプロジェクト(cross-border radial project):
デンマークの洋上風力発電をドイツの電力網に直接接続するこのプロジェクトは、ドイツの送電系統運営事業者である50Hertz社によって提出され、両国政府からの支持を受けている。同プロジェクトでは、再生可能エネルギーの普及と効率的な電力供給のための革新的で費用対効果の高い協力の可能性を模索している。
国家間水素パイプラインプロジェクト(cross-border hydrogen pipeline project):
2030年に稼働予定のドイツ-デンマーク間の水素パイプラインは、デンマークで生産されたグリーン水素をドイツ企業に供給することを目指しており、欧州の水素ネットワークにおける先駆的なプロジェクトとなることが期待されている。
ドイツ: AIブームに関連したカーボンリーケージに関する調査を実施
人工知能(AI)向けのデータセンターの急成長は、環境への影響を考える上で重要な課題を引き起こす。特に、AIの需要が高まる中で、GHG排出規制の緩い国への活動の移転(カーボンリーケージ)のリスクが指摘されている。
ドイツの環境庁(UBA)による調査では、AIによるカーボンリーケージリスクに焦点を当てており、AIによるエネルギー消費が2028年にはおよそ300TWhに達し、これは世界の電力消費の約1%に相当するという予測が出されている。
現在、AIリソースは主に米国と中国に集中しており、これらの国々はEUよりも気候政策が緩いため、EU各国からのAIクエリの一部がこれらの国で処理され、そこでのエネルギー消費がGHG排出に繋がっている。調査によると、現時点でのカーボンリーケージの規模は比較的小さいものの、AI産業の急速な拡大に伴い、このリスクは今後増大する可能性がある。特に、コスト削減を求める圧力やデータの越境流通が進むことにより、意図しない形での排出の移転が加速する懸念がある。
引用元: https://www.umweltbundesamt.de/themen/ki-boom-tech-konzerne-koennten-emissionen-ins-0
6月
スペイン:Green Enesysが年間29,000トンのe-メタノールを2027年に生産予定
スペインのカディス県アルコス・デ・ラ・フロンテーラにある革新的なグリーンメタノール生産プラントのSolWinHy Cádizの施設で年間29,000トンのe-メタノールを2027年に生産する予定。
SolWinHy Cádizプラントは、130MWの太陽光発電設備と54MWの風力発電所を活用し、完全に再生可能エネルギーで稼働。この設定により、施設はアイランドモードで国の電力網から独立して稼働することができ、すべての水素とメタノールの生産が100%再生可能になります。80MWの電解装置でグリーン水素を生成し、これをバイオマス由来のCO2と混合してメタノールを生成する。同プロジェクトは463ヘクタールの農地に位置し、35年間のリース契約で確保されており、さらに5年間延長するオプションを持つ。SolWinHy Cádizプラントは、ドイツにグリーンメタノールを供給する戦略的な立場にあり、潜在的なオフテイカーとの詳細な交渉を進行中とのこと。
デンマーク:デンマーク南部のKassø e-メタノールが運開
5月13日に、デンマークのオーベンローにあるKassø e-メタノール施設が正式に開設され、現在、オフテイカーにe-メタノールを供給開始。この施設は、European Energy社が開発し、三井物産社と共同で運営しており、Kassø MidCo ApS傘下のSolar Park Kassø ApSが所有しており、European Energy社が51%、三井物産社が49%の株式を保有している。
カッソー工場は、e-メタノールを商業規模で生産する世界初の施設。年間42,000トンの生産能力を誇り、再生可能エネルギーのみで稼働している。北欧最大の太陽光発電所(304MW)であるKassø太陽光発電所に隣接するこの施設は、大規模な再生可能エネルギー発電と二酸化炭素回収・利用を統合。Kassøのe-メタノール施設は、バイオマス由来のCO₂と敷地内で生産されるグリーン水素を組み合わせることで、化石燃料由来の製品と比較して最大97%のカーボンフットプリントを削減したe-メタノールを製造。海運大手のA.P. Moller – Maersk、おもちゃのレゴで有名なLEGO Group, グローバル製薬企業のNovo NordiskはKassø e-メタノール施設から供給されるe-メタノールのオフテーカーである。
引用元: https://europeanenergy.com/2025/05/13/kasso-e-methanol-facility-officially-inaugurated/
デンマーク: 世界初のe-メタノール駆動サービスオペレーション船(SOV)がテスト運行
トルコのCemre (ジェムレ)造船所でデンマークのEsvagt A/S向けに建造した世界初のe-メタノール駆動サービスオペレーション船(SOV)の5日間の海上試験がベーリング海で成功裏に完了した。
このSOVは、2024年6月にジェムレ造船所で進水したオーステッドの英国ヨークシャー海岸の北海沖に位置する1.3GWのHornsea Two洋上風力発電所向けのサービス運用船である。EsvagtとØrstedは2023年に2隻目のメタノール駆動SOVについても契約を締結しており、来年進水予定で、10年契約に基づきオーステッドの英国東海岸ハブから運航される予定。
スペイン:Forestal de Atlántico SA社がBASF社とe-メタノール製造で提携
2025年3月26日、BASFとForestal de Atlántico SA(フォレスタル)は、二酸化炭素回収ソリューションによるe-メタノール生産の推進を目的とした早期開示契約(EDA)を締結。
EDAは、フォレスタルが雇用する第三者請負業者が策定するフロントエンドエンジニアリング設計(FEED)に必要なBASFからの情報提供を促進。フォレスタルがスペイン・ガリシア州で進める先駆的なTriskelionプロジェクトでBASFの排ガスからCO2を効率的に除去するために設計された独自のOASE ® blue技術を活用することとなる。Triskelionプロジェクトではe-メタノール生産の設計能力が1日あたり156トンと、画期的なプロジェクトとなる予定。
引用元: https://www.basf.com/basf/www/global/en/media/news-releases/2025/03/p-25-047
スペイン:Magnon社ら3社がMagnon工業団地でe-メタノール製造を計画
Ence group傘下のMagnon社、Power2X社、ErasmoPower2X社がスペインのプエルトリャーノにあるマグノン工業団地でのe-メタノールの開発を検討するための契約を締結した。
契約の初期段階として、3社は共同で炭素回収とe-メタノール合成に関する詳細な実現可能性調査を実施する。Magnon社は既存のバイオマスプラントへの炭素回収の統合を監督し、Power2X社とErasmoPower2X社は水素供給の統合を管理する。約1,500万本の樹木が1年で吸収する年間約38万トンの生物起源CO₂が回収され、年間20万トンのe-メタノールの生産を予定。
メキシコ:海運業の脱炭素化に向け国家行動計画の策定を開始
メキシコは、海運業の脱炭素化に向けた国家行動計画(NAP)の策定を正式に開始した。この計画の策定に向けた第一歩として、2025年5月21日にメキシコシティでワークショップが開催され、海軍省(SEMAR)の主導のもと、環境省(SEMARNAT)、エネルギー省(SENER)、外務省(SRE)、国営港湾機構(ASIPONAs)などの政府機関や、学術界、産業界、市民社会からの代表者が集まり、具体的な取り組みについて議論を交わした。このワークショップでは、GHG排出削減のための優先事項や可能性のある対策について話し合われた。
議論の主な焦点は、クリーン燃料の導入、港湾インフラの近代化、規制強化の必要性、イノベーションや人材開発への投資といった点であった。また、港湾の脱炭素化を進めることが国家の気候目標とどのように統合できるか、さらに国際的なグリーンシッピング回廊との協力の重要性も強調された。これらの議論をもとに、メキシコは海運業のGHG排出量のベースライン評価を実施する予定であり、この評価結果をNAP策定の指針とすることが決まった。
引用元: http://xn--imo-n63b6c8m.org/en/MediaCentre/Pages/WhatsNew-2262.aspx
ギリシャ:国内初の水素充填ステーションをMoter Oil社がアギオイ・セオドロイに開設
ギリシャのアギオイ・セオドロイに、Moter Oil社の子会社であるAVIN社により、ギリシャ初の商業用水素充填ステーションが開設された。軽・中・大型車両の水素充填に対応している。このステーションは、EUの「Connecting Europe Facility(CEF)– Transport」プログラムから300万ユーロの投資の支援を受け、てMoter Oil社の子会社BFS社が同ステーションを運営している。
運営の初期では、オーストリアのWien Energie社から供給されたグリーン水素が使用され、2026年からはMoter Oil社のコリントス製油所で生産される水素が供給される予定。これにより、ギリシャ国内での水素供給網の強化が図られ、エネルギーの自給自足を促進することが期待されている。
さらに、ギリシャ政府は水素モビリティの普及を目指し、アクラタやスリアシオにも新たな水素充填ステーションの建設を予定しており、そのための資金はすでに確保されている。また、アテネの公共交通機関では、水素バスの導入が進行中で、最初の125台が調達される予定だ。
英国:新築住宅に太陽光パネル設置を義務付ける方針
英国政府は、2025年秋に発表予定の「Future Homes Standard」で、すべての新築住宅に太陽光パネルの設置を義務づけることを確認した。新基準により、住宅のエネルギー効率が向上し、住民のエネルギー費用が大幅に削減される。たとえば、太陽光発電により、英国の典型的な住宅は年間約530ポンドの節約が見込まれる。
「Future Homes Standard」による新基準では、太陽光パネルの設置に加え、ヒートポンプなどの低炭素暖房システムも標準装備となり、これにより家計の負担軽減と同時に英国のエネルギー安全保障が強化される。
また、新基準では、建設中の住宅に対して太陽光パネルを設置することを規定するため、従来の太陽光発電の導入障壁が取り除かれることとなる。特に、新しい規定では日陰などの実際的な制限を考慮しつつ、ほとんどの新築住宅には太陽光パネルが導入されることが確実となっている。 さらに、政府は住宅のエネルギー効率を向上させるため、太陽光パネル設置に加え、効率的なヒートポンプシステムの導入を推進しており、これにより家庭のエネルギー消費の削減が見込まれている。また、最近の規制変更により、ヒートポンプの設置要件が緩和され、住宅の外部に十分なスペースがない家庭でも、より多くの住宅にヒートポンプの導入が可能になる。
引用元: https://www.gov.uk/government/news/rooftop-solar-for-new-builds-to-save-people-money
中国:国内初の洋上風力発電統合型海底データセンタープロジェクトを締結
2025年6月10日、上海の臨港新エリアにおいて、臨港新エリア行政委員会、臨港投資控股有限公司、HiCloud Technology社が共同で海底データセンターのプロジェクト契約を締結した。このプロジェクトは、国内初の「洋上風力発電と海底データセンターを統合したグリーンコンピューティングインフラ」を構築するもので、低炭素コンピューティングと環境に配慮したエネルギー供給を実現することを目指している。
プロジェクトの主要な特徴は、海洋冷却システムと直接的なグリーン電力供給を活用する点で、AIや5Gのコンピュータ需要に対応する新しいインフラモデルを提供することにある。HiCloud Technology社のスー・ヤン総経理は、このプロジェクトに16億元(約240億円)の初期投資を行い、世界初の「洋上風力発電+海底データセンター」クラスターの建設を推進することを発表した。これにより、陸上のデータセンターと海底のコンピューティングを組み合わせた新たな「陸-海統合モデル」が登場し、データセンターの運営効率を大幅に向上させる。
また、プロジェクトは2段階で進行し、初期段階として2.3MWの容量を持つパイロットプロジェクトを実施。設計PUE(Power Usage Effectiveness)は1.15以下を目指し、グリーン電力供給比率は97%以上を達成する予定。
引用元: https://www.linkedin.com/pulse/lingang-new-area-signs-undersea-data-center-project-fbhfc/
米国:NIDISは2025年の夏の干ばつ予測を公開。6月に南東部沿岸部、テキサス州中部、フォーコーナーズ、カリフォルニア州の一部、太平洋岸北西部で山火事のリスクが高まる
2025年5月28日、国家総合干ばつ情報システム(National Integrated Drought Information System:NIDIS)の公表によると、米国全土では、2025年の6月から8月にかけて平年より気温が高くなる見込みとのこと。北西部、北部ロッキー山脈、グレートプレーンズでは、降水量が平年より少なくなり、米国東部では、平年より雨の多い夏になると予想している。
また、全米省庁間調整センター(the National Interagency Coordination Center)によると、国内の一部地域では 大規模な山火事が発生する可能性が高まっている。6月は、南東部沿岸部、テキサス州中部、フォーコーナーズ、カリフォルニア州の一部、太平洋岸北西部で山火事発生のリスクが高まります。7月と8月には、ハワイ、南部平原、グレートベイスン、カリフォルニア州、北西部の一部でリスクが高まると予測している。
引用元: https://www.drought.gov/news/looking-ahead-summer-drought-2025-05-28
米国:Record Resources社は、オンタリオ州テミスカミング湖鉱区のホワイト水素探査計画を最終決定
2025 年 5 月 29 日、Record Resources (TSX-V: REC)社は、技術的な議論と評価を経て、オンタリオ州テミスカミング湖の水素資産に関する包括的な水素探査作業プログラムの計画を最終決定したと報告した。このプログラムは、地球化学、地質学、地球物理学を組み合わせた学際的なアプローチであり、実用的な全水素システムを定義し、水素ガスの有望な資源と可能性のマッピングを構築することを目的としている。
今後 12 か月かけて段階的に実施されるこのプログラムは、作業プログラムの過程で定義され確認される最も有望な水素の見込みをターゲットとした最初の水素探査井の掘削で完了する。
探査の初期段階では、規則的なグリッドに沿って土壌をサンプリングし、水素、ヘリウム、そして窒素やメタンといった有用な指標ガスの異常なレベルを測定することを目指す。採取手順は、土壌中の水素、ヘリウム、その他のガスの存在を検出するだけでなく、現場でのサンプリング間隔を通じて、サンプルチャンバーへのガスの流入速度を示し、地下深くに閉じ込められている可能性のあるガスの発生源へのベクトル方向を間接的に算出する。
レコード・リソーシズ社が使用する方法は、まず、既存の断層系を通過した後、拡散または移流のプロセスによって大気中に漏れ出し移動する水素とヘリウムの局所規模のガス田を特定する。当社は段階的な土壌ガス調査(SGS)プログラムを開始する予定です。フェーズ1のSGSは、100mグリッド間隔で実施される地域区分SGS(土壌ガス調査)で構成され、地表から1m下まで円錐オーガーを用いて水素を採取し、通気帯内の遊離ガスの質量分析を実施する。ヘリウムの測定には、Geofrontiers USAが開発した鋼製プローブを使用する。 フェーズ 2 のSGS は、フェーズ 1 で特定された異常な水素および/またはヘリウム領域で、水素用の円錐オーガー サンプリングと PHD-4 検出器を使用して、現場で検出されたヘリウムを測定するためにグリッドを 25 ~ 10 m の精密サンプリングに絞る。作業には、UAV ドローン ベースの詳細な航空磁気、LIDAR、衛星ベースのハイパースペクトル調査も含まれ、天然水素と関連ガスが生成または貯留層として貯蔵されている深部領域に影響を及ぼす可能性のある構造をより正確に特定する。地球化学、地質学、地球物理学的データを含むこれらの多分野にわたるツールは、最終的にはターゲットを絞った 2D または 3D 地震データの取得と組み合わされ、掘削によって後でテストされる商業用ガス集積を捕捉できるローカルおよび地域規模での潜在的な水素のリードと見込みの最終的な定義が可能となる。
インド、オランダ:インドのAMグリーン社とロッテルダム港湾局はインドと欧州間で年間100万トン/10億米ドルの貿易を可能にするグリーンエネルギーサプライチェーンを構築
2025年5月26日。インドのグリーン水素/グリーンアンモニア製造企業であるAMグリーン社とロッテルダム港湾局は、欧州初のエネルギー港であり水素輸送の重要な入口であるロッテルダムを経由して、インドと北西欧州間のグリーン・エネルギー・サプライ・チェーンの構築に注力する覚書に調印した。これには、バンカリング燃料と持続可能な航空燃料(SAF)の供給、ロッテルダムと北西ヨーロッパへのサプライチェーンに沿ったターミナル・インフラ整備のための要件分析が含まれる。さらに、このパートナーシップは、水素ベースの燃料と製品を安全に流通させるための戦略的な港湾インフラの開発を共同で支援し、インドのネット・ゼロ産業クラスターをヨーロッパにつなげ、年間最大100万トンの輸出を可能にする。想定されるサプライチェーンは、両経済圏間で最大10億米ドルのグリーン燃料の取引を可能にする。
AMグリーンは、グリーン燃料に対する世界的な需要の高まりに対応するため、2030年までにグリーン水素の約100万トン分に相当する500万トンのグリーンアンモニア生産能力を開発するという野心的な目標を推進しており、最初の生産はインドの東海岸の都市カキナダで開始される。一方、ロッテルダム港は欧州大陸の重要な物流および水素ハブとして主導的な役割を果たしており、欧州の総エネルギー需要の約13%がロッテルダム経由で流入している。両者はともに、インドの国家グリーン水素ミッションと欧州の野心的な脱炭素化目標を達成することを目指している。
引用元: chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.amgreen.com/wp-content/uploads/2025/05/Press-Release-AM-Green-and-Port-of-Rotterdam_26-May.pdf
米国:作物の収穫量と気候の恩恵のトレードオフを最小限に抑える方法を特定
2025年5月19日に、ニューヨーク大学は作物の収穫量と気候の恩恵のトレードオフを最小限に抑える方法を特定したと公表。再生農業が気候変動の緩和と作物生産の双方に利益をもたらす可能性のある場所と方法を明らかにしている。
ニューヨーク大学環境学部のマシュー・ハイエク助教授を含む研究者らは、劣化した土壌を修復し、多様性を高めて収穫量を増やすと同時に合成肥料などの外部からの投入への依存を減らすことを目的とした総合的な農業である再生型栽培の導入による温室効果ガス排出量と作物収穫量を空間的に明示的にモデル化した。
著者らによると、本研究の重要な貢献は、作物の収量を大きく損なうことなく気候へのメリットを最大化する、あるいはその逆の、管理手法を特定したことであり、これは将来の意思決定に役立つ可能性がある。研究者らは、これらの最適な戦略を選択することで、2050年まで年間約1億2,900万トンの温室効果ガス削減と約1億1,400万トンの収量メリットが得られることを明らかにした。しかしながら、このバランスの取れたアプローチによる気候メリットは、作物の収量への影響を無視した場合と比較して、約90%と大幅に低下した。地域別に見ると、ラテンアメリカ・カリブ海諸国と先進国が、これらの戦略による気候メリットと収量メリットが最も高かった。
Nature Climate Change誌に掲載された研究で、著者らは2100年までの地球規模で、複数の再生型農業手法(被覆作物、不耕起、作物残渣管理)を調査し、典型的な従来型農業手法と比較。また、土壌炭素と亜酸化窒素(大気を温暖化する効果が二酸化炭素の273倍ある温室効果ガス)の、これらの農業手法と将来の気候変動への反応も考慮に入れているとのこと。重要なのは、これらの手法を複数組み合わせることで、このような「積み重ね」がより良い結果をもたらすのか、それともより悪い結果をもたらすのかを評価した点である。
本研究の筆頭著者でもあるドミニク・ウルフ氏は、良い点はどの再生型農業がどの地域に適しているかをより深く理解できるようになったこと。悪い点は、すべての再生型農業が世界中のあらゆる条件に適しているわけではないため、こうした複雑なトレードオフを考慮していない過去の研究で予測されていたよりも、気候へのメリットの可能性ははるかに低いと述べている。
EU: オランダの潮流発電事業会社SeaQurrentはBlueInvestの資金調達を完了
2025年5月19日のEUでの公表によると、BlueInvestの資金調達支援プログラムを通じて、オランダの潮流発電事業会社SeaQurrentは資金調達を受けた。BlueInvestは、EUのブルーエコノミー向けイノベーション・投資プラットフォームであり、海洋テクノロジー企業向けにビジネスコーチング、資金調達支援、ネットワーキングの機会を提供している。
同社のTidalKiteシステムは、水中で凧のように8の字を描くように動き、エネルギーを捕捉する。複数の翼を用いて広範囲のエネルギーを捕捉し、天候に左右されない継続的な発電を実現する。BlueInvestの最近の投資ラウンドを完了したTidalKiteは、オランダ領アーメランド島近郊で試験運用されており、年末までに約700世帯に潮流を利用した電力を供給する予定。SeaQurrentは、アイルランド、フランス、イギリスなどの欧州市場への進出を計画している。長期的には、既存の技術を補完することで普及範囲を拡大し、潮力エネルギー市場を倍増させることを目指している。
中国:国内初の洋上CCUS、南シナ海「恩平15-1」油田にて稼働開始
2025年5月23日、中国海洋石油集団(CNOOC)は広東省沖の珠江口盆地に位置する恩平15-1プラットフォームで、中国初の洋上CCUSプロジェクトの運転を開始した。
プラットフォームで発生するCO₂を超臨界状態に圧縮し、海底油層へ毎時8 t注入することで炭素隔離と増進採油を同時に達成する設計である。設備の段階的増強により注入量は17 t/hまで拡大し、今後10年間で累計100万 t超を貯留しつつ原油生産を20万 t引き上げる計画だ。
引用元: https://www.chinadaily.com.cn/a/202505/23/WS682fca95a310a04af22c113d.html
英国: SAF国内生産拡大へ新法と資金支援を導入
2025年5月14日、英国政府は持続可能な航空燃料(SAF)産業を拡大するための新法を議会に提出した。この法案は、2030年までに英国発便で使用するジェット燃料の少なくとも10%、2040年までに22%をSAFとする「SAFマンデート」の達成を後押しするものである。
収益確実化メカニズム(RCM)を導入し、燃料供給事業者への賦課金によって航空券価格の変動を年平均1.50ポンドに抑制する設計とした。さらに政府は、SAFの試験・認証を加速するために40万ポンドを追加拠出し、既存のAdvanced Fuels Fund(6,300万ポンド)を補完する。これらの施策により、2050年までに最大50億ポンドの経済効果と数万の新規雇用が創出される見通しである。
シンガポール、マレーシア、ベトナム:東南アジアにおけるグリーン電力の輸出促進と脱炭素化加速に向けた三国間産業協力
2025年5月26日、シンガポール、マレーシア、ベトナムの主要エネルギー企業が、ベトナムからマレーシアおよびシンガポールへのグリーン電力輸出に向けた共同開発契約(JDA)を締結した。この契約は、東南アジアにおける電力網の統合と脱炭素化を加速させることを目指しており、特にベトナムの豊富な洋上風力発電を利用したグリーン電力の生成と輸送を目指している。
契約を締結したのは、シンガポールのSembcorp社、マレーシアのMYエネルギーコンソーシアム(Tenaga Nasional Berhad社とPETRONAS社によって設立)、ベトナムのPetroVietnam Technical Services Corporation社、で構成されたコンソーシアムである。これらの企業は、ベトナムからマレーシアおよびシンガポールへグリーン電力を輸送するための新しい海底ケーブルの建設計画を進める。
同プロジェクトは、ASEANパワーグリッドの実現に向けた重要なステップであり、地域間でのエネルギーの相互接続とエネルギー安全保障の強化を目指している。また、マレーシアは2025年のASEAN議長国として、地域協力と持続可能な成長を促進する中心的な役割を担っている。
ベトナムは、再生可能エネルギーのハブとしての戦略を進め、特に洋上風力を国の優先事項と位置づけており、この三国間の協力を通じて新たな経済機会を創出し、持続可能な成長を加速することを目指している。 シンガポールは、2035年までにエネルギー需要の約三分の一にあたる6GWのグリーン電力を輸入する目標を掲げており、地域電力網の接続強化を進めることで、脱炭素化目標をサポートする。
韓国:民間主導洋上風力「全南オフショア 1」が商業運転開始
SK Innovation E&S社は2025年5月16日、全羅南道新安郡沖9 kmに位置する固定基礎式洋上風力発電所「Jeonnam Offshore Wind Farm 1」(出力96 MW、10 MW級タービン10基)の商業運転を開始した。年間発電量は約3億0,107万 kWhで、韓国の平均家庭約9万戸の電力需要を賄い、石炭火力比で年間24万 tの温室効果ガス排出を削減すると試算されている。
本案件はSK Innovation E&S社が51%、デンマークのCopenhagen Infrastructure Partners社(CIP)が49%を出資する合弁会社が開発し、韓国の洋上風力では初めてノンリコース・プロジェクトファイナンス(プロジェクトに関連する資産とキャッシュフローを担保にして融資を行う方式)を採用した点が特徴である。発電事業許可取得は2017年9月、共有水面許可は2022年7月、建設開始は2023年3月、全タービンの据付完了は2024年12月という工程を経て運開に至った。
今後は出力399 MWの「全南オフショア 2」と同 3を2031年までに完成させ、総容量約900 MW(原発1基相当)へ拡張する計画である。設備の約75%は国内企業と協業して調達され、地域企業70社超が参画するなど、部材国産化と地域経済活性化にも寄与している。
シンガポール:ガーナと炭素クレジット協力で実施契約を締結
2025年5月22日、シンガポールの国家気候変動対策委員会(NCCS)は、ガーナ政府と炭素クレジットに関する実施契約を締結した。この契約は、両国が炭素クレジット市場での協力を深化させ、ガーナの気候変動対策を支援することを目的としている。シンガポールは、ガーナの炭素市場の技術的な能力を向上させ、炭素クレジットの発行、登録、取引に必要な基盤を提供する役割を果たす。この協力により、ガーナは自国の気候目標達成に向けた資金調達手段として炭素クレジットを活用できるようになり、シンガポールの豊富な知識と技術を活かす形で国際的な市場での取引を加速させることが期待されている。
また、この協定は南南協力(開発途上国同士が、互いに協力して発展を目指す取り組み)の一環として、発展途上国同士が互いに支援し合う新たな枠組みを提供するものであり、ガーナにとっては気候変動への対応を強化しつつ、経済成長に貢献する手段となる。シンガポールは、ガーナとの協力を通じて、炭素クレジット市場でのリーダーシップをさらに強化し、国際的な気候政策における重要な役割を果たすことを目指している。この契約は、両国がグリーンエコノミーの成長を促進し、持続可能な開発を実現するための重要な一歩となる。
5月
米国:トランプ政権による洋上風力発電のEmpire Windプロジェクトの作業停止命令が解除
Equinor ASAの子会社であるEmpire Offshore Wind LLC (Empire)は、内務省海洋エネルギー管理局 (BOEM) から、Empire Windプロジェクトの作業停止命令が解除され、建設活動を再開できるとの通知を受けた。
作業停止命令は2025年4月16日に発令された。規制当局および連邦、州、市の当局者との協議の結果、作業停止命令は解除され、建設活動は再開される。
米国政府は、競争入札を経て、2017年にニューヨーク沖の大陸棚外縁部の指定海域をエンパイア社にリースした。その後、広範な環境審査プロセスを経て、2024年初頭に商業用洋上風力発電所の建設計画を承認し、建設が開始されている。プロジェクト資金は2024年に確保され、現在、プロジェクトは30%以上完了している。
引用元: https://www.equinor.com/news/20250519-empire-wind-project-resumes-construction
ノルウェー: 待望の浮体式風力発電事業の3つの入札を開始
ノルウェーエネルギー省は、ウツィラ・ノルド(Utsira Nord)における浮体式洋上風力発電事業の3つのプロジェクトエリアの入札募集を発表した。このプロジェクトは、再生可能エネルギー発電量の増加、技術開発、そして供給産業の新たな成長機会の創出を目的としている。応募締め切りは9月15日である。
ノルウェー水資源エネルギー局(NVE)に対し、ノルウェー領海内の特定された洋上風力発電地域における戦略的環境アセスメントの実施を委託した。これらのアセスメントは2025年6月末までに完了する予定である 。このアセスメントでは、他産業との共存や環境配慮について評価を行い、ノルウェー大陸棚における将来の開発計画や発表に関する決定に重要な情報を提供する。
政府は、Utsira Nordの開発がウトシラ地域に利益をもたらすはずだと信じており、2026年度予算に関連してこれを確実にするための具体的な措置を講じる予定だ。
発表内容と関連文書は、こちらのページから参照可能 Utsira Nord
米国: SAFが新たな生産能力の稼働で本格化(HP掲載内容)
5月6日にEIAが表記について公表している。「Petroleum Supply Monthly」でSAFを集計する際に使用するカテゴリーである「その他のバイオ燃料」の米国生産量は、2024年12月から2025年2月にかけて約2倍に増加した。米国環境保護庁(EPA)の再生可能燃料基準(RFS)、連邦税額控除、そしてバイオ燃料の使用を奨励する州のプログラムや税額控除により、SAFへの投資は増加している。
2025年1月、米国のその他のバイオ燃料の生産量は 33,000 b/dに達し、2024 年 9 月に記録された過去最高を 30% 近く上回った。生産量は 2 月にはさらに 30% 増加して 44,000 b/d となっている。当社の最新の短期エネルギー見通しでは、米国のその他のバイオ燃料の生産量は 2024 年から2025 年にかけて 2 倍以上に増加し、2026 年にはさらに約 20% 増加すると予測している。2025 年の米国のジェット燃料消費量約 170 万 b/dの 2% 未満、2026 年には約 2% にとどまる見込みである。
英国:クリーンパワー2030行動計画:クリーン電力の新時代 – 主要報告書を公表
英国は解決策として、クリーンな国産エネルギーへの飛躍的な発展によって、独裁者や石油国家から支配権を取り戻すことができる。だからこそ、首相は2030年までにクリーン電力を供給することを、5つのミッションと「変革計画」の1つに掲げている。
「2030年クリーンパワー」は、クリーンエネルギー自立の新たな時代を告げるものであり、3つの主要な課題に取り組む。それは、安全で手頃な価格のエネルギー供給の必要性、数千人の熟練労働者に支えられた不可欠な新エネルギー産業の創出、そして温室効果ガスの排出量を削減し、気候変動の有害な影響への寄与を制限する必要性である。「2030年クリーンパワー」は、これらの重要な目標に向けたスプリントである。
クリーンパワー2030の実現に必要なエネルギーインフラについては、英国エネルギーシステム運用機関(NESO)からの独立した助言を受け入れた。典型的な天候の年には、2030年の電力システムでは、クリーンなエネルギー源が少なくとも英国の年間総消費量と同量、英国の発電量の少なくとも95%を生産することになり、発電の炭素強度は2023年の171gCO 2 e/ kWh から2030年には50gCO 2 e/ kWhを大きく下回るまで削減される。
ドイツ: INERATEC社が持続可能なe-fuelを製造
2025年5月13日-持続可能なe-fuelソリューションのリーディングプロバイダーであるINERATEC社は、フランクフルトにある先駆的なプラントで、最初の合成e-fuelとe-waxを1リットル生産した。 これはINERATEC社初の商業規模のプラントであり、この種のプラントとしてはヨーロッパ最大、そして世界最大のPower-to-Liquid(PtL)プラントである。
最初の商業規模のINERATEC社の工場はフランクフルトにあり、年間最大2,500トンの持続可能なe-燃料とe-ワックスを生産するよう設計されている。 工業団地に位置し、再生可能な水素と生物起源CO₂を利用し、さらにドロップイン燃料、ワックス、化学薬品に加工される合成炭化水素を生産する。 これらの製品は既存のインフラと互換性があり、航空、海運、化学を含む様々な産業における持続可能な燃料の規制要件を満たす。
2016年の設立以来、INERATEC社は10以上のパイロットプラントと実証プラントを納入してきた。 同社の技術は、実験室でのアプリケーションからモバイルアプリケーション、パイロットプラントまで、さまざまな環境で検証されてきた。 現在、工業生産の段階が始まっており、商業的に適切な製品量が初めて利用できるようになる。
このプロジェクトは、ドイツ連邦環境・自然保護・消費者保護省(BMUV)、EUイノベーションファンド、欧州投資銀行(EIB)、およびPiva Capital、Breakthrough Energy Ventures、HG Ventures、ENGIE New Ventures、Safran Corporate Ventures、ホンダなどの有名投資家によって支援されている。
引用元: https://www.ineratec.de/de/news/ineratec-produziert-erstes-e-fuel-pionieranlage-frankfurt
インド: グリーン水素証明書(GHCI)認証制度を開始
インド政府は4月29日より、グリーン水素証明書(GHCI)認証制度を開始した。同制度は、グリーン水素生産施設に対して生産された水素が環境に優しいことを証明するための認証制度である。
以下はその概要である。
- 証明書の取得条件
年産10トン以下の施設はGHCIの取得が不要であり、希望すれば任意で申請できる。
100%輸出専用の施設で、政府のインセンティブを受けていない場合も申請は不要であるが、輸入国の基準に基づく報告が求められる。 - 最終証明書の発行
最終証明書は、指定の評価サイクルで生産された水素が「グリーン」と認定されたことを証明し、カーボンフットプリントが記載される。 - 申請と証明書発行のスケジュール
必要な書類は6月30日までに提出し、証明書は7月31日までに発行される。
申請に不備があれば再提出が求められ、最終的な証明書は9月30日までに発行される。 - 法的許可ではない
この証明書はグリーン水素施設の設立に対する法的許可を意味するものではなく、あくまで水素の「グリーン」であることを証明するものである。
ドイツ:H2CAST Etzelプロジェクトにて水素の大規模地価貯蔵を実証
2025年5月9日、ドイツ・ザクセン=アンハルト州エッツェルにて、H2CAST Etzelパイロットプロジェクトの新たな段階が始まった。Gasunie社とStorag Etzel社は、既存の塩岩空間に約90トンの水素を注入し、地上設備の建設を開始した。このプロジェクトは、既存のガス貯蔵施設を水素対応に転換する技術的可能性を実証することを目的としている。
「H2CAST Ready」フェーズでは、塩岩空間に水素を充填し、その適合性と密閉性を確認した。現在は「H2CAST Prove」フェーズに移行し、設備が意図通りに機能し、所定の水素品質を保証できることを実証する段階にある。
この取り組みは、ドイツとオランダの水素市場への接続を強化し、将来的な水素供給の安定性と効率性を向上させることを目指している。
フランス: 海岸線の大気質改善に向けて海上輸送排出規制を強化
フランス政府は、海上輸送における大気汚染を削減するために、2つの新しい排出規制区域(ECA:Emission Control Area)を導入することを発表した。これにより、地中海と大西洋北東部の海域における船舶由来の大気汚染物質が大幅に削減され、地域の大気質の改善が期待されている。
- SECA地中海:
2025年5月1日、地中海全域で排出規制が発効。船舶は硫黄含有量が0.1%以下の燃料を使用し、SOx排出を95%、微粒子を62%削減する見込み。これにより、年間1,000件以上の早期死亡と2,000件以上の呼吸器疾患を予防できる。 - ECA大西洋北東部:
2025年4月に新たに承認される規制区域で、グリーンランドからポルトガルまでの海域が対象。低硫黄燃料使用とNOx排出削減が義務化され、2030年から2050年までに2,900~4,300件の早期死亡を回避できると予測されている。
スコットランド: パース・アンド・キンロス(英語: Perth and Kinros)市で、車両の脱炭素化が推進される
スコットランド:のパース・アンド・キンロス市議会は、2025年までに市内の車両を脱炭素化するための「車両脱炭素化戦略」を承認した。この戦略は、GHG排出量削減を目指し、最終的には2045年までにネットゼロを達成することを目指している。すでに、市は18台のゴミ収集車を軽油からHVOに切り替え、年間500トンのCO2削減を実現している。今後は、この取り組みをさらに拡大し、新たな技術を活用して排出量を減少させる。
特に、電気自動車の走行距離の延伸や水素燃料の実用化が期待されており、これらの技術が実用化するまで、HVOと軽油が併用される予定だ。また、外れた拠点(ブレアゴウリー、クリーフ、キンロス、ピトロックリー)にあるゴミ収集車は2025年6月までにHVOを使用するようになり、年間725トンのCO2削減が見込まれている。加えて、市は小型車および3.5トン以下のバンを電気自動車に転換するため、充電施設の整備にも力を入れている。
英国:クリーン・インダストリー・ボーナスの予算を増額し、地域活性化とクリーンエネルギー転換を加速
英国政府は、クリーン・インダストリー・ボーナス(CIB)の予算を初期の2億ポンドから5億4400万ポンドに増額し、洋上風力発電の開発者に対し、伝統的な石油・ガス地域や旧工業地帯、港湾・沿岸都市への投資を優先することを条件に財政的な支援を提供する。
この政策は、地域経済の活性化とクリーンエネルギーへの転換を促進することを目的としており、特にスキルの高い労働者(エンジニア、電気技師、溶接工など)の雇用創出が期待されている。
政府の支援により、今後4年間で最大93億ポンドの民間投資が誘発される見込みであり、これは英国のクリーンエネルギー供給網の拡大を通じて、経済成長を促進することを目指している。この支援は、政府の「クリーンエネルギー超大国」構想の一環として行われ、地域経済の活性化とクリーンエネルギーへの転換を加速することを目指している。
引用元: https://www.gov.uk/government/news/funding-boost-for-clean-industry-bonus-as-bids-smash-expectations
ドイツ:ヨーロッパ最大のバイオディーゼル生産国に
ドイツバイオ燃料産業協会(Verband der Deutschen Biokraftstoffindustrie、VDB)の最新データによると、ドイツのバイオディーゼル総生産量は2024年に約360万トンに達し、前年比10万トン増加した。この生産量の半分以上は菜種を原料としたもので、2024年の菜種油ベースのバイオディーゼルは総生産量の約53.1%を占める。 使用済み食用油脂は2位で、24.1 パーセント、次いで大豆油の15.0 パーセントである。 動物性油脂は、2021年以降、ドイツのバイオ燃料生産の原料としてのみカウントされ、生産量の2%を占めた。
これとは対照的に、パーム油はドイツのバイオディーゼル生産と燃料用途ではもはや使用されていない。なぜなら、この熱帯油から作られたバイオディーゼルとHVOは、2023年以降、温室効果ガス削減目標の達成に加算されていないからである。
インド:The Bier Library社 世界初の空気から得られる水でビールを醸造
このピルスナーは地下水ゼロ 。インドバンガロールのBeer FromAir®は、単なるクラフトビールの創作ではなく、業界を根本から変えるイノベーションである。空気から得られる水を使用することで、このビールは革新性、持続可能性、そして卓越した醸造技術を融合させ、ビール職人技の新たな時代の幕開けを告げる。
クラフトビール醸造は、精密さと情熱が求められる芸術であるが、同時に1バッチあたり数千リットルもの水を必要とする。水不足への懸念が高まる世界において、The Bier LibraryはUravu Labsと共同で、チェコ産ピルスナー「FromAir®」を発表し、持続可能な醸造の新たな基準を打ち立てている。水を製造するのはUravu Labs社による技術によるもの。地下水の枯渇といった問題から脱却している。
引用元: https://www.brewer-world.com/worlds-first-beer-fromair-this-pilsner-has-zero-groundwater/
豪州: Whitebark Energy Limitedはホワイト水素の鉱区を保有するKing Energy Limitedを買収した
King Energy Limitedが展開する南オーストラリア州オフィサー盆地のアリンヤ鉱区でホワイト水素が確認された。同社と共同で開発していたWhitebark Energy Limitedは4月8日に同社の90%の株式を保有したと発表。これで、Whitebark Energy Limitedは南オーストラリア州オフィサー盆地にあるオーストラリア有数の陸上水素・ヘリウム・炭化水素(3H)鉱区がホワイトバークの探鉱ポートフォリオにほぼ確定した。アリンヤ鉱区は、同国最大の、掘削されていない、地震学的に特定された岩塩層下のエネルギー盆地として宣伝されている。
アリンヤ鉱区は、天然ガスに加え、天然に存在するホワイト水素とヘリウムの探査に最適な立地として広く認識されている。
引用元: chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://wcsecure.weblink.com.au/pdf/WBE/02933998.pdf
日本:クボタ、ミュンヘンで開催したBAUMA 2025でHVO燃料センサーを発表
クボタは、SUN-Aが開発した燃料監視センサーを搭載した新しいエンジンの開発を世界有数の建設機械、建材機械の見本市であるBAUM2025 で発表した。このセンサーは、オフハイウェイ機器で使用されている燃料の混合を検知することができる。これは、水素化処理植物油(HVO)の義務的使用が今後さらに広がるにつれて、今後不可欠なツールとなる可能性がある。
このセンサーは機械で使用されている燃料の種類を検出することが可能。これは、特にレンタル会社やその他のエンドユーザーの間でますます重要なトピックになっている。
引用元: https://ke.kubota-eu.com/blog/news/new-hvo-fuel-sensor-unveiled-by-kubota-at-bauma-2025/#agriculture
英国:ウェールズ政府、200万ポンドの投資で潮力発電を支援
ウェールズ政府は、潮力エネルギー会社Inyanga Marine Energy Groupへの200万ポンドの株式投資を完了し、再生可能エネルギーの開発に対するウェールズの取り組みを強化した。
アングルシー島イニスモン沖のモルレイス潮力発電施設において、Inyanga社の改良型潮力タービンHydroWingをテストするのに同資金は貢献する。
この投資はタービンの改良に充てられ、発電量を最大60%増加させ。これらのタービンは、モルレのサイトで計画されている潮力発電プロジェクトのほとんどに電力を供給することになる。
モルレは、強い潮流で知られる地域に位置している。35平方キロメートルの敷地は、開発が完了すれば18万世帯以上に電力を供給できる可能性があり、欧州最大級の認可潮力発電プロジェクトの一つである。
引用元: https://www.gov.wales/welsh-government-backs-tidal-power-2-million-investment
ISSB、IFRS S2の温室効果ガス開示要件に関する限定的な改訂案を公開
国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、2025年4月28日にIFRS S2「気候関連開示」に関する限定的な改訂案を公開した。これらの改訂案は、企業が温室効果ガス(GHG)排出量を開示する際の適用上の課題に対応することを目的としており、以下の4つの主要な緩和措置が提案されている:
- Scope 3 カテゴリー15のGHG排出量の開示制限
デリバティブ取引や一部の金融活動に関連するGHG排出量の開示を免除する。
- Global Industry Classification Standard(GICS)の使用緩和
一部の状況下で、融資や投資活動の分類にGICSの使用を免除する。
- GHGプロトコル以外の測定方法の使用許可
GHG排出量の測定においてGHGプロトコル以外の方法の使用を許可する。
- 最新のIPCCによる温暖化係数(GWP)の使用許可
最新のIPCCによるGWP値以外の使用を許可する。
これらの改訂案は、企業がIFRS S2を適用する際の複雑さや報告の重複リスク、関連コストを軽減することを目的としており、投資家にとっての情報の有用性を損なうことなく、企業の開示負担を軽減することが期待されている。改訂案への意見募集は2025年6月27日まで行われており、最終的な改訂は2025年末を目指して策定される予定である。
アゼルバイジャン:中国企業と再生可能エネルギー分野で協力文書を締結
アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領が中国に訪問し、再生可能エネルギー分野での協力文書が署名された。アゼルバイジャンの再生可能エネルギー分野の発展と、二酸化炭素排出量の削減に寄与することが期待されている。
主な内容は以下の通りである:
- ゴブスタン太陽光発電所(100 MW):
アゼルバイジャン政府とUniversal Solar Azerbaijan LLC間で投資契約が締結され、2026年の稼働を予定している。年間約1億8,000万kWhの電力を供給し、自然ガス39百万立方メートルの節約と、二酸化炭素排出量の8.6万トン削減が見込まれている。
- ボユクショール湖の浮体式太陽光発電所(100 MW)とバッテリー蓄電システム(30 MW):
China Datang Overseas Investment Co. LtdとSOCAR Green LLCとの間で実施契約が締結され、プロジェクト会社を通じて実施される。
- 160 MW太陽光発電所プロジェクト:
PowerChina Resources LimitedとSOCAR Green LLCとの間で実施契約が交換され、2028年の稼働を予定している。年間約3億3,200万kWhの電力供給と、二酸化炭素排出量の16万トン削減が見込まれている。
- カスピ海沖の2 GW規模の洋上風力発電プロジェクト:
China Energy Overseas Investment Co. Ltdとの間で実施契約が締結され、段階的に開発が進められる。
- 再生可能エネルギーと電力システム計画に関する覚書:
中国電力計画・工学研究院との間で覚書が締結され、2028年以降の電力網への再生可能エネルギー統合に関する調査と提案が行われる予定である。
イギリス: リヴァプール湾での二酸化炭素回収・貯留(CCS)プロジェクトを承認し、2,000の雇用創出と産業成長を促進
英国政府は2025年4月24日、イタリアのエネルギー企業エニ(Eni)と共同でリヴァプール湾における二酸化炭素回収・貯留(CCS)プロジェクトの開発を正式に承認した。このプロジェクトは、北ウェールズおよび北西イングランドの産業地域から排出される二酸化炭素を回収し、既存のガス田を利用して地下に貯留することを目的としている。新たに35キロメートルのパイプラインが敷設され、年間450万トンのCO₂の貯留が見込まれており、2030年までに1,000万トンへの増加が計画されている。
この取り組みは、英国政府の「Plan for Change」の一環として、製造業の再活性化とクリーンエネルギーの普及を目指しており、約2,000の高技能職の創出が期待されている。また、政府はクリーンエネルギーインフラの整備を加速するため、国家的優先事項としての計画改革を進めており、開発者に対する明確な指針を提供することで、エネルギー安全保障の強化を図っている 。
引用元: https://www.gov.uk/government/news/major-carbon-capture-project-to-deliver-jobs-and-growth
フランス:政府が国際的なクレジットカーボン憲章を発表
2025年4月24日、フランス・パリのグラン・パレで開催されたChangeNOW 2025サミットにおいて、アニエス・パニエ=ルナシェール環境移行・生物多様性・森林・海洋・漁業大臣は、パリ協定第6条に基づく国際的なクレジットカーボン憲章を発表した。この憲章には、17の国際企業が参加し、カーボン・クレジットの高い整合性と責任ある利用を誓約した。具体的には、各企業は自社のカーボン・ニュートラル戦略を策定し、パリ協定第6.4条に準拠したクレジットのみを使用することを確約している。これにより、クレジットの使用が実際の脱炭素努力の補完となり、過去の誤りを繰り返さないようにすることが目的とされている。
引用元: https://www.ecologie.gouv.fr/presse/changenow-2025-lancement-charte-credits-carbone
HyTerra社、米カンザス州ネマハでホワイト水素の初掘削を開始
HyTerra社は2025年4月21日、米国カンザス州ネマハ・プロジェクトにおいて白色水素(地下で自然生成される水素)の試掘を開始したと発表した。これはオーストラリアの実業家アンドリュー・フォレスト率いるFortescueからの支援を受けた同社初の掘削プログラムであり、事前の地球物理調査とリース取得を経て実施に至った経緯である。同社はASX上場企業で数少ない天然水素探鉱専業企業の一つであり、低コスト・低排出のエネルギー源として注目を集めている。今回の掘削は北米における天然水素開発の試金石となり、業界全体の関心を高める契機となる見込みである。
引用元: https://hyterra.com/andrew-forrest-backed-hydrogen-hopeful-hyterra-starts-us-drilling/
4月
柏市、柏商工会議所、株式会社千葉銀行の3者は、4月16日にシュタットベルケの要素を取り入れ地域新電力会社の設立を表明
事業開始当初は、市内にある清掃工場のごみ焼却に伴い発電された電力等を主要電源として、市役所庁舎や消防局庁舎などの主要行政施設や市立小・中学校など、約90の公共施設へ電力を供給する予定。経営基盤が安定した後は、まずは全公共施設への電力供給を目指し、その後は、民間供給も視野に入れ、順次、供給先を拡大していくとともに、事業収益を再生可能エネルギーの導入支援に充てるなど、地域への還元事業を実施するとのこと。
引用元: https://www.city.kashiwa.lg.jp/zerocarbon/shindenryoku.html
https://www.city.kashiwa.lg.jp/kohokocho/koho/pr/shityoushitu/r61201.html
ドイツ:Stadtwerke Stuttgartが「グリーン水素ハブ・シュトゥットガルト」向け3つの電解プラントを設置へ
2025年3月下旬、シュトゥットガルト市政府(Stadtwerke Stuttgart)の「グリーン水素ハブ・シュトゥットガルト」(GH2S)プロジェクト向けに、FEST GmbH社の出力3メガワットの最新鋭gEL 600型電解プラント3基を発注した。ネッカー川沿いのシュトゥットガルト港に建設されるこの先駆的なプラントは、総出力9メガワットを誇り、地域産業とモビリティの両方で活用されるグリーン水素の生産に大きく貢献する。
このプロジェクトは、Green Hydrogen Hub Stuttgartの一環で展開され、Stadtwerke Stuttgartが水素製造工場の建設許可を承認した。稼働は2026年初頭に開始される予定だ。
グリーン水素はパイプライン網に接続され、バス、大型車両、研究機関などさまざまな顧客に水素を供給できるようになる。 生産された水素は、EUとバーデン=ヴュルテンベルク州環境気候省が資金提供するGeNeSiS H2パイプラインを通じて輸送される。
スコットランド:オークニー諸島議会、洋上風力発電用の2億ポンド規模の新たな深水岸壁建設契約を締結
オークニー諸島議会は、英国を拠点とするジョーンズ・ブラザーズとの合弁事業でスペイン企業のACCIONA社に授与された建設前サービス契約(PCSA)の一部である洋上風力発電用の2億ポンド規模を契約した。先ず第一段階でScapa Deep Water Quayの用地で地盤調査作業が開始される予定。
議会開発・インフラ委員会の委員長であるクリストファー・リースク議員は、「今後の沖合エネルギー開発戦略の焦点は、沖合風力やその他の沖合エネルギー開発がオークニー諸島にもたらす機会を議会がどのように最大化できるかを理解することに置かれます。成長を続ける潮力発電セクターと並んで、新興の洋上風力産業はオークニー諸島にとって重要な機会です。本評議会が今後の戦略的な方向性を定め、これらの発展がもたらす機会をどのように捉えていくかが、私たちの最優先事項です。」と述べている。
スイス:Energy Vault社はPG&E向けカルフォルニア州のグリーン水素貯蔵マイクログリッドに2,800万ドルを調達
Energy Vault社は、カリフォルニア州のPG&Eに電力を供給する世界初の超長期ハイブリッドグリーン水素エネルギー貯蔵マイクログリッドであるCalistoga Resiliency Center(CRC)のプロジェクトファイナンスで2,800万ドルの調達を完了した。
Energy Vault社のCRCは、孤立したカリストガのコミュニティマイクログリッドが安全停止中に必要な電力を維持できるようにすることで、この課題に対する独自の完全に持続可能なソリューションを提供する。293MWhのマイクログリッドシステムは、山火事中に公共安全電力遮断(Public Safety Power Shutoffs)された際に8.5MWのピーク電力出力で約48時間の連続エネルギー供給を提供する。一方、アイランドモード(系統から切断して、独立した状態)で稼働している場合、CRCは燃料電池でグリーン水素を使用して発電し、コミュニティに不可欠な電力を供給する。システムは現在試運転中であり、完全な商業運転は2025年第2四半期に予定されている。
ドイツ:フラウンホーファー工作機械・成形技術研究所(IWU)が水素マイクログリッドプラットフォームを展示
4月4日に終了したハノーバーメッセ見本市で水素マイクログリッド プラットフォーム HyGrid を展示した。
ドイツでは、水素マイクログリッドが分散型エネルギー供給をはじめ、ますます魅力的な選択肢になりつつある。IWUが主宰するReference Factory.H2は、スポーツセンター向けの初期コンセプトを水素マイクログリッドプラットフォームHyGridを開発し、ハノーバーメッセで展示した。中核となるコンポーネントは、Reference Factory.H2が開発したHyVentus電解装置である。革新的で費用対効果の高いソリューションであるHyVentusは、Aumann Limbach-Oberfrohna GmbH、Linamar Antriebstechnik GmbH、Haver & Boecker OHG、Capgemini Engineering、TISORA Sondermaschinen GmbHを含む産業界パートナーのコンソーシアムによって現在開発中。
引用元: https://www.iwu.fraunhofer.de/en/press/2025-Hydrogen-Microgrids-Make-Sun-and-Wind-Storable.html
EU:マイクロプラスチック汚染を削減するための新しい規則に合意
4月8日 欧州理事会と欧州議会は、プラスチック製品の製造に使用される工業原料であるプラスチックペレットの環境への流出を防止するための規則について暫定合意した。新たな規則では、プラスチックペレットの損失防止が運航業者とEUおよび非EU加盟国の運送業者の主な目標となる。
明確な枠組みにおいて、事故による損失が発生した場合の清掃作業に重点を置いた義務が規定されます。ペレットを取り扱う各施設が作成するリスク管理計画には、明確な一連の対策が盛り込まれる。これらの対策には、梱包、積み下ろし、職員の訓練、必要な設備などが含まれる。
EUと非EUの運送業者の間で公平な競争条件を提供し、プラスチックペレットを輸送するすべての運送業者の説明責任と透明性を確保するため、非EUの運送業者はEU内で認可された代表者を指名する必要がある。
フランス:政府が45-8 Energy社とStorengy社に2つのホワイト水素探査許可を付与
45-8 ENERGY社とStorengy社は、フランスにおけるホワイト水素部門の開発における新たな一歩となる「Grand Rieu」と「Marensin」の2つのホワイト水素探査ライセンスの取得を発表した。
フランス・ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏が共同出資し、複数の学術機関および産業機関と提携して実施されたH2NA研究プロジェクトの一環として、2021年から2022年にかけて予備的な現地調査が行われた後、両者は共同で、2023年にフランスエネルギー気候総局(Direction Générale de l’Energie et du Climat)に2件の探査ライセンスを申請した。
2025年3月29日に5年間の期間限定で、閣僚令とフランス官報への掲載により2つのライセンスが付与されたこととなる。Grand RieuとMarensinの両プロジェクトは、フランス・ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏におけるホワイト水素産業のダイナミックな開発の一部である。
引用元: chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://458energy.com/wp-content/uploads/2025/03/PR-March-2025-45-8-ENRERGY-and-Storengy-obtain-2-licences-to-explore-natural-hydrogen.pdf
デンマーク:European Energy社が「非生物学的起源の再生可能燃料」(RFNBO)として認定された史上初のメタノールを製造
デンマーク、オーベンローにあるKassø Power-to-X施設は、EUの再生可能燃料に関する新たな持続可能性枠組みに基づき、e-メタノール生産施設として認証を取得した。メタノール生産施設としては初の認証となるこの認証は、EUの国際持続可能性・炭素認証(ISCC)制度を通じて付与され、同施設のメタノール生産が再生可能エネルギー指令に基づく非生物由来再生可能燃料(RFNBO)の基準を満たしていることが確認された。
ISCC EU認証プロセスは、再生可能電力の調達と製造に使用される炭素の起源に関する独立した検証を網羅しており、グリーン燃料業界における一貫した基準の確立に貢献している。これにより、Kassø e-メタノールは、EUのFuelEU Maritime規制およびReFuelEU Aviation規制、そして各国の割当制度の下での使用が可能となり、将来の使用に向けた明確なロードマップが提供される。
Kassø Power-to-X施設は、三井物産とヨーロピアン・エナジーが共同で開発した先駆的なプロジェクトであり、世界初の商業規模のeメタノール製造施設である。年間4万2000トンの生産能力を誇るこの施設は、再生可能メタノールを国際的なオフテイカーに供給できるようになり、再生可能エネルギー業界に新たな基準を打ち立てている。
EU:土壌炭素のさらなる損失は、EUの気候変動緩和の取り組みと食糧安全保障に悪影響を及ぼす
EUと英国の農地のうち、主に冷涼で湿潤な地域において、4,300万~8,300万ヘクタールの表土有機炭素プールが深刻な危機に瀕している。これは、EUと英国の農地全体の23~44%に相当する。
2,600万〜5,000万ヘクタールは危険にさらされておらず、飽和状態からは程遠く、効率的に炭素を保護できるため、追加の炭素を貯蔵する潜在能力がある。調査では、EUの農業用土壌の大部分には、被覆作物、輪作の改善、耕起の削減、深根性作物、有機肥料の増加、アグロフォレストリーなどの追加的な保護対策が必要であると結論付けている。
IEA:エネルギーとAIの相関についてレポートを公表
近年、人工知能(AI)の開発と普及が加速しており、この技術の広範な展開がエネルギーセクターにとってどのような意味を持つのかという疑問が高まっている。エネルギー、特にデータセンターの電力なくしてAIは存在しない。同時に、AIが大規模に採用されれば、エネルギー業界の運営方法を変えることができる。しかし、これまで、政策立案者やその他の利害関係者は、包括的なデータが不足しているため、この問題の両側を分析するツールを欠いていたことがよくあった。
国際エネルギー機関(IEA)のこの報告書は、新しいグローバルおよび地域的なモデリングとデータセット、および政府や規制当局、テクノロジーセクター、エネルギー業界、国際的な専門家との広範な協議に基づいて、このギャップを埋めることを目的としている。これには、AIが今後10年間で消費できる電力量と、それを満たすために設定されているエネルギー源の予測が含まれています。また、AIの取り込みがエネルギー安全保障、排出、イノベーション、手頃な価格にとってどのような意味を持つかを分析している。
EU:最大6億ユーロのエネルギーインフラプロジェクトの提案募集を開始
欧州委員会は、EU予算から最大6億ユーロを投じるエネルギーインフラプロジェクトの提案募集を開始した。この募集は、気候・インフラ・環境実行機関(CINEA)が主催し、EUの「エネルギーのためのコネクティング・ヨーロッパ施設(CEFエネルギー)」に基づいて行われる。対象となるのは、改訂された欧州横断エネルギーネットワーク(TEN-E:Trans-European Networks for Energy)規則に基づく、EU加盟国間の重要な横断的エネルギーインフラプロジェクトであり、応募は2025年9月16日17時(中央ヨーロッパ夏時間)まで受け付けられる。選定結果は翌年初頭に発表される予定である。
シンガポール:メタノールバンカリングライセンスの申請受付を開始
シンガポール海事港湾庁(MPA)は、メタノールを海洋燃料として供給するライセンスの申請を2025年3月26日に開始した。このライセンスは、2026年1月1日から2030年12月31日まで有効で、申請締切は2025年5月28日である。 ライセンス取得者は、メタノールの調達、品質管理、貯蔵、安全な取扱い、緊急対応策の実施、および少なくとも1隻の「IMOタイプ2化学タンカー」の所有・運用が求められる。さらに、供給するメタノールは、ウェル・トゥ・ウェイク方式で定められた炭素強度基準を満たし、排出量の追跡を可能にする透明な方法論を示す必要がある。
IFRS:ISSB基準採用の計画策定を支援するロードマップ開発ツールを公開
国際財務報告基準(IFRS)財団は、国・地域が国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の基準を採用する際の計画策定を支援する「ロードマップ開発ツール」を公開した。このツールは、各国・地域がISSB基準の導入に向けた戦略を策定する際の指針を提供し、透明性と比較可能性の高いサステナビリティ関連情報の開示を促進することを目的としている。
引用元: https://www.ifrs.org/news-and-events/news/2025/03/roadmap-development-tool-launched-issb-standards/
EU:EUバイオ経済戦略策定に向けた検討を開始
欧州委員会は、EUバイオ経済戦略の策定に向け、2025年3月31日より12週間にわたる公聴会を開始した。この戦略は、2025年末までに採択される予定で、バイオ経済分野でのイノベーション促進やEUのリーダーシップ維持を目指している。
戦略策定にあたり、市民、企業、農林業関係者など幅広いステークホルダーからの意見を募集しており、オンラインでの意見提出が可能である。
英国:水電解による水素生産における気候変動税(CCL)の適用見直しに関する公聴会を開催
英国財務省(HM Treasury)は、2025年3月26日に「気候変動税:電解水素とエネルギーの文脈に関する公聴会」を開催した。この公聴会は、水電解による水素生産に使用される電力のCCLコストを免除する政府の方針に基づき、適切な法的手続きを検討し、意図しない結果を避けつつ政策目標を達成する方法を模索している。
世界水の日:3月22日 テーマは「氷河の保全」
2025年の世界水の日のテーマは「氷河の保全」である。氷河は生命にとって極めて重要であり、その融解水は飲料水、農業、産業、クリーンエネルギーの生産、健全な生態系にとって不可欠である。急速に溶けている氷河は水の流れに不安定さをもたらし、人々と地球に深刻な影響を及ぼしている。地球規模での炭素排出量の削減と、縮小する氷河に適応するための地域戦略が不可欠である。
日本:環境省 PFOS 等で使用された活性炭の適切な保管を都道府県に通知
3月26日に首記通知を公表。活性炭は水処理等に広く用いられるが、長期間にわたって野積みし、保管容器の外装が破損したまま雨ざらしで放置するなど、不適切な管理が行われた場合、活性炭に吸着したPFOS等が溶出し、環境中への流出による汚染を生じさせるおそれがある。従い、管内の活性炭を用いて水処理を行い使用済活性炭を排出する事業者及び使用済活性炭を再生する事業者並びに使用済活性炭を廃棄物として処理する廃棄物処理業者へ周知を依頼することを含む通知を出している。(首記通知の一部を要約)
引用元: chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.env.go.jp/content/000301642.pdf
OECD: 水リスクの財務潜在影響力はアジアが最も高い
地球上でアジアほど水への投資に適した場所はどこにもないという明確な事実を示している。アジアの水リスクに対処するために50億6000万ドルの費用がかかったかもしれないが、2020年の不作為額は1,320億ドル近くに達したとのこと。
EU: 欧州委員会はEU環境担当長官主催により水レジリエンス戦略を議論
今後の欧州水レジリエンス戦略について「水、農業、食品サプライチェーン」(3月25日)、「水と産業」(3月27日)、「水と金融」(3月28日)というテーマに関する3つのハイレベル円卓会議が開催された。この戦略は、約 600 件の証拠(事実)の収集、3月6日の関係者協議イベント、および EUの水の状態を評価する最近の一連の報告書から関係者の意見に基づいて策定される。
豪州クイーンズランド州:建設予定の原子力発電所が必要とする水が存在しない
連立政権が次期連邦選挙に提出するエネルギー計画に基づき、建設が提案されている2基の原子炉のうち1基には、既存のカリデ石炭火力発電所で現在使用されている量の2倍の水が必要になる可能性がある。また、豪州クイーンズランド州に建設が提案されている原子力発電所は、通常の運転時でも水供給に負担をかけ、原子力災害の際には水が汚染される危険性があると批評家は警告している。
引用元: chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://assets.nationbuilder.com/queenslandconservation/pages/5629/attachments/original/1742713265/QCC-report-nuclear-water-2025-03-updated.pdf
3月
カナダ、2025年4月1日から消費者向け炭素価格を廃止
カナダ政府は、2025年4月1日より消費者向けの炭素価格を廃止することを発表した。この変更により、特定の州で適用されていた連邦燃料料金(連邦炭素税)がゼロに設定され、今後は炭素価格のシステムが産業部門に焦点が当たることとなる。加えて、カナダ炭素還元支援金(Canada Carbon Rebate)は2025年4月の支払いが最後となり、農業や先住民政府への支援も終了する。
エジプト:世界最大のグリーン水素プラント建設を開始
エジプト政府は、南シナイにて総事業費170億ドルで世界最大のグリーン水素プラントの建設を開始した。敷地面積は127平方キロメートルで、年間最大40万トンのグリーン水素の生産を目指す。建設は3段階で進められ、第一段階は2030年、第二段階は2033年、第三段階は2035年の完成を予定している。
引用元: https://www.investinegypt.gov.eg/English/Pages/exploreMap.aspx?oppId=24660
ノルウェー:Scatec ASAがチュニジアで120MWのPPAを契約。豊田通商傘下のAeolus SASと共同開発へ
2025年3月24日に、再生可能エネルギー・ソリューションのリーディング・プロバイダーであるScatec ASAは、チュニジアの国営電力会社Société Tunisienne de l'Electricité et du Gaz (STEG)との間で、チュニジアの別の120MW太陽光発電所(Sidi Bouzid II)に関して25年間の電力購入契約(PPA)を締結した。同社はさらに、豊田通商グループ傘下のAeolus SAS(Aeolus)と、このプロジェクトに関する共同開発契約を締結した。この契約は、現在建設中の60MWのSidi Bouzid Iと60MWのTozeur太陽光発電プロジェクトの成功に基づき、チュニジアにおけるパートナーの協力関係を強化するものである。Scatec社はSidi Bouzid IIプロジェクトの50%、Aeolus社は50%を所有する。
引用元: https://scatec.com/2025/03/24/scatec-signs-25-year-ppa-in-tunisia-for-a-120-mw-solar-plant/
フランス:劣化した共同住宅の改修を加速するための新法令を発表
フランス政府は、劣化した共同住宅の改修を加速するための2つの新しい法令を発表した。一つは物件取得条件を明確化し、住民への通知義務を定めるもの。もう一つは、グリニー(エソンヌ県)で進行中の再開発計画に関するもので、改修作業の迅速化と新しい住宅提供を目的としている。
フランス:2025年の『グリーンファンド』を発表
フランス政府は2025年の「グリーンファンド」を発表し、1.15億ユーロの予算で地域のエコ計画と持続可能な投資を支援する。このファンドは、気候変動への適応、都市再生、エネルギー効率化などのプロジェクトに資金を提供する。また、新たに住宅建設促進や自転車道整備、海洋エコ計画支援が加わり、地域特有のニーズに応じた支援を行う。
日本&英国:日本の浮体式洋上風力技術研究組合はORE Catapultと覚書を締結
日本の浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)は、英国のOffshore Renewable Energy Catapult(ORE Catapult)と、浮体式洋上風力分野の技術開発における協力を検討する覚書を締結した。
ドイツ:環境省は2024年の気候データを公表。気候目標は達成可能。(HP掲載内容)
2025年3月16日、ドイツ環境省(UBA)は、2024年のドイツの温室効果ガス排出量は6億4900万トンの炭素相当となり、2023年比で3.4%減少すると発表した。「ドイツは気候目標の達成に向けて順調に進んでいる。世界第3位の経済大国として、今後数年間は成長を維持しながら温室効果ガスを削減できると言える」とロバート・ハーベック経済気候大臣は述べている。
引用元: https://www.deutschland.de/en/news/german-climate-goals-within-reach
英国:気候変動委員会が炭素予算第 7 次炭素予算 (2038年から 2042年)に助言
2025年2月26日公表。英国の第7次炭素予算は、電力、低炭素燃料、炭素回収・貯留 (CCS)、自然、人工除去、需要を通じて実現される予定。解決策の多くは現在利用可能であり、適切なインセンティブが導入されれば、迅速に導入できる。その他の解決策、特に低炭素燃料と人工除去については、確実性が低く、業界と政府は当面複数の選択肢を追求し続ける必要があるとのこと。
引用元: https://www.theccc.org.uk/publication/the-seventh-carbon-budget/
EU:北西ヨーロッパで潮力発電及び河川エネルギー開発を推進
Interreg North-West Europe (NWE) が出資して推進するSHINEプロジェクトで北西ヨーロッパにおける潮力および河川エネルギー開発をイギリスのINYANGA MARINE ENERGY GROUPを含むフランス、アイルランド、ベルギー、オランダ、スイス、ドイツの 14 のパートナーで推進へ。
スコットランド:ノースエアシャー議会はHVOを公共車両に導入
スコットランド・ノースエアシャー議会は、36 台のゴミ収集車をディーゼル燃料から水素化処理植物油 (HVO) に切り替えた。HVOは、エンジンやインフラに変更を加えることなく、標準ディーゼル用に設計された車両や機器に使用でき、CO2排出量を最大90パーセント削減可能。
引用元: https://www.north-ayrshire.gov.uk/news/council-vehicles-are-now-running-on-vegetable-oil
Hyterra社:米・カンザス州で天然水素およびヘリウム探査を開始
Hyterra社は、2025年4月からカンザス州で初となる天然水素井戸の掘削を開始することを発表した。この掘削作業は、同社が展開するネマハプロジェクトの一環であり、天然水素の商業化に向けた重要なステップとなる。掘削作業により、同社は水素の埋蔵量とその採掘可能性を確認し、商業的な供給源としての実現可能性を評価する。
引用元: chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://wcsecure.weblink.com.au/pdf/HYT/02922795.pdf
EU:欧州水素銀行の第2回オークションに61件の提案が殺到
欧州水素銀行の第2回オークションにおいて、61件の提案が提出され、総額が予算を4倍超過する結果となった。オークションの枠組みでは、プロジェクトは2年半で資金調達を完了し、5年で水素生産を開始する。今回は2億ユーロが海洋分野での使用を目的としたグリーン水素とその派生品に割り当てられることとなっており、8つの海洋関連プロジェクトが入札に参加した。
英国:スコットランド港の浮体式洋上風力発電に対する大規模投資を発表
英国政府は、スコットランドの「インバネス港」における浮体式洋上風力発電のためのインフラ整備に対して、最大1億5000万ポンドの投資を行うことを発表した。この投資は、浮体式風力発電技術の商業化を加速し、スコットランドを世界的な再生可能エネルギーの中心地として位置づけることを目指している。具体的には、風力タービンの設置やメンテナンスを支える港湾施設の強化が行われ、地域経済の活性化や数千人規模の新しい雇用創出が期待されている。また、政府の投資は、英国が2030年までに40GWの洋上風力発電能力を目指す目標に向けた重要な一歩となる。
シンガポール:バンカリング船によるバイオ燃料ブレンドの運搬制限をB30まで引き上げ
シンガポールは、認可されたバンカリング船によるバイオ燃料ブレンドの運搬制限を従来のB10からB30まで引き上げることを発表した。これにより、バンカリング業界はより多くのバイオ燃料を取り扱うことが可能となり、国際的な環境規制への対応を強化することが期待される。
アメリカバイオガス協会:再生可能天然ガスとバイオガスの評価精度向上を目指し炭素会計ツールを導入
アメリカバイオガス協会は、再生可能天然ガス(RNG)とバイオガスの価値をより正確に評価するための炭素会計ツールを導入した。このツールは、ガスの脱炭素効果をより透明かつ一貫性のある方法で測定することを目的としており、RNGがカーボンクレジットとして取引される際の基準となる。
ドイツ:DB Cargo(貨物鉄道) は HVOの利用で2024年にCO₂ 排出量を約 32,000 トン削減
DB Cargo はヨーロッパ全域で活動しており、イタリアでは、同社の機関車はほぼ完全に HVO で運行されている。英国では、同社の顧客である Drax と協力し、環境に優しい方法でバイオマス発電所に HVO 燃料のディーゼル機関車を供給している。また、ポーランドでもHVOの利用を推進している。HVO給油所はDB Energie GmbH により、ドイツ全土で HVO を利用できる20を超える充填ステーションを運営している。
引用元: https://www.dbcargo.com/rail-de-en/logistics-news/hvo-goals-2024-clearly-exceeded-13241780#
EC:「水の回復力」と「水の効率性」の両イニシアティブを対象としたパブリックコメントを募集(3月4日迄)
「欧州水レジリエンス戦略」は、2030年または2040年をマイルストーンとする、包括的で複数年にわたる分野横断的な計画を策定する。その目的は、欧州を水に強い国にし、水源を適切に管理し、水不足に対処できるようにすること、水産業の競争力と革新性を強化し、循環型経済へのアプローチをとることである。同計画は、EU域内だけでなく、世界各地での活動を対象とする。
IMO:代替燃料や新技術で動く船舶で働く船員の訓練に関する暫定的な一般ガイドラインの草案策定に同意
2月10日から14日までロンドンで会合を開いた小委員会は、代替燃料の使用増加とそれに伴う安全リスクにより、業界におけるこのようなガイダンスの必要性が高まっていることを認識し、水素やアンモニア、メチルアルコール、LPG、バッテリー駆動等の個別の船舶の船員訓練に関するガイドラインを構築し6月の海上安全委員会に提出されることとなった。
引用元: https://www.imo.org/en/MediaCentre/Pages/WhatsNew-2225.aspx
ニュージーランド:ETSの市場モデルを更新
ニュージーランド排出量取引制度(NZ ETS)の市場モデルは2022/23年に開発された。モデルの開発と改良は継続され、2025年の間に予想される更新は以下の通りである。①2025年温室効果ガスインベントリデータの調整(ベースとなるNZU需要予測への影響の把握を含む)。②ETS設定協議プロセスおよびその他のETS関係者の関与の一環として得られた情報や見識の反映。これは、備蓄量とその行動、価格に対する参加者の反応性の評価に最も関連すると思われる。詳細は以下を参照されたい。
引用元: chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://environment.govt.nz/assets/publications/climate-change/Updates-to-the-NZ-ETS-market-model-February-2025.pdf
OECD:食品の環境持続可能性に関する消費者の反応をレポート
2月19日、40カ国37,000人の消費者を対象とした調査に基づき、消費者が食品の持続可能性に関する主張とどのように関わっているかについて公表した。回答者は一般的に、天然、地元産、環境に優しい、オーガニックの主張に最も関心がある。環境に対する信頼と幅広い態度や信念は、持続可能性を主張する製品に消費者がより多く支払う意思を形作る上で重要な役割を果たしている。ほとんどの主張について、支払い意思は高所得および高学歴の消費者の方が高いとのこと。
2月
EU:CBAMの改訂案を発表 - 2026年からの完全実施に向けた変更
2025年2月19日、欧州委員会(EC)は、炭素国境調整メカニズム(CBAM)の改訂案を発表し、2026年から完全実施される予定のCBAMを適用する企業数約20,000社に限られることを確認した。改訂案には、開始時期を2027年に延期、年間50トン以上の排出量を持つ製品に適用、罰則の緩和、特定の粘土を対象外にするなどの変更が含まれている。
引用元: https://www.vatcalc.com/eu/poland-challenges-upcoming-eu-carbon-border-adjustment-mechanism-levy/
Hintco: 25億ユーロ規模のH2Globalオークションの第二回を開始
Hintcoは、ドイツのH2Globalプログラムに基づく2回目の水素オークションを開始した。このオークションは、再生可能エネルギー源から生成されたグリーン水素の供給を目的としており、総額25億ユーロの規模となる。
引用元: https://www.hintco.eu/news/hintco-starts-second-h2global-auction-worth-eur-25-billion
台湾:再生可能エネルギー法に基づく建物の太陽光発電設備設置規定案を発表
台湾内政省は、再生可能エネルギー開発法に基づき、床面積1,000平方メートル以上の新築や改築建物に太陽光発電設備設置を義務付ける規定案を発表した。礼拝所や葬儀場など一部施設は免除され、経済的・構造的理由で設置が難しい場合も免除申請が可能。地域ごとの発電基準も設定されている。
米国の石油・バイオ燃料団体:バイオ燃料義務強化をトランプ政権のEPAに要請
2025年2月20日、米国の石油およびバイオ燃料団体は、トランプ政権下の環境保護庁(EPA)に対して、バイオ燃料の義務を強化するよう求める共同声明を発表した。団体は、バイオ燃料の生産と使用を増加させることでエネルギー独立性を高め、農業経済を支援するとともに、温室効果ガスの削減に貢献するとの立場を示している。特に、バイオ燃料の義務量を増加させることが、米国のエネルギー政策において重要だと強調されている。
引用元: https://www.api.org/news-policy-and-issues/news/2025/02/20/statement-liquid-fuels-groups
独・バーデン=ヴュルテンベルク州:水素生産に1億ユーロを支援
バーデン=ヴュルテンベルク州は、地域での水素生産を促進するため、1億ユーロの支援金を提供することを発表した。この支援金は、水素の製造とインフラ整備の推進を目的としており、州内の企業や研究機関が参加するプロジェクトに向けられる。
欧州委員会は水枠組み指令、洪水指令、海洋戦略枠組み指令の実施に関する一連の報告書を発表
2月4日、報告書は、水枠組み指令(WFD:Water Framework Directive)によってヨーロッパの水の状況に関する理解は深まったものの、EU全体のすべての水域を生態学的に健全な状態にするために必要な主要な圧力と努力のレベルが過小評価されているため、進歩が妨げられていることを示している。報告書には、水レジリエンス戦略に関する証拠の提出を求める内容が含まれ、現在の水危機と増大する水問題に対処するため、今年後半にこの戦略を発表する予定。
シーメンスと中国の国富水素が提携、グリーン水素生産を加速
シーメンスと中国に拠点を置き水電気分解水素製造装置の大手企業である国富水素、ドイツに拠点を置く水素システムおよびサービスのサプライヤーであるRCT GH Hydrogenは、水素バリューチェーンの発展に向けて協力するための覚書(MoU)を締結した。この提携は、水電気分解水素製造装置の開発と製造、およびグリーン水素の生産に焦点を当てている。
商船三井の脱炭素企業MOL Switchが米国のE-fuels製造会社Twelveに追加出資
2月13日、株式会社商船三井は、合成燃料(E-fuels)や化学品の開発を行うTwelve Benefit Corporation(代表者:Nicholas Flanders、本社:米国カリフォルニア州)が、昨年秋の6億4,500万米ドルの資金調達発表に続き、2月に8,300万米ドルの追加資金調達を実施したことを発表。航空燃料についてはアラスカ航空、マイクロソフト、インターナショナル・エアラインズ・グループとオフテイク契約を結んでおり、船舶燃料についてはヴァージン・ボヤージュと提携している。
英国「ETSを2030年以降に延長するための協議」の公表
2月12日、英国排出量取引制度(UK ETS)当局(ウェールズ政府、英国政府、スコットランド政府、北アイルランド政府で構成)はUK ETSを2030年以降も延長することに関する協議を発表した。協議は4 月 9 日まで開催される。
引用元: https://www.gov.wales/written-statement-publication-consultation-extend-uk-ets-beyond-2030
台湾 2030年までに二酸化炭素排出量を26~30%削減すると約束
台湾は2030年までに2005年比で温室効果ガス排出量を26~30%削減するよう取り組むという。当初の目標は23~25%の削減だった。更に、炭素排出量を2032年までに30~34%、2035年までに36~40%削減する必要があると付け加えた。頼総統は、これらの目標は政府による綿密な検討と計画を経て最終決定されたと述べている。
引用元: https://www.ocac.gov.tw/OCAC/Eng/Pages/Detail.aspx?nodeid=329&pid=72123591
IFRS財団 ISSB基準に基づく気候情報報告に関するガイドを公開
IFRS財団は、企業がISSB基準に従って気候関連情報を報告する際に役立つガイドを公開した。このガイドは、気候関連のリスクや機会を財務報告に統合するための実務的なアプローチを提供し、企業が気候関連情報を透明で信頼性のある方法で報告できるよう支援することを目的としている。
フィリピン サンバレス州のオフィオライトに含まれる湧出液から高濃度水素ガス放出を確認
フィリピンでの天然水素の発見は、クリーンエネルギーの未来に大きな影響を与える可能性がある。フィリピンの研究者たちは、天然水素が水素経済を加速し、フィリピンに経済的利益をもたらすとともに、世界的なエネルギー転換に貢献する可能性を秘めていると述べている。
引用元: https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0360319925002721
Enova 浮体式海洋風力発電の新技術、コスト削減の大きな可能性
ノルウェーのEnovaは、浮体式海洋風力発電技術を発表した。この新技術は、風力発電の設置コストを大幅に削減し、より広範囲での導入を可能にするものである。特に、これまで設置が困難だった深海エリアへの適用が期待されており、再生可能エネルギーの供給を強化するための重要なステップとなる。
スイス 2040年までの気候目標達成に向けた具体的な対策を発表
スイス政府は、2040年までにGHG排出量を大幅に削減するための新たな政策を発表した。これには、再生可能エネルギーの導入拡大、エネルギー効率の向上、産業および輸送部門の脱炭素化を加速する措置が含まれている。また、企業や市民の積極的な参加を促し、気候変動対策を社会全体で推進する方針も示している。
引用元: https://www.admin.ch/gov/en/start/documentation/media-releases.msg-id-103949.html
BPとIberdrolaの合弁事業 スペイン最大のグリーン水素プラント建設を開始
BPとIberdrolaが、スペイン最大のグリーン水素プラントの建設を開始した。同プロジェクトは、特に製造業(鉄鋼、化学、セメント産業)や輸送業界の脱炭素化を支援することを目的としており、最初の段階では年間約20,000トンのグリーン水素を供給する予定である。
米国 温室効果ガスの社会的コストに関する省庁間作業部会(IWG)は解散
1月20日発表の大統領令 第6条の(B)にIWG の解散が記載されており、IWGが発行した下記リンク先に記載されている全ての指針、指示、勧告、文書は、政府の政策を代表しなくなったため撤回されるとのこと。また、「炭素の社会的コスト」の計算は、論理的欠陥、実証科学の根拠の乏しさ、政治化、および立法の根拠の欠如を特徴としていると結論づけている。
引用元: https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2025/01/unleashing-american-energy/
ニュージーランド パリ協定に基づく2番目の国際気候目標を発表
ニュージーランドの最初の国別貢献(NDC1:New Zealand’s first Nationally Determined Contribution )は2021年から2030年までの期間を対象としており、2005年レベルと比較して50パーセント削減という主要目標を掲げている。第2のNDCにおける目標は、2035年までに排出量を2005年比で51~55パーセント削減することを目指している。
引用元: https://environment.govt.nz/news/second-international-climate-target-under-the-paris-agreement/
スコットランド洋上風力エネルギー評議会(SOWEC)はグリーンエネルギー生産の迅速化を促進するための新しいイノベーションガイドを発表
SOWECは洋上風力開発者がイノベーションプロジェクトを使用してスコットランドのサプライチェーンを成長させ、グリーンエネルギー生産の供給を加速する方法に関する新しいレポートを発表した。Offshore Renewable Energy (ORE) Catapultとのパートナーシップで開発されたSOWECイノベーションガイドは、海底ケーブル測量、ドローンタービン検査、海底バッテリー貯蔵など、スコットランドの洋上風力発電業界で起こっている最先端のイノベーションに焦点を当てている。
引用元: https://www.offshorewindscotland.org.uk/news/2025/january/23/new-innovation-guide-launched-to-encourage-faster-green-energy-production/
ブラジル 舶用燃料販売のEfenがHVOを輸入し、タグボートでテストの予定
BPとprumo logísticaの合弁会社であり、BP Marineのブランドで舶用燃料を販売しているEfenはHVO を輸入し、サン・ジョアン・ダ・バーラ (リオデジャネイロ) のアスー港にあるブラジル最大の総合港湾・海上物流事業者であるウィルソン・サンズのタグボートでHVOをテストする予定。
ウェールズ 潮流発電Morlaisプロジェクトの環境調査データをクラウン・エステートが公開
Morlaisは Menter Môn社が推進する 潮流エネルギープロジェクトである。アングルシー島のイニス・モンにあるイニス・サイビ(ホーリー島)付近の海底 35km² のエリアを管理している。この計画では、最大 240MW の低炭素クリーン電力を発電できる可能性がある。Morlais潮力発電所は2026年から運用開始する予定。
1月
ドイツ CO₂ラベル導入で「グリーンセメント」の普及促進
2024年、ドイツのセメント業界は、気候に優しいセメントの基準を定めた「グリーンセメント」の定義を発表した。この定義を実際の市場で活用するため、VDZ(ドイツセメント工業協会)は新たにCO₂ラベルを導入し、セメント製品のCFPを分かりやすく比較できるようにした。このラベルは、公共および民間の建設プロジェクトでの利用を促進し、持続可能な建設基準として定着を目指す。
引用元: https://www.vdz-online.de/aktuelles/gruene-leitmaerkte-vdz-entwickelt-co2-label-fuer-zement
米国 ホワイト水素のポテンシャルマップを公開
米国地質調査所(USGS)は、米国におけるホワイト水素の潜在的分布を示す初めての地図を公開した。この地図は、地質学的な条件に基づき、米国内で水素を埋蔵する可能性のある地域を特定したもので、将来的なクリーンエネルギーの供給源としての水素の利用に向けた重要なステップとなる。
5カ国、南部水素回廊プロジェクトに関する共同声明を署名
イタリア、ドイツ、オーストリア、アルジェリア、チュニジアは、北アフリカからイタリア、オーストリア、ドイツへ3,300kmにわたるグリーン水素輸送のための「南部水素回廊(SouthH2 Corridor)プロジェクト」の継続を確認する共同声明に署名した。同プロジェクトは、両大陸のエネルギー供給の未来を担う重要なインフラ整備を目指しており、欧州連合によって共通の利益を持つプロジェクト(PCI)として認識されている。
米国 先進バイオ燃料の開発支援に600万ドルの支援を発表
米国エネルギー省(DOE)と環境保護庁(EPA)は、バイオ燃料技術の向上とコスト削減を目指し、600万ドルの資金を提供すると発表。選ばれた3つのプロジェクトは、持続可能なバイオマスや廃棄物を利用した航空燃料技術の開発を進め、米国の再生可能燃料セクターの拡大に貢献する。
ドイツ CIPとFriesen Elektraが最大800MWのグリーン水素製造プロジェクトを開始
2025年1月15日、Copenhagen Infrastructure Partners(CIP)とFriesen Elektra Green Energy AGは、ドイツ・サンデにグリーン水素製造施設を設置すると発表した。同施設における水電解能力は初期の段階で400 MWで、将来的には800 MWに拡張予定。毎年8万トンのグリーン水素を生産し、鉄鋼や化学産業、輸送部門に貢献する見込み。
米国 Amogyはアンモニア発電ソリューションの商業化強化に向け5,600万ドルを調達
スタートアップのAmogyは、既存の支援者であるAramco Venturesと韓国のベンチャーキャピタル会社SV Investmentが共同で主導する資金調達ラウンドで、さらに5,600万ドルを調達した。これにより、アンモニアから水素への分解技術を開発したAmogyが調達した資本総額は2億7000万ドルとなる。
デンマーク CIP、ドイツ北部で800MWのグリーン水素プロジェクトを開始
コペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズ(CIP)とフリーゼン・エレクトラ・グリーン・エナジーAGは、ドイツ・ニーダーザクセン州ザンデにグリーン水素製造施設「アンカー」プロジェクトを立ち上げた。
ドイツ シェルがドイツのガソリンスタンドでHVOの提供を開始
ドイツのテューリンゲン州ヘルムスドルフにあるサービスステーションでHVO100ディーゼルの提供を開始。「シェル再生可能ディーゼル」というブランド名を持つこの製品は、主に使用済み食用油などの生物由来の廃棄物や残留物から生産されている。
引用元: Shell startet Verkauf von CO₂-reduziertem Diesel an Tankstellen | Über uns: Shell in Deutschland
ノルウェー Nel がデンマークのCavendish Hydrogenを買収
Nelは戦略的提携を強化し、長期的な成功を確実にするために、モビリティ向けの水素燃料供給会社であるCavendish Hydrogenの 4.85% の株式を取得すると発表した。
引用元: https://nelhydrogen.com/press-release/nel-asa-acquired-equity-stake-in-cavendish-hydrogen/
米国 米国の国家適応および回復力計画戦略を公表
1月10日、米国は新たな国家適応・回復計画戦略を発表した。猛暑から壊滅的な洪水、超大型ハリケーン、前例のない山火事まで、2024年の米国では、以上気象等による気候変動に関する災害により10億ドル以上の被害をもたらした災害27件による損害額は総額1,827億ドルに上る。
米国 クリーン水素生産税額控除の最終規則を発表
米国財務省は、低炭素水素製造を支援する税控除の最終規則を発表した。この制度は2022年のインフレ抑制法(IRA)に基づき、低炭素水素の製造を支援するものである。最終規則では、税控除の適格条件、ライフサイクルGHG排出量の測定方法、クレーム申請プロセスなどが明確にされている。
ドイツ オーストラリアおよびカナダとの二国間水素エネルギー関連プロジェクトに5億8800万ユーロを拠出
ドイツ政府は、H2Globalプログラムを通じて、オーストラリアおよびカナダとの二国間水素エネルギー関連プロジェクトに対し、最大5億8,800万ユーロの資金を拠出することを発表した。この取り組みは、グリーン水素の生産・輸送を促進し、国際的な水素市場の発展を加速することを目的としている。
中国 国内最大の統合型ソーラー・水素ファームが江蘇省如東で稼働開始
CHN Energy Investment Group傘下のGuohua Energy Investment Co.が運営する統合型ソーラー・水素エネルギー貯蔵プロジェクトが2024年12月31日に江蘇省如東で稼働を開始した。このプロジェクトは、太陽光発電、水素製造、エネルギー貯蔵を統合し、年間4億6,800万キロワット時の電力を生産。CO2排出量を約30万9,400トン削減し、地域の電力供給の安定性向上に貢献する。
引用元: https://www.ceic.com/gjnyjtwwEn/xwzx/202501/bafe37ba8f6241938641c751349788be.shtml
EU 2023年にエネルギー関連CO2排出量が2.7%減少
Eurostatの最新データによると、2023年のEU全体のエネルギー関連CO2排出量は前年比2.7%減少した。この減少は、石炭や天然ガスの使用削減が主な要因とされている。特にエストニア(-13.3%)、スウェーデン(-12.6%)、ポルトガル(-10.6%)で顕著な削減が見られた一方、マルタやルクセンブルクでは排出量が増加した。
引用元: https://ec.europa.eu/eurostat/web/products-eurostat-news/w/ddn-20250113-1
ノルウェー 2024年の新車販売の88.9%が電気自動車に
ノルウェーの2024年新車販売データによると、販売された乗用車のうち88.9%が電気自動車(EV)であった。これは環境政策や充実したインフラ整備が要因で、ノルウェーがEV普及の世界的リーダーであることを示している。この成果は、持続可能な交通手段への移行をさらに加速する見込みである。
引用元: https://ofv.no/aktuelt/2025/nybilsalget-i-2024-9-av-10-nye-personbiler-var-elbiler
スイス 2035年から国内の水素需要が増加
「水素:スイスの概要と行動オプション」報告書は、連邦参事会によって2024年12月13日に発表された。スイスの現在の水素需要は2035年まで低い水準にとどまると予測されているが、それ以降はEUや第三国からの輸入がよりコスト効率が良くなり、国内生産が着実に置き換わるため、国内需要は増加すると報告書は述べている。
引用元: https://hydrogeneurope.eu/hydrogen-imports-to-drive-swiss-demand-surge-from-2035-under-new-strategy/
UK ゼロエミッション車への移行を推奨
2024年12月24日公開:2030 年までのガソリン車とディーゼル車の段階的廃止期限を復活させ、排出ガスゼロの車への移行を成功させる方法について意見を求める。
中国 世界最大の原油輸入国であり、2023年は過去最高の原油輸入量となった
中国税関データによると、世界最大の原油輸入国である中国は、2023年に1日あたり1,130万バレルの原油を輸入し、2022年より10%増加した。中国の精製業者は、国内の輸送燃料需要を支え、成長する石油化学産業向けの原料を生産するために、増大する国内の精製能力を供給するため、主にロシア、サウジアラビア、イラクから原油を輸入している。
EU 共通充電器規則: 「1つの充電器ですべてのデバイスに電力を供給」
2024年12月28日からEU で販売されるすべての新しい機器は USB-C 充電が標準となる。これにより、購入する必要がある充電器の数が減り、電子機器の廃棄物を最小限に抑え、日常生活を簡素化させる。
オランダ アムステルダム排出ガス規制が1月1日から開始
2025年1月1日、新しいスクーター、バン、トラックを対象に排出ガスゼロゾーンを導入し、既存の車両には段階的にこれらの変更を導入するための移行規則を導入した。排出ガスゼロとは、排気ガスから有害な排出物が一切出ないことを意味し、これらの規則は車種や地域によって適用される。
2024年
12月
英政府、クリーン電力の新時代に向けた計画を公表
英国政府は、再生可能エネルギーや原子力などへの投資を強化し、2035年までに電力分野を脱炭素化するための新しいクリーン電力戦略を打ち出した。エネルギー安全保障を確保しながらネットゼロ達成をめざすこの取り組みは、雇用創出や経済成長の加速にもつながり、英国全土でのクリーンエネルギー普及に弾みをつける見通しである。
引用元: https://www.gov.uk/government/news/government-sets-out-plan-for-new-era-of-clean-electricity
ドイツ連邦内閣、気候変動への適応戦略を採択
ドイツ連邦内閣は、気候変動がもたらす影響に備え、自然環境や社会、経済など幅広い分野で回復力を高めるための適応戦略を採択した。水資源保護や農林業の強化、都市部での熱波対策など具体的な施策を盛り込み、政府や自治体、産業界、社会全体が連携して気候変動リスクを軽減しながら持続可能な成長を実現していく方針である。
LCCC、HAR1で英国初の大規模水素生産契約を3件締結
Low Carbon Contracts Company (LCCC) は、英国政府の水素生産ビジネスモデルの公募であるHydrogen Allocation Round 1(HAR1)で、全11件中最初の3件となる水素生産契約を締結した。Cromarty、Whitelee、West Walesの3プロジェクトは合計31.8MWの水素を生産し、産業の排出削減や雇用創出、投資拡大に寄与する。この取り組みは英国における水素経済の確立を加速し、ネットゼロ目標とグリーン成長に向けた大きな前進となる。
英国政府、テサイド地域で初の炭素回収プロジェクト向け契約を締結
英国政府は北東部のティーサイド地域において、二酸化炭素を回収・貯留するCCUS(炭素回収・利用・貯留)プロジェクトのための最初の公式契約を締結した。新たに導入された契約スキームにより投資リスクを軽減し、大型施設の建設・運用を加速する。これらのプロジェクトは、2030年までにCCUSクラスターを4か所整備し、年間2000万〜3000万トンのCO₂を削減する政府目標に寄与するとともに、ティーサイドの産業地域における雇用創出や地域経済活性化にもつながる見込みである。
欧州委員会、デンマークの再生可能ガス生産制度に対し17億ユーロ規模の支援策を承認
欧州委員会は、デンマークがバイオガスとe-メタンの生産を支援する総額約17億ユーロ(130億デンマーククローネ)の制度をEUの国家補助規則に基づき承認した。ガス網への注入を条件とする新規・既存プラントが対象で、20年間にわたる価格プレミアム方式で支援が行われる。年間7.9ペタジュールの再生可能ガス生産と2033年以降の年間45万トンのCO₂排出削減が見込まれ、これはEUのグリーンディールやREPowerEU計画(ロシア産化石燃料依存の低減とグリーン転換の加速)にも寄与する。
引用元: https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_24_6464
EU: 現実から目を背けないで、気候危機への備えを真剣に考える時が来た
EU は、3年前から準備計画の一環としてこの問題に真っ向から取り組み、ますます極端化する気象現象から人々と繁栄を守るべく取り組んでいる。この取り組みの重要な鍵となるのが、ヨーロッパ各地の地域が変化する気候に適応できるよう支援する「気候変動適応ミッション」を紹介し、今後の取り組みに対して警鐘を鳴らしている。
BMWは自社ディーゼル車の初期充填をHVO100 に切り替え
BMW グループは現在、ドイツで製造されるすべてのディーゼル燃料の初期充填を HVO 100 に切り替えることで明確なメッセージを発信している。2023年3月以降、ネステ社製のHVO 100はBMWグループ工場の物流トラックにも使用されている。
引用元: https://www.bmwgroup.com/en/news/general/2024/hvo100.html
Fuel EUの期限が2025年1月に迫る
規制当局が新燃料の影響を十分に理解せずに新燃料について決定を下しているという逆説的な状況を指摘していると、バルチック海運取引所タンカーフォーラムでのパネルディスカッションでパネリストのJasmin Fichte氏(Fichte & Co.のマネージングパートナー)が見を述べている。海運業界の国際的な性質は、さまざまなレベルの野心と規制の枠組みを持つ国々が影響力を競い合うため、問題をさらに複雑化していくとのこと。
フィンランドのアイスホッケーリーグのナショナルチームが移動にHVO100を利用
全国アイスホッケーリーグであるLiiga及び代表チームはバス移動でNeste社のMY再生可能ディーゼル™を使用するコラボレーションを開始した。フィンランド全土の約190のNesteステーションで供給され、Liiga及び代表チームでチームのバス輸送による温室効果ガス排出量が平均90%削減可能となる。
引用元: https://www.neste.com/news/neste-and-liiga-team-up-to-reduce-emissions-from-game-travel
ドイツの国水素協議会(NWR)はEU再生可能エネルギー指令(RED)改正の一環として、輸送用エネルギーキャリアの要件に関する声明を採択
2024年11月22日、全国水素協議会(NWR)は、EU再生可能エネルギー指令(RED)改正の一環として、輸送用エネルギーキャリアの要件に関する声明を採択した。 この中でNWRは、REDの国内法への導入に向けた3つの行動を提言している。
引用元: https://www.wasserstoffrat.de/veroeffentlichungen/stellungnahmen#c24013
ボルボ・グループ・オーストラリア、HVO100の利用開始を発表
ボルボ・グループ・オーストラリアは、2030年の脱炭素目標達成に向けて2024年12月より、HVO100を工場で利用開始したことを発表した。QLD州Wacol工場で製造されるボルボとマックの全トラックに、HVO100が給油される。
欧州委員会、ネットゼロ技術と再生可能エネルギー普及に向け46億ユーロの支援策を発表
欧州委員会は、イノベーション基金を活用し、ネットゼロ技術や再生可能エネルギーの普及を加速する総額46億ユーロの支援策を発表した。24億ユーロは脱炭素プロジェクトに、10億ユーロは電気自動車用バッテリー製造に、1.2億ユーロは再生可能水素の生産に充てられる。また新制度「Grants-as-a-Service」や欧州水素銀行オークションを通じて、行政手続きの効率化と資金支援の拡大を図る。
引用元: https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_24_6184
イギリス、SAF義務化を法制化 – ジェットゼロ・タスクフォースを発足
イギリス政府は、持続可能な航空燃料(SAF)の導入を義務付ける法律を正式に成立させ、航空業界の脱炭素化を目指した「ジェットゼロ・タスクフォース」を発足した。この法案では、2030年までにSAFの利用割合を10%に引き上げる目標が設定されている。
VNG社とHyCC社、ルターシュタット・ヴィッテンベルクでのグリーン水素生産を計画
2024年12月4日、ドイツのエネルギー企業VNG社とその子会社VNG Handel & Vertrieb 社、およびオランダの水素企業HyCC社は、ベルリンとライプチヒの中間に位置するルターシュタット・ヴィッテンベルクにおいて、再生可能エネルギーを活用した水電解装置を共同開発し、グリーン水素を生産する計画を発表した。このプロジェクト「GreenRoot」は、天然ガスの代替としてグリーン水素を利用し、化石燃料の使用を削減することを目指している。計画では、2025年に承認および協議フェーズを開始し、2026年に最終投資決定を行い、2029年の稼働開始を目指している。
引用元: https://www.hycc.com/en/news/vng-and-hycc-plan-to-produce-green-hydrogen-in-lutherstadt-wittenberg
イギリス、森林保護と気候変動対策に向けた資金支援を発表
イギリス政府は、コロンビアやインドネシアを含む国々の熱帯雨林の保護と気候変動対策を支援するために2億3900万ポンドの拠出を発表した。この取り組みは、森林破壊を抑制し、生態系を保護することで、地球規模の気候変動と闘うことを目的としている。また、森林保護活動を進める国々への支援強化を通じて、持続可能な開発や地域コミュニティの生活向上も目指している。
ベルリンの北部に位置するメクレンブルク州の地区議会は、HVO 100によるディーゼルによるバス運行を決定
観光やモビリティに特化している情報提供サイトのBus Blickpunktによると、2024年11月29日に電気バスは高価すぎるのでドロップイン燃料のHVO 100合成燃料(廃棄物と使用済み植物油から製造)でバス運行することを決定したと伝えている。
引用元: https://www.sustainable-bus.com/news/german-district-hvo-instead-electric-buses/
EUは炭素市場のルールと新たな気候変動ファイナンス目標について合意
バクーで開催されたCOP29国連気候変動枠組条約締約国会議において、欧州委員会とEU加盟国は、パリ協定の目的に世界の資金の流れを合わせるための合意の仲介を主導した。
引用元: https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_24_6043
Formula 1がカタール航空の新プログラムを通じて持続可能な航空燃料への投資を拡大
F1は、グローバルパートナーのカタール航空と共同で開発した新しいプログラムを通じて、持続可能な航空燃料(SAF)への投資を拡大すると発表した。今年の2つのプログラムへの投資を合わせると、関連する排出量が8,000 tCO2e(二酸化炭素換算トン)以上削減され、2024年シーズンのフライアウェイイベントでF1が運営する航空貨物チャータープログラムの関連する排出量が、従来の航空燃料と比較して約19%削減されることとなる。
クラウンオイルは英国南極調査局と提携し、RRSサー・デイビッド・アッテンボロー号にHVOを供給
クラウンオイルは英国南極調査局(BAS)が運営する世界的に有名な南極観測船「サー・デイビッド・アッテンボロー」のマデイラ島とモンテビデオからの航海に燃料として、100万リットルのHVOを供給。従来のディーゼルに比べて純炭素排出量を最大90%削減。
EFRAGがIASBのドラフト「財務諸表における気候関連およびその他の不確実性 提案された例示」に対する最終コメントレターを発行
PEFRAG は、IASB の公開草案 IASB/ED/2024/6「財務諸表における気候関連およびその他の不確実性 - 提案された例示」(以下ED)に対する最終コメントレターを公表。ED記載の事例は、財務諸表における気候関連およびその他の不確実性の報告、監査、監督および執行の改善に役立つという点で、既存のIASB教育資料を補完するものであり、これらの事例がIFRS会計基準に付随する説明例として含まれることを支持。
11月
オーストラリア、グリーン水素製造に向けた投資促進のための税制優遇措置を提案
オーストラリア政府は、Future Made in Australia (Production Tax Credits and Other Measures) Bill 2024を提出した。この法案は、再生可能水素の製造や輸送、貯蔵を対象とした新たな税制優遇措置である「Hydrogen Production Tax Incentive (HPTI)」を創設するものである。HPTIは、国内および輸出市場向けの再生可能水素プロジェクトへの投資促進を目的としている。
スペイン・イベリア市場初のグリーン水素オークションをMIBGAS社とDH2Energy社が開始
MIBGAS社とDH2 Energy社が、スペイン・イベリア市場で初のグリーン水素オークションを2024年11月15日より開始した。アラゴン州のHysenciaプラントで生産予定のグリーン水素を対象に、企業向けの購入機会を提供し、脱炭素化推進と再生可能水素市場の基盤形成を目指す。
イギリス、新たな石炭採掘ライセンスの発行を全面禁止へ
イギリス政府は、化石燃料への依存を減らし、カーボンニュートラルの達成を加速するため、新たな石炭採掘ライセンスの発行を全面的に禁止すると発表した。この措置は既存の採掘活動には影響を与えないが、再生可能エネルギーへの転換を促進し、気候変動対策の強化を目指すものである。
引用元: https://www.gov.uk/government/news/new-coal-mining-licences-will-be-banned
ドイツ・マンハイムでの暖房転換を推進するための共同取り組み
独・MVVエネルギー社は、マンハイム市と協力して、地域の暖房システムを持続可能で環境に優しい形に転換する取り組みを発表した。このプロジェクトでは、GHG排出量削減を目指し、再生可能エネルギーや廃熱を活用した暖房供給システムの導入を進める。これにより、2030年までにマンハイム市における地域暖房を完全にグリーン化することを目指す。
EU、企業への森林破壊防止法遵守期限を1年延長する提案
欧州議会は、新たな森林破壊防止法への企業の対応期間を1年延長することを提案した。この法律は、輸入品が森林破壊に寄与していないことを証明する義務を企業に課し、持続可能なサプライチェーンを促進するものである。しかし、欧州議会は企業が新しい規則に準拠するための準備時間が不足していると判断し、延長を求めている。
EUはCOP29で継続的な世界的気候変動対策を支持し、野心的な財政・投資目標を推進する
11月11日から22日までアゼルバイジャンで開催されるCOP29国連気候変動会議において、欧州連合は国際パートナーと連携し、 世界の平均気温上昇を1.5℃に可能な限り近づけるというパリ協定の目標達成に努める。COP29において、パリ協定締約国は、気候資金に関する新たな共同数値目標(New Collective Quantified Goal :NCQG)の採択を通じて、世界の資金の流れがパリ協定に更に沿うようになり、投資が促進されるようにする必要がある。NCQGは今年の交渉の主要な優先課題となる。
引用元: https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_24_5721
World WaternetとWater Footprint Implementationが協力してウォーターフットプリント補償イニシアチブを推進
2024年11月4日にWorld Waternetは、水使用の影響が大きい淡水資源の補充と回復を目的としたプログラムであるウォーターフットプリント補償イニシアチブの開発を支援するため、Water Footprint Implementation(WFI)との戦略的パートナーシップを発表した。
ハンブルク港湾局は上海港とグリーン海運回廊を推進へ
ハンブルク港湾局 (HPA) とCOSCO Shipping Lines と上海国際港湾グループ (SIPG) は、上海市交通委員会 (SMTC) は「グリーン海運回廊」を推進すると10月23日に公表。
引用元: https://www.hamburg-port-authority.de/en/aktuelles-presse/default-e3751c6817b38f187b6dac20208e6228-2
Repsolが100%再生可能ディーゼルブランド「Nexa」を発売
10月29日にRepsols社は自社のサービスステーションで、100%再生可能ディーゼルの商品名「Nexa 100%再生可能ディーゼル」を開始した。これは、あらゆるディーゼルエンジン向けに設計されたプレミアム燃料である。Nexaは有機廃棄物から生産され、既存のディーゼル燃料と比較して最大 90% のCO2を削減することとなる。
非 EU グループ向け ESRS ウェビナーが開催される
CSRDでは、この目的のために別の基準が採用されることを見込んでおり、これらは非EUグループ向けESRS、略してNESRSと呼ばれている。EFRAG は、タイムゾーンの違いを考慮して、 2024 年 11 月 19 日と 20 日の 3 つの異なる時間に、関心のある関係者向けにこのプロジェクトに関するウェビナーを開催します。
カナダは石油・ガス産業におけるGHG排出量を削減するための規制案を発表
2024年11月4日、カナダ政府は石油・ガス業界のGHG排出を抑制し、業界における技術革新と雇用創出を支援するための新たな規制案を発表した。この草案は、業界の排出上限を設定し、持続可能な未来に向けて業界がクリーンエネルギー技術を積極的に採用することを奨励するものである。
韓国政府は東海市、三陟市、浦項市を水素特化団地に指定し、水素産業の発展を計画
韓国の韓徳洙首相は2024年11月1日に開催された第7回水素経済委員会で、「水素専門団地の指定」、「液体水素キャリアの開発戦略」、「水素都市2.0計画」の3つの議題を発表した。東海市、三陟市、浦項市の水素特化団地に企業が集まり、水素インフラや技術開発が推進される。これにより、韓国は水素エコシステムの構築と世界の水素経済リーダーシップを目指すとした。
引用元: https://www.korea.net/Government/Briefing-Room/Press-Releases/view?articleId=7655&type=O&insttCode=
米国政府はネットゼロ達成に向けた連邦プロジェクトに1億5000万ドルを投資
2024年10月29日、米国バイデン・ハリス政権は、連邦政府のネットゼロ目標達成を支援するために、1億5000万ドルを拠出すると発表した。この投資は、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの利用拡大、カーボンフットプリント削減を目指す連邦施設やプロジェクトに向けられる。特に、省エネ技術の導入や太陽光発電などのクリーンエネルギーを活用するインフラ整備が推進され、持続可能な社会の実現を加速させる狙いである。
PETRONAS社、マレーシアの石油・ガス産業強化に向けた2大イニシアチブを発表
PETRONAS社は、マレーシアの石油・ガス分野の競争力を強化するため、2つのイニシアチブを発表した。1つ目は、持続可能な成長と運用効率向上を目指す「FutureTech 3.0プログラム」で、スタートアップや中小企業の技術革新を支援する。2つ目は「Vendor Development Program」で、国内供給網を育成し、現地企業の成長を促進することを目的としている。
RNLI(英国王立救命協会)はCertas Energy社と提携し、6tのCO2削減を達成
RNLIはCertas Energy社と提携し、脱炭素化へ向けた取り組みを進めている。最近の取り組みでは、HVOを使用することで、1つの救命船拠点で約6tのCO2削減を達成した。
引用元: https://certasenergy.co.uk/news/rnli-saves-six-tonnes-of-co2/
オランダ国王、LIFEの資金援助を受けたグリーン水素電解装置を開設
オランダのウィレム=アレクサンダー国王陛下は、10月4日、ユトレヒト近郊でグリーン水素製造用の新しい電解槽(Hysolar社が開発)を正式に開設した。そ同施設は、環境と気候変動対策のための EU の資金調達手段である「LIFEプログラム」が資金を提供するLIFE NEW HYTS(グリーン水素の地域生産・流通・利用の実証事業)プロジェクトを通じて稼働することとなる。
ヨーロッパと米国のバイオメタン認証および追跡システムが機能していることを確認
EUでは、バイオメタンの取引は、原産地保証(GO)および持続可能性証明(PoS)認証を通じて合法的に追跡されており、バイオメタン能力開発を支援し、持続可能な低炭素原料の使用を奨励している。2024年末にはEUバイオ燃料データベース(UDB)が運用可能となり、マスバランス証明書のトレーサビリティが促進されている。2023年にはEUで約1,500万トン、米国で約500万トンのCO2eが削減された結果となった。
EUは排出量取引収入の48億ユーロを革新的なネットゼロプロジェクトに投資
EUは、イノベーション基金から48億ユーロの助成金を受け取る85の革新的なネットゼロプロジェクトを選定し、欧州全土で最先端のクリーンテクノロジーの導入を支援する。2023年の提案募集では、クリーンテクノロジーの製造に焦点を当てたさまざまな規模(大規模、中規模、小規模、パイロット)のプロジェクトが授与されていた。
引用元: https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en%5E/ip_24_5423
ドイツ政府、15の炭素差金契約を締結
ドイツ政府は10月15日に15の初の炭素差金契約を締結したことを公表した。ロバート・ハーベック連邦大臣は連邦経済気候対策省のイベントで、炭素差金契約を手渡した。資金提供を受ける企業はドイツ全土から集まり、中小企業と大企業の両方が含まれている。
European Environment Agencyが2024年欧州水資源状況の報告書を公表
10月15日にEuropean Environment Agencyが水資源の回復力向上の必要性を主な論点として、2024年における欧州水資源状況の報告書を公表している。
引用元: https://www.eea.europa.eu/en/analysis/publications/europes-state-of-water-2024
10月
欧州委員会、新枠組み「Net-Zero Industry Framework」で脱炭素と競争力強化を推進
欧州委員会は、2050年までの気候中立を目指し、「Net-Zero Industry Framework」を発表した。再生可能エネルギーやグリーン水素などの分野への投資を強化し、加盟国の脱炭素化を支援すると同時に、公平な競争を維持しつつEU産業の競争力を向上させる。COP30に向け、透明な補助金制度と効率的な資源活用が求められている。
引用元: https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_24_5423
メルセデス・ベンツ社は循環型バッテリーリサイクル工場を開設
メルセデス・ベンツ社は、ドイツのクッペンハイムに最先端の循環型バッテリーリサイクル工場を開設した。車両の使用済みバッテリーをリサイクルすることで、持続可能な素材の循環を目指す工場である。環境負荷を最小限に抑えるため、リチウム、コバルト、ニッケルなどの希少金属を回収し再利用する計画である。
引用元: https://group.mercedes-benz.com/company/news/recycling-factory-kuppenheim.html
OECDとIMFが協調的気候政策とカーボンプライシングの重要性を強調
OECDとIMFは、効果的な脱炭素化には各国の政策連携とカーボンプライシングの導入が不可欠であるとする報告書を発表した。カーボンプライシングにより温室効果ガスの削減を促し、各国の協調によって経済の競争力を保ちながら持続可能な成長を目指すべきだと提言している。また、国境を越えた政策の影響を適切に管理する重要性も指摘。COP30に向け、透明性と一貫性のある国際協調を求めている。
the Urban Land Institute、不動産業界向けカーボンプライシング原則を共同で発表
非営利団体のthe Urban Land Institute(ULI)は、EPRA、IIGCC、INREV、RICS、WBCSDなどと共同で、不動産業界の脱炭素化を促す「カーボンプライシング原則」を発表した。透明性と一貫性のある価格設定で投資家と開発者の低炭素化を支援し、国際協調によって市場の競争力を保ちながら環境目標の達成を目指すとしている。
New Flyer社はSamTrans向けに水素燃料電池バス108台を提供
NFIグループの子会社New Flyer社は、カリフォルニア州の公共交通機関SamTrans向けに、108台の水素燃料電池バスを納入する契約を締結した。同社史上最大規模の契約で、公共交通の脱炭素化への寄与を目指すとしている。
スコットランド首相、スコットランドが洋上風力発電のサプライチェーン投資にとって世界で最も魅力的な場所になる可能性があるとスピーチ
2024年10月9日水曜日、アバディーンのP&J Liveで開催された「スコットランド再生可能エネルギー」および「RenewableUK浮体式洋上風力会議」におけるジョン・スウィニー首相のスピーチが公表されている。
引用元: https://www.gov.scot/publications/floating-offshore-wind-conference-first-ministers-speech/
IEAの再生可能エネルギー市場報告書で、再生可能燃料に焦点を当てた章が初めて含まれ解説される
国際エネルギー機関(IEA)は10月9日、再生可能エネルギー市場報告書を発表し、再生可能燃料に焦点を当てた章が初めて含まれ解説されている。現代の固体バイオエネルギーの使用は再生可能燃料需要の大部分(75%)を占め、輸送部門では液体バイオ燃料(20%)、主に建物部門ではバイオガス(5%)が続く。再生可能水素とe-燃料は、再生可能燃料として主に輸送部門で現在少量使用されているとのこと。
引用元:https://www.iea.org/reports/renewables-2024/renewable-fuels
IEAが「Global Hydrogen Review 2024」を公表。2030年には現在の5倍の生産へ
10月2日にGlobal Hydrogen Review 2024を公表。最終投資決定(FID)に達したプロジェクトの数も増加しており、FIDを取得した発表済みの生産量は昨年の2倍の3.4 Mtpaに達し、2030年までに現在の生産量の5倍に増加するとのこと。また、一方で不明確な需要シグナル、資金調達のハードル、インセンティブの遅れ、規制の不確実性、ライセンスと許可の問題、運用上の課題などによる事業推進リスクもあると分析している。
引用元: https://www.iea.org/reports/global-hydrogen-review-2024/executive-summary
10月2日にオーストラリアの国家水素戦略2024が公表される
「クリーンかつ革新的で安全かつ競争力のある水素産業は、オーストラリアのコミュニティと経済に利益をもたらし、ネットゼロへの移行を可能にし、オーストラリアを世界の主要なプレーヤーとして位置づけます。」を国家水素戦略のビジョンとし、ビジョンの達成の為の4つの目標と、それを支援する34 のアクションを記載している。
引用元: https://www.dcceew.gov.au/energy/publications/australias-national-hydrogen-strategy
豪州のホワイト水素探査企業のHyterra社が米国でホワイト水素の探査用土地を拡大
米国カンザス州にある当社の米国カンザス州に所在するネマハ プロジェクト 39,000 エーカーに加え、新たに13,000エーカーの探査用土地を追加したことを同社のニュースリリースで10月11日に公表した。
引用元: chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://wcsecure.weblink.com.au/pdf/HYT/02865221.pdf
米国とブラジル、クリーンエネルギー協力を拡大
米国とブラジルは、クリーンエネルギー分野での協力関係を拡大することを発表した。この協力は、再生可能エネルギーの開発、水素技術、クリーンエネルギーのイノベーションを促進することを目的としている。両国は、エネルギーの持続可能性と脱炭素化に向けた取り組みを強化し、気候変動に対応しつつ経済成長を目指す方針である。
引用元: https://www.energy.gov/articles/united-states-and-brazil-expand-clean-energy-cooperation
再生可能エネルギーの世界的成長は2030年までに主要経済国の全発電容量に匹敵し、目標である「発電容量の3倍化」の達成に近づく
国際エネルギー機関(IEA)は、2030年までに再生可能エネルギーの世界的な成長が、現在の主要経済国の全発電容量に匹敵する規模に達する見通しを発表した。風力や太陽光を中心とした再生可能エネルギーの急速な拡大により、世界が再生可能エネルギーの目標である「発電容量の3倍化」に向けて着実に進展していることが示されている。この成長は、エネルギーの脱炭素化を加速し、気候変動対策に貢献するものと期待されている。
第1回EU全域再生可能水素オークションの受賞者が助成契約に署名し、新しい欧州の水素経済への道を開く
欧州委員会は、第1回のEU全域再生可能水素オークションの受賞者と助成契約を締結した。このオークションは、新しい水素経済の基盤を作り、持続可能なエネルギー転換を加速するための重要なステップである。受賞者は、再生可能エネルギーから水素を生産するプロジェクトを支援され、欧州全体での水素の普及に貢献することが期待されている。
英国政府、最初のCCUSクラスター計画のうち3つのプロジェクトに資金提供を決定
英国政府は、炭素回収・利用・貯留(CCUS)技術の推進に向け、最初のクラスター計画の中で3つのプロジェクトに資金提供を行うことを発表した。このクラスターは、産業部門の脱炭素化を加速させることを目指しており、排出削減に貢献する技術の実用化に向けた重要な一歩となる。
アイオワ州、E15燃料とバイオディーゼルの供給拡大を推進
米・アイオワ州農務省は、E15燃料(15%エタノール混合ガソリン)とバイオディーゼルの供給拡大に向けた取り組みを発表した。この計画は、州全体の燃料供給拡充を目指し、再生可能エネルギーの利用促進と農家の支援を目的としている。対象店舗への助成金制度が提供され、燃料の選択肢を広げることで環境負荷の軽減を図るとしている。
引用元: https://iowaagriculture.gov/news/expand-e15-biodiesel-availability
欧州委員会は、ネットゼロ経済への移行を促進するためにポルトガルの10億ユーロの国家援助計画を承認
欧州委員会は、 グリーンディール産業計画に沿って、ネットゼロ経済への移行を促進するために必要な機器の生産への投資を支援する10億ユーロのポルトガルの計画を承認した。この計画は、 2023年3月9日に欧州委員会によって採択され、 2023年11月20日と2024年5月2日に修正された国家援助の一時的な危機および移行の枠組み(「TCTF」)に基づいて承認された。
引用元: https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_24_4822
アメリカは世界最大のガソリン輸出国であり、世界の総輸出量の16%以上を供給
EIAによれば、米国は世界最大の自動車用ガソリン(完成ガソリンとガソリン混合成分)輸出国であり、世界の総輸出量の16%以上を供給しているとのこと。2023年の米国の自動車用ガソリン輸出量は平均90万バレル/日で、国内消費量の約10%に相当し、平均タンクサイズを24ガロンと仮定すると、150万台以上のSUVのタンクを1日で満タンにできる量。
The Australian Renewable Energy Agency (ARENA)はSAF製造のJet Zero社を支援
ARENAは9月27日、Townsvilleでの持続可能な航空燃料(SAF)の生産を促進するため、Jet Zero Australiaに900万ドルの資金提供を行うことを発表した。Jet Zero Australiaは、商業規模のアルコールからジェット機用の低炭素液体燃料(LCLF)を製造する施設の実現可能性を判断し、最終的な投資決定に向けて進めるための、3,680万ドルを投資して、フロントエンドエンジニアリング設計(FEED)調査を実施する。
引用元: https://arena.gov.au/news/arena-backs-jet-zero-for-sustainable-aviation-fuel/
ノルウェーの9月の新車販売に占める電気自動車のシェアが96.4%となった
ノルウェーの道路交通情報評議会によると、同国における新車の電気自動車の割合は8月には電気自動車のシェアが過去最高の94%を超え、9月には新車販売に占める電気自動車のシェアが96.4%となった。50万クローネ以上の電気自動車に付加価値税が導入され、また公共交通機関や料金所などでの電気自動車の使用条件が変更されたにもかかわらず、現在店頭で販売されているのはほぼ電気自動車のみとなっている。
引用元: https://ofv.no/aktuelt/2024/turtalls%C3%B8kning-i-nybilsalget
世界の水素需要は2023年に9700万トンに達し、2022年と比較して2.5%増加
IEAよりGlobal Hydrogen Review 2024が公表された。主に化石燃料を抑制せずに生産された水素で賄われており、過去数年と同様に、低排出水素の役割はわずかで、2023年の生産量は100万トン未満となっている。詳細はリンク先にて確認いただきたい。
引用元: https://www.iea.org/reports/global-hydrogen-review-2024
ドイツとオーストラリアがエネルギー・気候関連における協力体制を強化
ドイツとオーストラリアは、水素サプライチェーンの構築や気候変動対策、エネルギー安全保障において協力を強化し、特に再生可能水素の輸出に向けた新しいサプライチェーンを構築することを目指している。これには、総額6億6,000万ドルの資金が投入され、オーストラリアからドイツへの水素輸出を促進する。
スウェーデンのStegra 社は政府から約1億ユーロの支援を獲得
スウェーデンのStegra 社(旧H2 Green Steel)は、ボーデンにおけるほぼゼロ排出の統合型製鉄施設の設立に向け、スウェーデンエネルギー庁の「産業革新ファンド(The Industrial Leap)」から約1億ユーロ(約140億円)の補助金を獲得した。このプロジェクトは、化石燃料の代わりにグリーン水素を使用して鉄を製造し、従来の製鉄プロセスと比べてCO2排出量を95%削減することを目指している。
韓国政府は首都圏における燃料電池バスを21,200台に拡大へ
韓国の環境部と国土交通部にて組織される首都圏交通委員会は、首都圏バス路線(京畿道や仁川広域市など)での燃料電池バス導入を促進することを計画している。2024年9月11日に開催された説明会では、燃料電池バスの供給計画や水素の充填ステーションの現状が報告され、2030年までに首都圏のバスの25%(合計21,200台)を燃料電池バスにする目標が示された。韓国では2024年8月31日現在、すでに1,185台の燃料電池バスが導入されている。
カナダのWoodland Biofuels 社は大規模な再生可能バイオ燃料製造施設に13.5億ドルを投資
Woodland Biofuels 社は、米・ルイジアナ州のサウス・ルイジアナ港で世界最大の再生可能バイオ燃料製造施設を建設するための、13.5億ドルの投資を発表した。このプロジェクトは、廃棄バイオマスを使用して持続可能なバイオ燃料を製造し、2028年に商業運転を開始する予定である。
引用元:https://www.woodlandbiofuels.com/news-2/ultra-green-hydrogen-facility
欧州委員会、低炭素水素の評価方法に関するコンサルテーションを開始
2024年9月27日、欧州委員会は低炭素水素・燃料の排出削減効果を評価するための評価方法に関する草案について、4週間の意見募集を開始した。この方法論は、再生可能エネルギー由来の燃料と同様に、ライフサイクルを通じたGHG排出削減の評価に焦点を当てている。最終的な決定は欧州議会と欧州連合理事会による承認を経て、正式に施行される予定である。今回の取り組みは、EUのエネルギー移行戦略を進める重要な一環として、2026年までに加盟国が国内法に導入することが求められている。
9月
欧州横断エネルギーネットワーク(TEN-E)規制に基づくエネルギーインフラプロジェクトの申請の募集を開始
欧州委員会は、共通利益プロジェクト(PCI)または相互利益プロジェクト(PMI)のステータスを取得するための、欧州横断エネルギーネットワーク(TEN-E)規制に基づくエネルギーインフラプロジェクトの申請の募集を開始した。
電気、水素、電解装置のカテゴリーの募集は2024年9月18日から11月18日まで、スマート電力グリッド、スマートガスグリッド、CO2、および第24条の例外に該当するプロジェクトの募集は2024年9月18日から12月18日まで行われる。
アバディーンに英国全土のクリーンエネルギー推進活動の一環としてグレート・ブリティッシュ・エナジー本社を設置
同社は英国労働党のエネルギー政策計画の一環として発表された、英国政府投資機関および公営エネルギー発電会社である。アバディーン市に本社を置き、エディンバラとグラスゴーに2つの小規模な拠点を持つことを発表。
英国政府は新たな洋上風力発電所の建設を加速させるためにクラウン・エステート社と同社との新たな提携を承認している。英国国民が英国国民のために所有するこの会社は、今議会中に83億ポンドの政府資金を後ろ盾に、英国のクリーンな国産電力に民間投資を呼び込むことになる。
BMWのオーストリア:シュタイアー工場が100%バイオマスに切り替え
BMWのオーストリア:シュタイアー工場では、通常の操業では天然ガスを使用せず、代わりに近隣のバイオマス発電所(2つのエネルギープロバイダーであるEnergie AG Oberösterreich Erzeugung GmbHとEVN Wärme GmbHが、その合弁会社であるBioenergie Steyr GmbHで運営)の熱に頼っている。同工場は2012年に初めてバイオマス発電所由来の地域暖房網に接続された。それ以来、何度も拡張が行われてきたが、完全な地域暖房への移行は、2024年から2025年の終わりに完了すると予想されていましたが、2か月半前倒しで実現したとのこと。
EUのサービス部門の最終消費において、再生可能エネルギーが初めて熱と石油・石油製品を上回った
再生可能エネルギーとバイオ燃料は最終エネルギー消費量の8.0%を占め、熱の7.6%、石油と石油製品の6.3%を上回った。2021年には、再生可能エネルギーとバイオ燃料は7.3%を占め、熱(7.6%)と石油と石油製品(8.3%)に次ぐものとなった。
一方、電力(50.6%)と天然ガス(26.9%)は、引き続きサービス部門の最終エネルギー消費の4分の3以上を占めている。
引用元: https://ec.europa.eu/eurostat/en/web/products-eurostat-news/w/DDN-20240924-1
次世代の持続可能な船舶輸送のために風力発電を活用
王立造船協会(The Royal Institution of Naval Architects)のヴァイサラ海事・気象・環境責任者であるミッコ・ニッカネン氏が同協会の記事で意見を述べている。
同氏は「最も有望なイノベーションの 1 つが、伝統的な航海技術と現代の工学技術を融合した風力補助船舶推進 (WASP) である。風力補助船舶には、従来のエンジン出力を強化するために、硬質帆、ローター、または翼のような構造が組み込まれている。その結果、炭素排出量を効果的に削減するように設計された船舶が誕生した。」と述べ、適切な技術を導入することで、海運業界は持続可能性の目標を達成するための正しい道筋を描くことができると綴っている。
米国のクリーンエネルギー関連の雇用は米国全体の雇用の2倍以上の伸びに
米国の年次エネルギー・雇用報告書(USEER)によると、クリーンエネルギー部門の労働組合組織率は過去最高を記録し、各州でクリーンエネルギー関連の雇用が増加しているとのこと。米国のクリーンエネルギー関連の雇用は2023年に14万2000人増加し、エネルギー部門の新規雇用の半分以上を占め、米国経済全体の2倍以上の成長率で増加しているとのこと。
東南アジアの原料は、世界のSAF需要の約12%を供給可能とRSBが報告
東南アジアの11カ国を対象とした持続可能な原料評価では、この地域のバイオベースの原料能力により、2050年までに年間約4,570万トンのSAFを生産できると報告。同調査にはボーイングが支援している。
Korean AirがSAFを利用開始へ
2024年8月30日から2025年7月まで、大韓航空は週1回、ソウル・仁川発東京・成田行きのKE719便にSAF1%混合燃料を使用する。この路線は、大韓航空の国内線SAFプログラムの出発点となり、徐々にSAFの使用を中・長距離路線に拡大する計画である。SAFの供給会社はS-OilとSK Energyの2社である。S-Oilは最初の6ヶ月間SAFを供給し、残りの期間はSKエナジーが供給する。S-Oilは使用済み食用油からSAFを製造し、SKエナジーは使用済み食用油と動物性油脂を組み合わせて製造する。
欧州エネルギー取引所はドイツの連邦ネットワーク庁に対し水素ネットワークに関する回答を提出(ドイツ語のみ)
ドイツの連邦ネットワーク庁:BNetzA は、水素経済のためのバランス調整体制 (WasABi)、グリッド アクセスおよび容量モデル (WaKandA) に関する正式な手順に関する協議の回答を8月30日に提出。
豪州でアジア太平洋水素2024サミットが9月12日に開催
ロンドンのイベント運営会社であるThe Sustainable Energy Council (SEC)が9月12日~13日まで豪州のブリスベンでオーストラリア貿易促進庁と開催州クイーンズランド州政府支援を受け、アジア太平洋水素2024サミット&展示会を開催された。 1週間前の9月4日~6日に、オーストラリア水素研究ネットワーク(AHRN:全国非営利企業)が主催する第2回オーストラリア水素研究会議2024が、西オーストラリア州パースまで開催されていた。
EU加盟国はEU-ETSの新たな監視ルールに合意
2024年8月29日、EU加盟国はEU-ETSの新しい監視ルールを承認した。これには、再生可能燃料および低炭素燃料の排出量をゼロとする規定、代替航空燃料の監視強化、そしてNOxや飛行機雲などの非CO2排出物の航空業界の報告が含まれている。新しい監視システムは2025年1月から稼働予定となっている。
蘭・Carbyon 社は自社のDAC技術の実証に1,530万ユーロを調達
オランダの新興企業であるCarbyon社は、独自のDAC技術である「fast swing」技術の実証に向け、1,530万ユーロのシリーズA資金調達を完了したことを発表した。投資家には、Siemens Financial Servicesなどが含まれ、今後の大規模な展開に向けた準備が進められる。同技術の特徴はエネルギー効率の高さと設備の製造コストの安さであり、将来的にはCO2の回収に係るコストを100 ユーロ/t-CO2に引き下げることを目標としている。
フィンランドでヨーロッパ最大のターコイズ水素製造工場が開設
フィンランドのHycamite TCD Technologies社は、ヨーロッパ最大のメタン分解による水素製造工場を開設した。この工場は年間2,000トンの低炭素水素と6,000トンの固体炭素を生産する。メタン分解技術は、メタンを水素と炭素に分解し、温室効果ガスを排出しないため、持続可能な水素生産の新たなモデルである。この技術は電解による水素生産の13%のエネルギーしか必要としない。
北アイルランドのベルファスト・シティ空港では陸上車輛・設備へHVOを導入
ベルファスト・シティ空港は、エアサイド車両および設備全体で、従来のディーゼル燃料に代わり、HVOを導入し、年間排出量を最大90%削減すると発表した。この取り組みは、空港の持続可能性向上の一環で、LED照明導入と合わせて行われており、空港は2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指している。
引用元: https://www.belfastcityairport.com/news/Belfast-City-Airport-HVO-switch
EUは南部アフリカのグリーン水素と再生可能エネルギー開発に資金提供を発表
2024年9月9日、EUは、南部アフリカでのグリーン水素と再生可能エネルギープロジェクトを支援するため、5,390万ユーロの資金を提供することを発表した。特にナミビアには3,690万ユーロが割り当てられることとなる。今回の発表は、南アフリカにおけるグリーンエネルギー移行を支援するEUの取り組みの一環である。
タイ国政府観光庁(TAT)は、バンコクでアメイジング・グリーン・フェスト2024を開催、高付加価値でサステナブルな観光への取り組みを強化
8月15日から18日までバンコクのサイアム・パラゴンのパラゴン・ホールで開催した。
タイ国政府観光庁(TAT)のタパニー・キアットパイブール氏は「このイベントは、タイの観光エコシステムの持続可能性を加速し、経済的価値を促進し、天然資源の生物多様性を維持するというTATのビジョンを強調するもの。これは、タイを持続可能な質の高い観光地として発展させるためのタイの競争力強化のための20カ年国家戦略と、第13次国家経済社会開発計画のマイルストーン2と一致している」と言及。
トタルエナジーズ・マリン・フューエルズ、シンガポールで初めてB100バイオ燃料バンカーを供給
TotalEnergies Marine Fuels は、Global Energy Groupが所有するIMOタイプII化学燃料タンカーMAPLEを使用して、100% 使用済み食用油メチルエステル(UCOMEベース)バイオ燃料700mtをHyundai Glovis が所有する純自動車運搬船 (PCTC) Glovis Cosmos に移送した。
世界初の商業規模の10MWのRenewable Dynamic Distributed Ammonia Plant (REDDAP)がデンマークに開設
デンマークのSkovgaard Energy、Topsoe、Vestasが開発した商業規模10MWのREDDAP Power-to-Ammonia 施設が2024年8月26日にデンマーク北西ユトランド半島のラムメで開設した。このプラントは、発電量の変動を考慮しながら再生可能エネルギーをアンモニアプラントに直接接続し、同時にグリーンアンモニアをコスト効率よく生産する方法を模索する。
8月
ブラジル政府は航空機・船舶用バイオ燃料製造プロジェクトへ10億ドルを支援
2024年8月22日、ブラジル政府は航空機・船舶用バイオ燃料製造プロジェクトを対象に補助金の募集開始を発表した。総額60億BRL(約10億ドル)の補助金で、国立経済社会開発銀行(BNDES)と研究・プロジェクト基金(FINEP)がそれぞれ30億BRLを拠出し、ブラジルにおけるバイオリファイナリーの創設を促進することを目的としている。
カナダはe-fuel 製造プロジェクト2件に対し、360万ドルを支援
カナダ天然資源省(NRCan)は自国の輸送部門で使用されるe-fuelの生産を検討しているNuclear Laboratories(CNL)、Expander Energy、Nuclear Promise X、St. Marys Cement、FuelCell Energy(FCE)に資金を提供した。イエロー水素(原子力発電由来の電力で製造した水素)及びDAC(直接空気回収)技術を活用し、低炭素ディーゼルとSAFの製造を行う計画である。
米・DOEは地熱発電プロジェクトへ3,100万ドルを支援
米・DOEは、「米国への投資(Investing in America)」アジェンダの一環として6つの地熱発電開発プロジェクトに対して、3,100万ドルを支援することを発表した。 これらのプロジェクトは、先進的な地熱システムを導入で、貯留層熱エネルギー貯蔵がいかに産業界のエネルギー需要を削減できるかを実証するものである。
アイルランドのDAC技術を展開しているNEG8 カーボンが年間 1.2 トンの CO2 回収に成功
アイルランドのダブリン大学で研究を展開してきたでNEG8 Carbon社はDirect Air Captureのパイロット技術が技術準備レベル (TRL) 6 に到達し、年間 1.2 トンの CO2 回収に成功したことを伝えている。当社は、2035年には除去コストを1トンあたり150ユーロ未満、2045年までに1トンあたり100ユーロ未満にすることを目指している。
EUは中国製HVOおよびFAME輸入品に最大36.4%の暫定反ダンピング関税を課す
バイオディーセルの生産者を代表する団体であるEuropean Biodiesel Boad(EBB)は、7月19日にEU市場に溢れる中国製バイオディーゼルに対する貿易訴訟で暫定的な反ダンピング関税の獲得に成功した。EBBは欧州委員会に反ダンピング苦情を申し立て、欧州委員会は調査を2023年12月に開始していた。欧州委員会は4週間以内に中国製HVOおよびFAME輸入品に12.8%から36.4%の暫定反ダンピング関税を課すと発表している。
世界の平均気温は13か月連続で月間新記録を、また7月は気温の新記録を樹立
ジュネーブに本部を置く世界気象機関:World Meteorological Organizatio(WMO)は、8月13日に世界の平均気温は13か月連続で月間新記録を樹立したと伝えている。
WMO事務局長セレステ・サウロ氏は「過去1年間、広範囲にわたる強烈で長期にわたる熱波がすべての大陸を襲った。少なくとも10カ国で、1か所以上で日中気温が50℃以上を記録した。これは手に負えないほどの暑さになりつつある」、また「気候適応だけでは不十分です。根本的な原因に取り組み、記録的なレベルの温室効果ガス排出量の削減に真剣に取り組む必要があります」と述べている。
引用元:https://wmo.int/media/news/july-sets-new-temperature-records
英・OXCCU社はオックスフォード空港内にSAF製造実証プラントを設置
オックスフォード大学からスピンオフしたOXCCU社はAramco 社やUnited Airlines 社、Trafigura 社等から出資を受けてSAFを含む再生可能燃料の製造に関連した技術開発を進めている。此度、オックスフォード空港内にSAFの実証プラント「OX1」を設置し、独自の技術を活用しCO2と水からワンステップでSAFを製造することを目指す。プラントの操業は2024年9月を予定している。
中国共産党中央委員会および国務院はグリーン転換を強化するための一連のガイドラインを発表
2024年8月11日、中国共産党中央委員会(CPC)および国務院は、経済・社会発展の各分野でグリーン転換を強化するための一連のガイドラインを発表した。同ガイドラインは、地域空間の開発と保護の最適化、産業構造とエネルギー分野におけるグリーン・低炭素化の推進、交通分野と都市・農村開発におけるグリーン転換の推進など、多くの課題を提起している。
引用元: https://english.www.gov.cn/policies/latestreleases/202408/11/content_WS66b8a6f7c6d0868f4e8e9d80.html
米・タコマ港ではR99の再生可能ディーゼルの利用を開始
タコマ港では再生可能ディーゼルの割合が99%と高く、ドロップ燃料として利用可能なR99と呼ばれる燃料の利用をstraddle carriers(コンテナヤード内でクレーンやフォークリフトの助けを借りずにコンテナを移動させる装置)で開始した。同港では、並行してEVの導入や陸上電力供給システムの配備等の脱炭素化へ向けた取組を検討している。
引用元: https://www.portoftacoma.com/news/port-tacoma-switches-renewable-diesel
欧州投資銀行とドイツ銀行は連携して風力発電業界を支援
2024年7月31日、欧州投資銀行(EIB)はドイツ銀行(Deutsche Bank AG )に対して、 5億ユーロの債務保証を行うことを発表した。この保証によって、ドイツ銀行は新たな風力発電プロジェクトを支援するための10億ユーロの保証枠を設けることが可能となる。
引用元: https://www.eib.org/en/press/all/2024-308-eib-and-deutsche-bank-to-boost-europe-s-wind-manufacturers
欧州復興開発銀行はエストニアの風力発電所に1億ユーロを融資
2024年8月2日、欧州復興開発銀行(EBRD)はEnefit Green 社がエストニアで開発を進めている255 MW のSopi-Tootsi風力発電所の建設と運営のために1億ユーロを融資することを発表した。
韓国水力原子力発電公社は浮体式太陽光発電所の建設を開始
2024年7月24日、韓国水力原子力発電公社(KHNP)は「臨河ダム浮体式太陽光発電クラスター事業」の起工式を開催した。同プロジェクトは、多目的ダム内に47MWの浮体式太陽光発電設備を建設するものである。
引用元: https://www.khnp.co.kr/eng/selectBbsNttView.do?key=565&bbsNo=84&nttNo=56744
7月
6月
5月
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