エネルギーヴェンデ(転換)の変遷と道筋:再生可能エネルギーの拡大

 エネルギーヴェンデの主要施策の一つ「再生可能エネルギーの拡大」について説明する。

【政策方針】

 政府の方針は、「エネルギー輸入割合の削減によるエネルギー安全保障の確保」・「グリーンテクノロジーの革新による新たな産業構築及びそれに伴う雇用促進」・「気候及び環境保護」を実現させるために、再生可能エネルギーの導入を拡大することである。

【電力部門における再生可能エネルギー導入の変遷と今後の道筋】

 エネルギーヴェンデ政策では、再生可能エネルギーについて「電力」・「熱」・「燃料(モビリティ)」の3分野での利用を掲げている。
 ここでは、再生可能エネルギーとして導入が最も進んでいる「電力」における変遷と後の道筋について説明する。

 電力における再生可能エネルギーの導入を牽引してきたのは、2000年に施行された「再生可能エネルギー法」である。(同法は世界で初めて固定価格買取制度(FIT)を導入したことで広く知られている。)このFIT制度の導入は、再生可能エネルギーの普及に多大に貢献した。しかし一方で、国民への負担(賦課金)を増大させることにも繋がった。この課題に対応するために、法改正がなされ、再生可能エネルギー事業者が直接市場に販売できる「FIP(市場プレミアム)制度」や、電力コストを削減することが可能な「入札制度」が導入された。この様な幾度の法改正が、再生可能エネルギーの普及に寄与している。
 また同法は、「電力消費量における再生可能エネルギー由来の電力の割合」を目標値として掲げている。この目標値についても、幾度の法改正による引き上げが重ねられている(本頁下段【再生可能エネルギー法の改正に伴う目標値の推移】参照)。因みに、2023年1月の法改正において目標値は更に引き上げられ、「2030年に80%」・「2035年にほぼ100%」となる。
 

出典:”Bundesverband der Energie- und Wasserwirtschaft e. V. (Stromerzeugung und –verbrauch in Deutschland)”他、各種資料より、B.A.U.M. Consult Japanにて作成

※再生可能エネルギーの利用促進の為に電力供給法が廃止され、再生可能エネルギー法が新たに制定された。

【再生可能エネルギー法の改正に伴う目標値の推移】

出典:”Erneuerbare-Energien-Gesetz(EEG)再生可能エネルギー法”より、B.A.U.M. Consult Japan にて作成