【REDⅢ】EUではより一層のRNFBO使用が義務化へ

(文責:坂野 佑馬)

 2024年9月2日、欧州委員会(EC)は改正された再生可能エネルギー指令(REDⅢ;Renewable Energy Directive)[i]およびエネルギー効率指令(Energy Efficiency Directive)[ii]をEU加盟各国が自国の法律へ適用するための新たなガイダンスを発表した。[iii]REDⅢに関連したガイダンスは「暖房および冷房(第15a条、第22a条、第23条および第24条)」、「エネルギーシステムの統合(第20a条)」、「非生物由来の再生可能燃料(RFNBO;Renewable fuels of non-biological origin、グリーン水素と合成燃料)(第22a条、第22b条および第25条)」[iv]の3つが発表された。

 本稿では、REDⅢのRFNBOに関連したガイダンスについて簡単に紹介させていただく。

概要

1.産業部門(鉱業、製造業、建設業、情報サービス業)におけるRFNBO使用の義務化(第22条a)

       REDⅢの第22a条では、2030年までに産業部門において最終エネルギーおよび非エネルギー目的に使用される水素(発電所で燃料として使用される水素や、商用蒸気の製造に使用される水素は対象外)の少なくとも42%をRFNBOにすることを義務付けている。また、2035までには60%まで引き上げることを義務付ける。この目標は、RFNBOが化石燃料に比べて高コストであり、規制やインセンティブが必要であるために設定された。

      2.輸送部門でのRFNBO使用の義務化(第25条)

         EU加盟各国は事業者に対して、2030年までに輸送における再生可能エネルギーの割合を29%にするか、輸送燃料の排出原単位(ここでは、「国内において輸送燃料の燃焼から排出されるCO2の総量」を「国内で消費された輸送燃料の総量」で除した数値)を14.5%削減することを要求すると同時に、輸送エネルギーの少なくとも1%をRFNBOで賄うことを義務化しなければならない。

        3.報告義務

         EU加盟各国は、エネルギーおよび気候計画の一環として、RFNBOの輸出入に関する予測を報告し、EU全体の水素市場戦略の策定に貢献することが求められる。また、各国の産業部門におけるRFNBOの使用割合についても報告しなければならない。

         このように、EUにおいては、RFNBOの使用が義務化されていくことがおわかりいただけると思う。従い、課題としては、RFNBOを含むコスト競争力の低い燃料やエネルギーを事業者に使ってもらう為に、政府からのインセンティブによる後押しもしくは規制による強制力が不可欠であり、今後どのような『飴』政策が出てくるかが注目されるところである。
         日本国内においても、再生可能燃料を使用することに対して、義務化に発展する可能性があると考える。従い、事業者の皆様には、再生可能燃料への転換に向けた検討を行われることを推奨する。

        引用

        [i] https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A32023L2413&qid=1699364355105

        [ii] https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=OJ%3AJOL_2023_231_R_0001&qid=1695186598766

        [iii] https://energy.ec.europa.eu/news/commission-adopts-guidance-eu-countries-implementing-revised-directives-renewable-energy-and-energy-2024-09-02_en

        [iv] chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://energy.ec.europa.eu/document/download/0c574279-b71d-4aa0-9403-daf9ea5a8491_en?filename=C_2024_5042_1_EN_ACT_part1_v8.pdf