ドイツは既存の農地を有効活用して太陽光発電の導入を推進へ

(文責:青木 翔太)

 ドイツは、気候変動対策への取組として、2030年までに総発電量の80%を再生可能エネルギーで賄い、太陽光発電容量をおよそ200GWまで拡大する目標を掲げている。※1

 2022年2月10日のドイツ経済・気候保護省の発表※2によると、経済・気候保護省、環境省、食糧・農業省は、既存の土地を有効活用して太陽光発電の拡大を推進することに合意した。この合意により、農地や農地として利用されている泥炭地に太陽光発電を設置することが可能となった。さらには再生可能エネルギー法(Erneuerbare-Energien-Gesetz 略称EEG )に基づく補助金が交付される予定である。

 同発表で言及されている内容は以下となる。

・農地における太陽光発電の導入には、将来的にすべての耕地に補助金が適用され、農業を継続しながら再生可能エネルギーの供給が可能となる。

・太陽光発電による農地利用が15%以下になることを条件に、欧州連合(EU)が農業経営者や農村振興の担い手に対して、生産高や耕地に対する補助金の直接支払いや農村振興対策の支援を行う共通農業政策(Common Agricultural Policy )は継続される。

・自然保護区、草地、自然保護に該当する耕作地や泥炭地は、自然保護と気候保護の観点から補助金の対象外となる。

・農地として利用されている泥炭地は、EEGに新たな土地分類として加えられ、再湿潤化することを条件に補助金が適用される。

・自治体は、すべての太陽光発電の導入に関して、入札時に自然保護要件を規定する権限を与えられる予定となる。

 同発表において、ロベルト・ハーベック経済・気候保護大臣は「太陽光発電容量は現在60GW弱だが、最大で200GW分の太陽光発電設備が新たに設置可能となる」との試算を述べた。また、農地として利用されている泥炭地の再湿潤化は、温室効果ガスの大気放出が抑えられ、気候変動の緩和に繋がることが考えられる。ドイツ政府の取組が、単に気候変動対策として再生可能エネルギーの発電量を増やすだけでなく、農業や自然保護にとって有益になることを願いたい。

参考資料

※1 自然エネルギー財団

https://www.renewable-ei.org/activities/column/REupdate/20211206.php

※2 連邦経済気候保護省

https://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Pressemitteilungen/2022/02/20220210-bestehende-flachenpotenziale-besser-nutzen-mehr-photovoltaik-anlagen-auf-landwirtschaftlichen-flachen-bei-gleichbleibend-hohem-naturschutz.html